第12話 良媛の思惑
きちんと治療を終えた後、世弟は
蘭を昭訓(従五品)の位を授けた。
その知らせを聴いた良媛の表情は
曇っていく。
「よりによって尚補を従五品に
なさるとは。後ろ楯のないただの
女を側室にするなど考えられない」
「女官の情報では、昭訓媽媽に翡翠の
腕輪を贈られたそうです」
「私には会いにきて下さらないのに。
あぁ、早く追い出さなければ。
世弟様の寵愛を受けるのは
この私だけでいい」
昭訓の身に危険が迫っていることを
この時はまだ誰も知らない。
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