第8話
翌朝、顔が変わって、腹水で膨らんでいたお腹が更に膨らんだが、死体独特の死臭は全くしなかった。だから、温めないように気を付けながら、出来るだけ手を握って過ごした。午前9時20分頃、業者による搬送の際、母をなるべく他人の手に触れさせないように、私が珍しく手を貸した。社会通念上、死体は感染症の危険が有るから、素手で触らないものだか、葬儀業者は素手なのに感心した。こと母に関しては、死相が出ない、死臭がしない、感染症の危険が無い。午前9時30分頃、業者の車両に乗った母は、自宅を後にした。
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