第24話⁂夜空!⁂


「エエエエ————————ッ!葵とは全然似ていない多毛症の子供がもう一人いたってどういう事ヨ~?それにしても……直樹は……一体どこからそんな情報仕入れて来るのよ?」


「エッヘン!それはだね?20年前の夏の〔七夕🎋会〕の日に障害児施設〔レインボウ🌈〕で起こった15人も殺害された事件で、生き残った連中の1人と偶然にも知り合うことが出来たんだ。俺は発達障害だから……ネットワークが有るんだ……ゴホン!んまぁ~!俺は超頭が良かったから施設に入る事は断られたが………問題行動が多い子供だったから、度々母親がその支援団体に相談に行っていたんだ………その関係で、あの施設には発達障害の子も入所しているからね!色々内部の事も知っているんだ!」


「やはりあの事件が関係しているのね?確かに凄惨な酷い事件だったからね!だけど同じ施設に2人も多毛症が居るなんてビックリね?」


「確かに毛がふさふさしていて、入所者の誰もが、まともに顔を見た事が無いと言っているんだよ。んまぁ~?はっきり見た事が無いのだから、何か秘密が隠されているんだよ。きっと!・・・それから…その男の子は個室だったので、親しく付き合っていた奴は殆どいなかったらしい……只…障害児施設〔レインボウ🌈〕の施設出身者で、あの仮面舞踏会に出席していた美女とは、凄く仲が良かったみたい?」


「……って事は……あの仮面舞踏会にさっそうと現れた美女も、どこかに障害が有るって事ね?」


「多分そう思うんだけどね?」


 早速2人はその美女の足跡を辿った。


 ◆◇◆

 障害児施設〔レインボウ🌈〕の入所者達はあの頃、職員さんが極力少なくなった夜にコッソリ抜け出し近くの山に登っていた。


 そこでは誰もが、一瞬夢を叶えることが出来た。

 満天の星空の眩いばかりに散らばる星屑たちの合間から流れる、流れ星に願いを込めて、その一瞬一瞬に各々が願い事をするのだ。


 するといつもは、コンプレックスの塊の少年少女たちではあるが………。

 こんな耳の聞こえない私なんか————

 こんな体の変形した俺なんか————

 こんな歩けない私なんか————


 だが、願い事を終えると何か世界が、✨キラキラ輝き出して、施設での辛い思いも払拭出来て満ち足りた瞬間が訪れるのだ。

 勇敢な騎士、戦士、百獣の王ライオン

 綺麗な妖精、蝶、鳥

 どんなものにもなれた気がするのだ。


 一瞬王子様にもなれるのだ。

 一瞬お姫様にもなれるのだ。


 夜空に照らされた紫の森の中を、皆その時だけは世界の誰よりも勇敢で美しい主人公気取りで森の中を駆けずり回った。


「アッハッハッハ!」


「ウッフッフッフ!」


 一瞬だったが、あの夜の森の中では、私たちの負の部分?個性を夜空が覆い隠してくれて、誰よりも輝くことが出来た。

 施設の中ではビクビク生活していたが、あの森の中では誰もが輝くことが出来た。

 あんな幸せな一瞬が有ったのに………?



 ◆◇◆


{……ああ!今でもあの頃の事を思い出すと………涙が止まらない………あんなに………あんなに優しかった兄と慕っていた隆兄ちゃんが死んだ日の事は………今でも忘れられない!隆兄ちゃんと俺は5歳違いで………親に捨てられたも同然で入所して来た時は、職員さんによく食べ物をこぼす、おしっこお漏らしたと叩かれていたんだ………すると、その時はまだ元気でリーダ-的存在の隆兄ちゃんが、よく俺を助けてくれた………ああああ~!奴らが憎い!手の掛かる障害児と分かって居ながら……上手い事言って入所させておきながら………結局は運営費の給付金欲しさに父兄を騙して、散々美味しい思いをしていながらクッソ——ッ!インチキ経営者の理事長……人件費が掛かるので職員の数は最低限で運営して………俺は見たんだ!職員の行き過ぎた暴力を……酷い!酷すぎ!……手が掛かるので親が全く会いに来ないのをいい事に、筋ジストロフィーの隆兄ちゃんを殴り蹴りしていたのを…クウウッ(´;ω;`)ウッ…俺は物陰に隠れて見ていたんだ………本当は隆兄ちゃんを飛んで行って助けたかったが………まだ小さかった俺は怖くて、怖くて、助けたいと思ってはいても出来なかったウウウウッ( ノД`)…結局それで………

俺達は夜職員さんが極力少なくなったのを見計らって、夜よく抜け出したものだ……山の斜面に立つ、この施設の森の中をよく皆で近くの山に登って行ったんだ………すると満点の星屑が今にも堕ちて来そうなくらいキラキラ輝いて………一瞬虐げられている辛い施設での生活が、まるで噓のように思えて………必死に星目掛けて手を合わせていた………何故かと言うと、星が散らばり過ぎているので、星の数だけ流れ星も多く、流れ星が絶え間なく流れるので……流れ星目当てに出掛けたんだ……流れ星に願い事をすると叶うと聞いていたから………何も俺達は庭先からだって星屑は嫌と言う程見ていたから………星が見たいからじゃないんだ………俺達の目的は、この流れ星の多い、四方八方見渡せる大パノラマのこの大地で、願い事をするのが目的だったんだ………隆兄ちゃんは最初は勇敢に歩けていたのが………最近では、お漏らしをする寝たきり状態になっちゃって………以前は出来ていたのに………出来なくなって手が掛かるからと言って………それで暴力を振るわれるようになったんだ………それでも星に願い事をすれば………また以前のように歩けるようになり殴られなくて済むから………そんな風に言うので、僕が車いすを押しながら夜に抜け出し山に登ったんだ……そして必死に兄ちゃんはお祈りしていた!『又以前のように歩けるようになりますように!』それなのに………それなのに………あんな………残酷に、肢体が不自由なのを分かっていて、あんなに殴りやがって………クウウッ(´;ω;`)ウッ…とうとう兄ちゃんは、あの後2~3日後に亡くなった( ノД`)ウウウウッ…どうせ死んでも、親もお骨を取りにやって来ただけで、職員さんへの制裁は一切無しだった………俺達が一体何したって言うんだ。こんな体に生れたくて生れたわけじゃないクウウッ!ワァワァ~~ン😭ワァワァ~~ン😭}


 唯一のより所だった隆兄ちゃんを亡くした辛さは想像に難くない。

 



 注◆それでも…反対に入所者さんが職員さんに手をあげる事例も、報告されている



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