第16話⁂葵の行方!⁂



 小学校に上がってからの葵は、散々、クマ、化け物、狼、ライオンと悪態をつかれ、罵られしょっちゅう虐められ泣いて帰っていた。


 両親は葵を不憫に思うのと同時に、益々世間体を気にして、またもや葵を家に隠し今度こそ出て行けないように頑丈に施錠した。


「はっは~ん⁈登校拒否というのは、母親が世間体を気にして葵を家に隠した為に学校に行けなかったんだな~?」


「葵は、そんな事くらい何とも思わない気丈な子供で、二階の窓を強引にこじ開け自ら学校に通学して、自分をからかった連中に飛び掛かり羽交い絞めにして、反対に泣かせた程の腕白坊主だったんだね!」


「それでも…三十五歳にもなると言うのに働きもしないで、親の顔さえ見ればお金をたかるか、酷い言葉を吐くか、暴力を振るうか、そんなどうしようもない手に負えない子供の将来を儚んで、悪徳業者の上手い話に載せられ、丸め込まれて多毛症の子供をを手渡したらしいと言う噂は、一体どこから出て来たんだよ?頑張り屋さんで、更には成績優秀でスポ-ツ万能な非常に元気な子供に成長したと聞いたのだが?」


「直樹!人の噂に翻弄されては絶対にダメね。この裏には何か大きな謎が隠されているに違いない」

 

「でも………あの見栄っ張りな母親が何か………?悪影響に繋がっている事だけは確かだね?」


 そんな時に中国のサーカス団の一員として、奥多摩湖付近の寂れた民家に匿われていた何人もの奇形の人達が、サ-カス団員として引き取られたらしいとの、情報を得た美咲と直樹はこれは大変と思い、あの悪徳業者を血眼になって捜し回っている。


◆◇◆◇◆


 海外出稼ぎ売春と言う組織が有るらしい。

 どうも日本人女性が人気で、特にアイドルやAV女優は高値がつくらしい。

 その為高額な斡旋料が頂けるので売春組織も必死になっている。

 

 最近はコロナ禍で風俗嬢はもちろん、撮影やイベントなどの仕事が激減して無職同然のAV嬢たちが生活に困窮してやらざるを得なくなって来ているのだ。


 何故女性たちは落ちて行くのか?

 それは、元々怪しい組織から売られて来て無理矢理やらされている女性達や、体の弱い両親に仕送りをしなければならない場合や、質の悪い男に貢いだりしてお金に困窮して二進も三進もいかない状態に陥った等々である。


「君はとても可愛い!アイドル以上だ」

こんなうまい事を言って、更には「高額で稼げるよ」と説得したりするのだ。


 海外出稼ぎ売春の期間は2週間で1000万円も稼ぐという。

 だが、なんと恐ろしい事に、現在海外出稼ぎ売春の後に、プッツリ連絡が付かなくなり、行方不明になって居る女性も少なからず居るのだという。


 海外では日本人は人気で、売春をさせる性奴隷としては高値で取引されてもおかしくないはず。

 現に、トルコのイスタンブールにあるワールドバザールの裏バザール市場で、今でも人身売買が公然と行われていて、日本の女子大生やOLも売られているらしい。


 恐ろしい事に、表面に出ている事件はほんの氷山の一角で、実際には沢山の女性が被害にあっていると言われている。


 大阪西○地区での人さらいによる売買は、女子高生で20~40万円になるらしい。


 そのターゲットは10代の少女、女子高生などで、白昼堂々とワゴン車で強引に引き込む単純な手口で、売り飛ばされている。

 やはり、闇のお金が動くところにはヤクザが存在するのだという。


 どうも…その受け皿となって居るのがあの柳田組長らしい。


 なるほどあんな立派なお屋敷に住むことが出来るには、相当の悪である事は間違いない。



 またこんな事件も報告されている。

 ナイジェリアで発覚した「赤ちゃん工場」事件。


 多くの人が託児所だと思っていた場所が、実は赤ちゃんを製造販売するための「赤ちゃん工場」だったのだ。


 恐ろしい話だが、現代では女性に赤ちゃんを産ませて売買するビジネスが現にあるのだ。

 ナイジェリアで発覚した「赤ちゃん工場」事件では、1人産むと64000円で買い取ってもらえたのだそうだ。


 なんと、それをピンハネして、16万円で販売していたそうだ。

 その為何人もの赤ちゃんが、今現在も行方不明である。


 可哀想に、この世に生まれて来ても、残酷な末路を辿る事になる赤ちゃんが、少なからずいるという現状化。

 この様なマ—ケットは幾つも存在するらしいが、一刻も早く摘発して欲しいものである。


 貧乏がこのような悪魔を生み出すのか、母性の欠片も感じられない母親たちが存在する事も確かな事実なのだ。


 話は横道にソレてしまったが、この様に人間と言う者はお金に目が眩めば、どんな事でも出来る一面を併せ持っているという事になる。


 だから、あの奥多摩湖付近の寂れた民家で見掛けた、ダルマ人間や小人人間が中国のサーカス団に売られていたとしても不思議ではない。


 という事は、あれだけ努力家であった先天性多毛症の葵も、中国のサーカス団に送られた可能性は十分に考えられる。


 だが、ひょんな所からとんでもない情報がもたらされた。

 あの椿辰也社長が実は、あの葵だという情報がもたらされた。


「エエエエ————————ッ!」

 まさか⁈







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る