第14話 昭訓(蘭)との出会い

「密豊君、此度の使節もご苦労だった。

清と友好的な関係性を築けているのは

そなたの努力と技術があってこそ。

今後も期待している」


「はい、王様」


政堂にいるのは重臣と世弟、そして王だ。

王である景宗は体調が優れない日も

多かった為、世弟に手本を見せていたのだ。

報告を済ませた密豊君は王大妃のいる

王大堂に向かう。


「王大堂に向かうには世弟宮を

通り過ぎないといけないのか」


政堂・王堂・世弟宮・王大堂という

順に建てられており、必然的に世弟宮を

通り過ぎることになる。いつもより

早足で過ぎようとしたその時


「使節長様、お守りが落ちましたよ」


声のする方を見ると、とても綺麗な

女性が立っていた。身分証に昭訓と

明記されている。つまり世弟の側室と

いうことだ。


「昭訓媽媽、ありがとうございます。

お手を煩わせてしまい申し訳ありません」


「いえ、大事な物でしょうから。

気づいて良かったです」


「ところで媽媽は何故世弟宮の前に

立っていらしたのですか?何か

困りごとでも」


本来側室は自分の部屋の中で書類確認や

習い事を行う。外に居ることは滅多に

なかった。


「いえ、世弟様の昼食を待っている

のです。本来なら至世尚宮に任せるべき

なのですが・・」


密豊君は益々昭訓に興味が湧いたのと

同時に世弟への怒りや妬みといった

感情が込み上げてくるのを感じた。


「成る程そうでしたか。しかし媽媽

今日は日差しが強いので日陰で待って

いた方が良いでしょう」


密豊君に挨拶をした後、昭訓は意見を

聞き入れ日陰に移動した。

王大堂に入っても、昭訓のことが

頭から離れなかった。






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