第3話 一次試験
夕食を済ませた蘭は自分の部屋に戻り
刺繍の練習を再開した。
元々蘭が配属されていた部署は王族の食事を作る内焼厨房であったが、世弟宮の人手が不足していた為世弟繍房女官になったのだ。
刺繍は見習い女官の頃に簡単な物は練習
したものの、ここまで細かく刺繍をするのは
初めてで指先の傷が増えていく一方だ。
翌日から丸一日刺繍の練習する日々が
始まった。新しく採用された女官は
蘭の他に二人のみで、皆異なる部署から
配属されていた。
夕食の後各自で自主練習を行わなければ
いけない決まりになっていたが実際に
自主練習をしているのは蘭のみであった。
その努力が報われたのか、たったの五日で
全ての模様を覚え刺繍することができた。
「一次試験は合格だ、よくやった。
提調尚宮様にも報告しておこう。
後は世弟様にこの品々をお見せし
判断して貰おう。世弟様にはもう
伝えてある、付いて来なさい」
「は、はい尚宮様」
繍房尚宮と共に世弟堂へ向かう。世弟宮の
門番の数は多いが、世弟堂の門番はそれ
以上に多かった。自分の名前と位の書いた
通行証を見せた後、世弟の印鑑が押された
通行許可証を提出し中へ入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます