第3話
ハイス皇国召喚地攻略軍西方部隊にて
凄まじい爆発音が響いたーー
「なんだ今の爆発音は! もしかして被弾したのか!?」
「はい! ですが、魔力防壁での防御に成功したため、我が艦は損害なしです! ただ、魔力防壁の耐久値が70%もけずられました! 」
「な、なに!? 急いで修復を……」
「失礼します! 駆逐艦16隻が被弾したようです! ですが魔力防壁で威力を最小限に抑えられたため、魔導警戒探知機や対空兵装などの損傷で、被害は軽微とのこと!」
「駆逐艦の魔力防壁が破られたか……まあ我が艦でも70%削られたのだから当たり前か…… よし、では被弾した艦にこの海域から離脱するよう命令し」
またも、凄まじい爆発音が響き、艦内が大きく揺れる。また艦尾に至っては、下から叩きつけられるような衝撃が襲った。その直前に、一瞬だけだが キイィィン という空気を切り裂くような音が響いた。
艦内には、緊急を知らせる甲高い音が鳴り響く。
「ま、魔力防壁が破られ、そのまま艦尾に直撃、すごい勢いで浸水していっています!」
「くそ!」
イカつい司令様は、マイクのようなものを掴み、
「もうこの艦はダメだ、総員退艦せよ! 繰り返す、総員退艦せよ!」
「司令、友軍艦より通達、多数の艦が撃沈されたもy」
「そんなこと言ってる場合かぁ! 早く退艦しろ、でないと死ぬぞぉ!」
「あ、は、はい!」
数分後
船の残骸と血がところどころ漂っている。
その中で大勢の助けを求める声が響く。
その中に、沈んでゆく自艦と多数の友軍艦を静かに、驚愕の表情を浮かべながら眺めている人が。
そう、リコーヤ戦役にて皇帝から勲章をあたえられた、
イカつい司令様である。
「な、なぜ……なぜ、こんなこと、に……何が…何が起こったんだ………」
「司令! 大丈夫ですか!」
イカつい司令様に赤だるまと言った、少し生意気そうな、筋肉質な割にヒョロガリな若い男が完璧なフォームでこちらに泳いで来た。
第三文明世界の世界水泳大会で優勝した男である。
「な、なぁ、これは夢なのか…? あの戦役でもここまで……ここまで悲惨なことにはならなかった、ぞ…」
「夢じゃありません、現実です!」
そんな彼らに、一隻のボートが近づいてくる。
「司令、ボートがきました、乗ってください」
ボートに回収され駆逐艦に乗り込んだ、水も滴るイカつい司令様は、
マイクのようなものをまるで爺ちゃんのように弱々しく掴んで
「全艦に命令する。180°反転、全速力でこの海域を
離脱sー」
「し、司令、魔導警戒探知機に新しく反応が! こちらに高速で向かってきます!」
「な、何!? た、対空ー」
「間に合いません!」
『こちらは日本国国防軍海上自衛隊である! 武装を解除し大人しく投降せよ!』
「こ、降伏勧告です!」
「……何?」
『繰り返す、こちらは日本国国防軍海上自衛隊である!武装を解除し大人しく投降せよ! 投降しなければ、貴方達に未来はない!』
『お、おい、固定文に書いてないこと言うなよっ』
『別にいいだろっ、この方が敵が投降してくる可能性が高まるだろうし』
『なぁ、なんで固定文があるかわかってる?』
「………どうしますか? 司令」
「決まっている、投降するぞ。黄旗を掲げよ」
***
海自艦隊にて
「司令、敵艦が黄色い旗を掲げてきました。他の敵艦も次々に掲げていきます」
「そうか。たぶんそれが奴らの白旗なのだろう」
「そうですね……それにしても、ほんとに異世界転移しちゃったんですかね? まだ信じられませんよ」
「俺もだよ。しっかし、政府が言うんだから本当なんだろうなぁ」
「自分も通達が来たときはすっごいびっくりしました」
「司令、一ついいっすか?」
「なんだ? 反省文なら減らさねぇぞ?なんなら増やしてもいいが?」
「それは勘弁してくださいよ…そ、それよりあの旗白旗なら、なんで言葉が通じてるんですか? 政府の話が本当なら敵は異世界人なんですよね?普通通じませんよね?」
「……それはまあ、あれなんじゃないの?ご都合主義とかそういうやつ」
「司令、さすがに世界にご都合主義なんてないと思うんですけど」
「…まあとにかく、敵のところに向かう。要救助者がたくさんいるだろうしな」
「海保に応援要請しときます」
「では、全艦全速前進」
海自艦隊は敵を捕虜とすべく、敵に向かって進んでいった。
にゅうわぁるど! 旧題 : 新日本ファンタジー 琴神こう @kotogami
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