第2話 宮殿完成と招かれざる冒険者



 遂に配下の人達に依頼していた宮殿が完成した。材料も全て僕が用意したので早く仕上がったようだ。


 鉱山に作った宮殿だから、名前は、マインバーグパレスでいいかな?


 僕はダンジョンを完全に掌握した事で、レベルも上がり、スキル皇帝の効果範囲も広がった。


 僕はここで生まれたので、鉱山以外の場所を知らない。この鉱山とその周囲の生活拠点を僕はマインバーグと名付けた。


 だから、宮殿はマインバーグパレスとなる。


 配下の者たちから情報を集めると、ここは山に囲まれた山岳地帯で、その周囲は巨大な森に囲まれているらしい。


 まさに逃げられない監獄のような環境だった。


 ならばちょうど良い。朕はこのマインバーグを拠点に帝国を復活させるのだ。


「朕は皇帝である!」


 この時、世界が震撼した。朕のスキル皇帝の効果範囲は、周囲の山とその周りの巨大な森の全てを覆うほどに成長していた。


 スキル皇帝の効果範囲に入ると、僕にはその状況が把握出来るようになるんだ。


 どうやら巨大な森の中には、いくつか集落があるようだ。それに山の地下にも集落が感じられる。どうやら僕は地下都市群を発見したようだ。


 それにいくつかダンジョンも発見した。


 ただ……ここは、元は鉱山なので物資が足りないし、人数も多少増えたくらいで、規模も村を超える事はない。


 住人の家も建てる必要がある。僕はストレージに村の周囲の木々を収納していき、集合住宅を選択し、必要人数を割り当ててから家を作るように指示した。


 これもスキル皇帝の力で、材料と人がいれば建築物が造れる便利な力だ。


 住民は増える予定だから、建設はどんどん進めていこう。


 それと食糧問題があるので、収集班と狩猟班を作って、食糧の確保を行うと共に、畑などの開墾にも手を出した。


 山と森しかないけど、木材などの材料には困らない。


 ダンジョンにいた魔物達は、僕の配下となったことで強化され、人化するようになってきた。


 人化したことで、ダンジョンから出して仕事の手伝いをするようになり、だんだんとマインバーグの住人として溶け込むようになってきた。


 ユキナの元配下の高ランクの魔物は特に強く、赤竜の竜人マグナと緑竜の竜人フィーナは特に強くなった。ユキナに聞いたら、僕の息子と娘らしい。


 僕が覚えているのは、生まれたばかりの子ドラゴンに姿だけだったので、びっくりしたよ?ドラゴンって成長が遅いから、僕が見たのは幼体の時らしい。



◇◇



 そんなある日、元々の鉱山の所有者が誰か知らないけど、鉱山からの連絡が途絶えたという事なのだろう。調査隊という名目の冒険者三人組が現れた。


「ったくよう!鉱山の調査に何でAランクの俺様が呼ばれたのかと思ってたけどよぉ!カァ!!こりゃ凄えぜ!村?……いや……町か?しかも金ピカの宮殿と来たもんだ!」


「見てみろゼーニ。住人はみすぼらしい奴隷しかいないぜ?」


「へへへ……ゼスト、女は任せろ」


「おい、グリム……マジか?俺はパスだ……」


「グリムは、物好きだねぇ……こんな汚ぇの相手に出来ねぇって!」


「おい!こんな所は、さっさと制圧するぞ!」


「グヘヘ……女ぁぁぁ!」


「キャァアアアア!!!」


「ぐあっあああ!!」


 ゼーニと呼ばれた剣士風の細い男が大剣を振り住民を傷つけて行く、ゼストと呼ばれた重装備の大男は、斧を振り回していた。


 そして、グリムと呼ばれているローブの男が住民の女性達を追いかけていた。


 どうやらこの冒険者達は、敵のようだ。僕のスキルが効いてない所を見ると、かなりの高ランク冒険者かもしれない。


「ここは、俺っちの出番だな?」


「マグナ、殺さない程度に頼むよ?」


 マグナは僕の子供で赤龍の竜人だ。髪と目は赤くて、体の主要な部分は龍の鱗に覆われている。


「甘すぎるぜ!許せね〜!奴らは魔物の餌にしてやるよ!」


 マグナが暴れている三人の前に出ると、三人は驚いた表情でマグナを凝視した。


「おい……何で竜人がここにいるんだよ?」

「え!?竜の民が!?おい!まずいぞ!」


「おい!お前ら!よくも俺っちらの聖域を踏み躙ったな!」


 マグナの火炎拳が三人の鳩尾に命中して行く。


「「ごほッツ!!」」


「ぐ……くっそ!がは!」


「コイツ……強え!ぐはぁ!!!」


 僕のスキル皇帝に影響で強化されたマグナは、人化する事でドラゴンの時の数倍の力を発揮する。幼竜だった頃はこんなに強くなるとは思わなかったな……。


 そして……配下が倒した経験値は、僕にも配分されるんだ。


「朕は皇帝である!」


 効かぬか……。


 三人分の高ランク冒険者の経験値でレベルアップして、弱らせても効かないという事は、僕のスキルは対魔物と対英霊向けなのかもしれない。


 後は、前世のように忠誠を誓った者には、よく効くんだろう。


 誰にでも効いていたら、流石に万能スキルになってしまう。


「この三人だけど……重罪人なので、改心して忠誠を誓えば生かして奴隷に、ダメなら始末しておいてね?」


 その後、三人は牢屋行きとなった。


 鉱山には元々罪人を閉じ揉める為の牢屋があったので、更に補強して使っている。


 冒険者の襲撃は何とかなったけど、この先も来るかもしれないし、国民を増やす事も考えなくてはならないな。


「このままじゃ村だもんね?」


 という事で、僕はユキナを連れて人材探しに出ることにしたんだ。







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奴隷に転生した朕。スキル皇帝で成り上がる。付いて来たいなら勝手に付いて来るが良い。 蒼真 咲 @soumasaki

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