第23話⁂もう一人の多毛症の人物⁈⁂
東京都台東区浅草に有る〔OUGI探偵事務所〕で今まさに直樹が、熱弁を振るっている。
子供の頃からの凝り性は今も健在。
尋常じゃない集中力があり、思い立ったら徹底的に調べないと気が済まない直樹は、幼少期の頃から誠に有り難くない、色んな珍武勇伝を残している。
あの当時は家族一同思い詰め、一家心中も頭をかすめたほどだったが、今となっては家族の笑い種になって居る。
「なぜなんだろう」という、科学の根幹となる疑問を強く持っていたため、学校の授業を妨害する事がしばしばあった。
その為先生の中には、頭の良すぎる直樹君の質問攻めに死苦八苦して、応える自信が無いので『だんまり』を決め込む先生も少なからずいた。
まぁ~?要は先生にも分からない難問を質問するので、授業を妨害したと先生が騒ぎ立てているが、賢い一部の子供たちは答えられない先生が、勉強不足だけなんだと言って直樹を擁護している。
要は、プライドの高い極一部の先生は、生徒の質問に答えられない事を、何より恥と感じている。
先生のチョットしたプライドが、災いして起きた事件と言っても過言ではない。
んまあ~?張本人の直樹が一番悪いのだが?
『その珍事件を少し紹介しておきましょう』
ある日の授業中「なぜ物は燃えるのか」をどうしても知りたくなった直樹は、我慢が出来なくなり先生に「チョットトイレに行ってきます」そう言って教室を出た。
前々からいつか実験しようと、ポケットに忍ばせていた黒い紙と虫眼鏡を持って早速「火おこし」に掛かった。
太陽が燦燦と照り付ける中、虫眼鏡を黒い紙に近づけ着火!杉の葉、落ち葉などを集めて燃やしてみた。
それでもこれだけでは「なぜ物は燃えるのか?」が分からない。
そこで倉庫のマットに火をつけて実験してみた。
「ワァ————!スッ凄い!」
その日は強風が吹き荒れていた為、一気に倉庫を全焼させてしまった。
一時構内は煙が立ち込め、倉庫には炎が勢い良く燃え盛り一大パニックに襲われた。
更には消防隊で交通網は一時遮断され、辺りは大パニックになった。
それはそうだろう。
大都会東京のど真ん中の小学校で家事ともなれば大変な事。
何とか無事に沈下して一安心したが————
それから…またある時、直樹は空を悠々と飛ぶ鳥になりたいと、前々から強く願っていた。
だが、自分で実験する勇気が無かったので友達で実験した。
「✕君空を飛べるようになるよ!これ飲んでごらん」
ヘリウムガスにヒントを得た薬を友人に飲ませた。
「わぁ~い!うれしいなぁ~!」
友達は空が飛べると聞き嬉しくて仕方がない。
その薬品を一気に飲んだ友達は、バタリと倒れ意識不明になった。
救急車やパトカ―更には教育委員会関係者で、小学校の校舎は一時パニック状態に陥った。
ヘリウムガスは無味、無臭、無毒の希ガスなので、人体に影響を及ぼさないと言われているが、実は…現実には、ヘリウムガスを吸って、意識不明の重体に陥ったり、死亡してしまったりといった痛ましい事故が起きているのも事実なのだ。
【ヘリウムガスは無味、無臭、無毒の希ガスなので、吸い込んでも血液中に溶けることが無く、人体に影響を及ぼさないと言われているが、ヘリウムガスは酸素を含まないため、多量に吸い込むと一時的に酸欠状態になり、呼吸困難を引き起こす場合がある。これはヘリウムガスに限らず、酸素を含まない気体を多量に吸い込むと起こりえること】
こんな直樹なので案外この探偵と言う職業が、転職なのかもしれない。
凝り出したら徹底的に調べなくては気が済まない直樹は、今日も美咲と2人で熱弁を振るって解決の糸口を探り当てている。
「どうも、毛むくじゃらの先天性多毛症の葵と椿辰也が同一人物と言われているが・・・まぁ~?まだはっきり分からないが?高名な医師と兄弟で同じ敷地内で共同生活を送っていたらしいが・・・高名な医師は、葵であり椿辰也という事も十分に考えられる。それは…何故かと言うと・・・葵も医師を目指していたからだ。まあ~?分かったものではないが?・・・それから実は障害児施設〔レインボウ🌈〕の出身者である発達障害のミュ-ジシャン矢口謙太と、多毛症の人物が写ったスナップが発見されたらしい・・・それは先天性多毛症の葵であり椿辰也とは全く風貌の違う別の人物らしい・・・どうも多毛症の人物がもう1人いた事が分かったんだ・・・一緒の所を偶然にもコンサートの時にでも写ったのかと思いきや?何故そんなものが見つかったのかと言うと・・・偶然にも障害児施設〔レインボウ🌈〕に入所していた父兄の母親が、行事のスナップをキチンとファイルに収めておいたらしいんだ・・・そこにあの頃、施設に入所していた聴覚障害者の友達に会いに来ていた、多毛症の葵とは全く別の長身の子がもう1人いる事が判明した」
「それって………一体どういう事?」
「だから葵とは全然似ていない多毛症の子供がいたって事だよ。そしてその人物を追っていく内に奇妙な事が、判明して来たんだ」
「何よ?何よ?」
「確かに毛がふさふさしていて、入所者の誰もがまともに顔を見た事が無いと言っているんだよ。それから…その男の子は個室だったので親しく付き合っていた奴は殆どいなかったらしい……只……〔レインボウ🌈〕の施設出身者で、あの仮面舞踏会に出席していた美女とは凄く仲が良かったみたい?」
「……って事は……あの仮面舞踏会にさっそうと現れた美女もどこかに障害が有るって事ね?」
「多分そう思うんだけどね?」
早速2人はその美女の足跡を辿った。
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