3-13
ひと段落した俺たちはタクシーを呼び、箕輪薫瑠を乗せてもらい、それを見送った。ツタダ宅を後にした俺と須璃ちゃんは足早に最寄りの駅への道を辿る。須璃ちゃんは今日の大学の授業は二限からなのでまだ余裕があるそうだが、俺はこれから仕事だというのを思い出してだいぶげんなりしていた。
もうすっかり一仕事終えた気分でいた。
ただまあ、今午前八時過ぎだから最寄りの駅で来た電車に乗ってしまえば、まだ余裕で間に合うのが救いというべきなのか。
「ここまでお付き合いいただいて、ありがとうございましたぁ」
駅に着くとぺこりと須璃ちゃんは頭を下げた。
「いやいや、俺は何も……」
「何もってことはないですよぅ。いてくれるだけで心強かったです」
そんな風に言われると、やっぱり悪い気はしない。
「これも何かの縁なので、メッセのID交換しませんか?」
うふふ、と笑って彼女はスマホを取り出し、振ってみせた。断るいわれはない。図らずも女子大生の連絡先をゲットしてしまった。まあ、こないだ女子高生の連絡先ももらったばっかだったけど。
「今夜は呑みにでも行くか」
何だか気分が良くなって、ついぽろりと思っていたことが口に出た。
「ええ~、まだわたしお酒呑めませんよぉ」
須璃ちゃんが嬉しそうに食いついてきた。
いや、俺ひとりで呑むつもりで言ったんだけど。けどまあ、彼女が嫌じゃないならお疲れ様会をやるのもやぶさかではない。
「じゃあ、またあとでメッセで連絡するよ」
「はぁい。待ってまぁす」
俺が改札で手を振ると、須璃ちゃんはそれ以上に返してくれた。
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