第9話 妬み

衣服の準備や庭の手入れを終え

蘭は世弟の夕食を取りに内焼厨房へと

向かった。


「世弟様の夕食を取りに来ました」


「これはこれは至世尚補様では

ありませんか。このような場所に

わざわざお越し頂いて申し訳

ありません」


本来内焼厨房の女官が世弟宮まで

運ぶ決まりだが、蘭への嫌がらせか

一度も運んで来たことはない。


「・・食事はこちらですね」


「ちょっと待って。あんたこんな物

どこで手に入れたのよ!」


食事を取ろうとした時手首に

付けているバングルが見えてしまった。

蘭を妬んでいた女官は激怒し近くに

あったスープを蘭に目掛けて掛けた。


「あつっ」


咄嗟に身体を動かしたが、背中に

熱いスープが掛かってしまった。

流石にまずいと思った一人の女官が

提調尚宮の所へ向かい事情を説明した。

怪我の手当てが必要だと考え恵民署

の医官に要請し蘭の手当てをさせた。

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