第20話⁂恐ろしい事件!⁂


 あの事件で障害児施設〔レインボウ🌈〕の児童15人が悲惨な末路を辿った。


 今思い出しても背筋の凍る酷い惨劇。

 壁や天井至る所に血が飛び散り、残酷な最期を閉じた施設の仲間たち。



 まるで邪魔者扱いの要らないものを捨てるように、恥ずかしいものを世間様から隠すように、こんな施設に親から捨てられたも同然で預けられた施設の仲間たち。


 そんな、どんな時も傷を舐め合う唯一のより所だった仲間たちが、15人も殺された悲しみは今も癒える事は無い。


 それどころか、厳しい現実社会に放り出された我々に、向けられる好奇と軽視の眼差しに、叶わないであろう夢を語り合ったあの頃、それでも…どれ程あの時代が光と輝きを与えてくれた事か———

あの時代が有ったからこそ僅かばかりの可能性でも頑張って来れた。


『それなのに………何故あんな残酷な事件が起きたんだ!あぁ~!許せない!ウウウウッ(´;ω;`)ウッ…』


 ◆◇◆◇◆

 実は…こんな夢のような、のどかな緑の楽園に映っている障害児施設〔レインボウ🌈〕では、職員による入所者に対する凄まじい身体的、精神的虐待が常態化していた。


『例えばどの様な虐待が横行しているか紹介して行きましょう』


身体に傷や痛みを負わせる暴行をしたり、身体を縛り付けたり、過剰な投薬によって身体の動きを抑制したりする。

 (殴る、蹴る、部屋に閉じ込める、無理やり食べ物や飲み物を口に入れる)



  無理やり(同意と見せかけ)わいせつ行為をする、させたりする。

  (性的行為を強要する、わいせつな話をする、裸にするなど。


 

 脅しや著しい暴言、無視など拒否的な態度により精神的な苦痛を与える。

  (どなる、ののしる、侮辱する、わざと無視する)



 食事や排泄、入浴、洗濯など身辺の世話や介助を放棄して、生活環境を悪化させ身体・精神的状態を悪化・衰弱させる。

 (十分な食事を与えない、不潔な環境で生活させる、必要な介護サービス等を利用させない)



 日常生活に必要なお金を渡さない・使わせない、勝手に預貯金を処分するなど

本当に酷い施設。


 この施設では身体的虐待、精神的虐待、性的虐待、金銭的虐待等々、またウロウロされると手が掛かるので、日常的に過剰な投薬によって身体の動きを抑制する行為が行われていた。



 日常の虐待は、どのようなものだったのか………?

 平手打ちする、殴る、蹴る、壁に叩きつける、つねる、無理やり食べ物や飲み物を口に入れる、やけど・打撲させる、柱や椅子やベッドに縛り付ける、医療的必要性に基づかない投薬によって動きを抑制する、施設側の管理の都合で睡眠薬などを服用させる…など。


 また心理的虐待もかなり酷かった。

「バカ」「あほ」など障害者を侮辱する言葉を浴びせる。怒鳴る、ののしる、悪口を言う。仲間に入れない、子ども扱いする、一人だけ特別な変わった格好の服や帽子をつけさせるなど、人格を徹底的におとしめるような扱いをする。話しかけているのに意図的に無視する…など、目に余る行為の数々が目撃されていた。


 性的虐待 も少なからずあった。

 判断能力のハンディに付け込んで、性交、性器への接触、性的行為を強要する、裸にする、キスする、わいせつな言葉を言わせる…など。


 まぁ~?家族が殆ど顔を出さないので、余計に酷い虐待が横行していると言っても過言ではない。


 こんな一見親から見放された施設だが、それでも…中には、我が子可愛さに会いに来る親御さんもいる。

 そんな時に、ここに入所している児童が親に訴えているのだが、全く改善されていない。


 それは一体どういう事なのか?


 我が子を可愛そうに思うのだが、それ以上に不安感が高まる。

 {もしこの施設を追い出されでもしたら、もうこの子を預かってくれるところが見つからないかもしれない}

 他に行き場がないという選択肢の無さが、親にこうした態度を取らせている。


 こうした弱みに虐待する側が付け込んだり、利用したりして、益々悪化の一途を辿っている。


 まだ子供の事を真摯に受け止め、大切にする親もいる一方でとんでもない事実が報告されている。


 実は…まことに残念な話だが、この様な虐待の数々は、障害者の日常生活の世話や金銭の管理などをしている家族、親族、同居人などが最も多いとも言われている。


 虐待件数の8割近くは、父母や兄弟姉妹など身近な家族らが加害者だ。という現状が明らかになっている。


 ◆◇◆◇◆

 親から捨てられたも同然の子供達。

 親が子供達に会いに来た姿など皆無に等しいこの施設では、子供たちは、この辛さ悲しさを紛らわす為に、子供同士でこの苦しみを打ち明け合って、生き延びてこれたのだった。


 この様な環境化、子供達同士の団結力はそれはそれは強いものがあった。

 夜間は職員の数が極力減るので、みんな遊戯ルーム集まって日頃の虐待の数々を慰め合っていた。


 それでも…余りの酷い虐待に、歯が抜け落ちたり、顔中あざだらけでボンボンに膨れ上がったりと、中には耐え切れずに自虐行為又は自殺未遂を起こす子供も居るのだ。


 そんな時は、皆で職員の数が極力減る夜に抜け出し、満点の夜空の星を見に行ったり、蛍を見に行ったり、そんな弱い者同士の唯一のより所だった、些細な幸せまで奪った犯人。


「許せない!許せない!許せない!」



 そんな大切な唯一無二の仲間を、殺害された恨みは相当な物。

 辛い施設での生活の中で、唯一の救いだった仲間達を、こんな形で殺されるなんて許せない。


 ◆◇◆


 {よく皆で辛い胸の内を話し合ったっけ~?クウウ( ノД`)ウウウウッ…親から散々虐待を受けて市の職員の力で、この施設〔レインボウ🌈〕に辿り着いた時は、夢の楽園かと思ったよ。施設の庭先には花々が咲き誇り、緑あふれる森の中に立つ施設………デズニ―映画に出て来そうな美しい場所に感激しきりだった………また職員さん達の笑顔にやっとこれからは幸せになれると思ったものだ………だが、現実は厳しい………あの笑顔は仮初めだった事に気付くのにそう時間はかからなかった・・・それは言うまでもない………恐ろしい職員達の裏の顔を嫌と言う程、知らされる事になる…今度こそ幸せになれるかと思ったのに、更にもっと酷い虐待の日々。そんな悲惨な毎日だが、弱い者同士この施設の子供たちは、強い絆で結ばれていた。

それなのに・・・それなのに・・・最後のより所まで失った俺達はどうすれば良かったんだよ————ッ!あんまりではないか!ウウウウッ( ノД`)ウウウウッ…}


 こうして………やがて恐ろしい事件の幕が開く————

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る