第8話 昇格祝い

「世弟様、至世尚補です」


「入ってくれ」


18歳という若さで従7品から従5品に昇格

した例がなく、瞬く間に蘭の名前は

王宮中に知れ渡っていた。


「そなたに何の相談もなく話を進めて

しまって済まなかった」


「い、いえ世弟様。驚きはしましたが

世弟様のお世話が出来ることは

光栄ですし、少しでも世弟様が快適に

過ごせるよう尽力いたします」


世弟は蘭の言葉に安心したのか表情が

和らいでいた。蘭が至世尚補になる

ことに不満を感じているのではないかと

心配していたのだ。


「そうだ、そなたに渡したいものが

ある。少し待っててくれ」


世弟は近くの棚からある物を取り出し

蘭に見せた。


「これはそなたの昇格祝いだ。

受け取って欲しい」


緑色の翡翠ひすいの腕輪に

花の柄が彫刻されていた。

世弟は蘭の手首にゆっくりとつけた。


「こ、こんな高価なものを私が

貰っても良いのですか?」


「そなたはもう従5品だ1つや2つ

高価な物を身に付けた方が威厳も

保てるだろう」


世弟の気遣いを無下にすることは

出来ない。蘭は礼をした後世弟の

昼食を受け取る為部屋を後にした。



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