第16話
午後3時過ぎ、美紗と一助は雷門の雷神像
、風神像を横目に焼きそば屋を探す、何軒かあったが、言われた様な娘は見えない。宝蔵門い近い方まで歩いて焼きそばを焼いて女性を見つけた。チビ、ショートカット、小太り、メガネ、完璧に一致している。分かりやすい。2つ注文して、商品を受け取るとき声を掛ける。
「大江陽子さんですね?」
「はい、そうですが。どちら様ですか」
喋りは確りしている。
「あの、滝上真二さんのことを調べてる岡引という探偵なんですが、お話を」
「あ〜、あと1時間で上がりだから、それからで良いですか?」
「はい、岡引探偵事務所って分かりますか?」
「え〜分かりますよ。家その直ぐ側だから」
「したら、事務所で待ってて良いですか?」
「分かりました、終わったら真っ直ぐ行きます。有難うございました」
明るくはきはきした物言いは気持ちが良い。
「じゃあ待ってます」頭を下げて笑顔で別れる。
「美紗まだ食うの?」
「当たり前だ。何、一助もう食えないの?さっきの、チキンライスで腹一杯?」
「あれ、オムライスだけど?それで腹一杯なるの普通だと思うけど」
「そんな言ってるから、彼女できないんだぞ」悪戯がきが舌をだす。
「うっせえ、お前は食い過ぎだから、彼氏出来ないんだ」
このやろうっと、そっから事務所までマラソンになった。
事務所でゴロゴロしながらテレビをつけているが見てはいない。待つ時間は長いものだ。と自分を納得させようとする。イライラし始めた頃、タンタンタンと軽い足音が上がってくる。
「ごめんください」
「は〜い、どうぞ、さっきは忙しい時にお邪魔してすみませんでした」ソフアを勧め、喋りながらお茶を出す。美紗と一助は対座する。
「ごめんなさい、滝上真二さんのことなんですけど、良いですか?」
「え〜、大学の時に1年ほどお付き合いしましたが、その後の事はよく分かりませんが」
「どんな感じの方だったんでしょう?」
「そうねえ、優しかったわ、真面目で、きちっとした感じで、私はどちらかと言うとがさつなもんだから、良い人だっったんだけど、重荷になったっていうか、我慢できなくなったのよねえ、で、別れちゃったの」
「そうすると、間違ったことは、間違ってると言うタイプでしょうか?それとも気がついても黙っているタイプ?」
「彼なら、言うでしょうね。それ間違ってるって」
「それでトラブルになったようなことは?」
「学生だったから、そんなに真剣に何かをやるってこと無いですから、トラブルとかは無かったと思いますよ」
「そうそう、私の店に新しい彼女と来た事あって、罰の悪そうな顔したけど、私は平気だったから、元気そうだねって言ったの彼女の前で、学生時代の彼女でした。と彼女に言ったら笑ってたのよ彼女。可愛らしい、私とは違うタイプね。似合ってた。」
「彼女は何か言いました?」
「確か、焼きそば2つって。動じずって感じだった、見た目と違って落ち着いてるのねえ。それに彼を信じ切ってる感じで、なんかやきもち焼いちゃった」
「先々週だったか、1人で浅草歩いてるとこ見たんだけど、俯いて反対側の歩道から声かけたんだけど、聞こえんかったみたいで、眉間に皺寄せて、悩み有ったのかなあ」
「滝上さんが殺されるような、何か思い当たるようなことは?」
「それは無いわ、付き合いしてないし」
「実は、彼女の名前、柊十和さんって言うんですけど、殺人事件の前に誘拐されそうになった事件があったんですけど、彼女の方を見かけたこととか、気になることとかは無いですか?」
「彼女は見た事ないです。何処で働いているのかしら?この辺じゃ見ないわねえ」
「いえ、直ぐそばの『よってこ』ラーメン屋の看板娘よ」
「え〜、私、何回も食べに行った」
「彼が亡くなって、今休んでますけど、今度行ってあげてください」
一助と目を合わせる。
「じゃ、有難うございました。後で何か思い出したことあったら、教えてください、此処には誰かが何時もいますから」
「わかりました、じゃ」
美紗は一階まで見送りして戻る。
入れ替わりに一心が奥から出てきた。
「誰だ?今の?」
「滝上さんの学生時代の彼女」
「ほう、で?」
「大学時代の友達は、彼女もそうだけど、真面目、きちんとしてる、曲がったことは許さない感じ。だから、会社に不正があったら上司でも役員でも、直接ぶつけるね。直球で。それに、最近は、悩みがあったようね。道路であっても難しい顔してたって」
「なるほど。お疲れだったな。ゆっくり休んでくれ」
「一心。私は、十和さんの事件も滝上さんの事件も富埋家に絡んでると思う。そろそろ盗聴器の出番かもね」
「在庫は?」
「こないだ、警部に持たせたから、少し作っとくわ」
「おう、我が探偵事務所の強力武器だからな。頼むぞ!」
「まかしとき!一助、奥で焼きそば食おう」
「え〜、俺、やっぱ食うのか〜・・」
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