第39話 お店を開こう


 ドワーフたちに将棋盤の量産を頼んだ後も、俺はいろんな商品を作り始めた。

 やっぱりお店を開いてもうけようとするなら、将棋盤だけというわけにもいかないだろう。

 俺は本なんかで読んだあいまいな知識をなんとか思い起こして、いろんなもの作りにチャレンジした。

 まずは石鹸だ。

 こっちの石鹸は、あるにはあるが、どれもあまり質がよくない。

 昔、学生のころに授業の一環で石鹸作りをしたことがあった。

 その記憶をたよりに、果物で香りづけなどをして、石鹸をつくる。


 完成した石鹸は、レベッカやジャスミンさんに使ってもらったら、とてもよろこんでくれた。

 もともといい匂いだったレベッカのもふもふした耳が、さらにいい匂いになった。

 てな感じで、作れそうなアイテムを試作しては、それを量産するべくいろんな工房に持ち込んだ。

 できる範囲のものは、俺自身で数をそろえていった。

 資金は足りているし、準備期間中の生活費も、ベーシックインカムでまかなえる。

 本当はこうやって店を開こうとおもったら、その準備期間の分の金が必要になったりして大変だが、俺は大丈夫だ。

 そしてそして、将棋盤に次ぐもう一つの目玉がこれだ。


「できた……!」

「にゃ……? ショウキチ、こ……これは……?」

「これはフィギュアだ……!」

「フィギュア……? 彫刻じゃなくて……?」

「あーまあ、似たようなもんだ」


 そう、俺はレベッカを形どったフィギュアを作っていたのだ。

 素材は木でつくったものに、魔法でいろいろな加工をほどこしてある。

 このために金属化など、物質変化の魔法まで新たに習得したのだった。


「これ、もしかしてぼくかにゃ?」

「おう、そうだぞ。レベッカの可愛さを閉じ込めたんだ」

「な、なんだかいろいろといやらしいにゃ……」

「まあな……そこはこだわったよ」


 レベッカのお尻や胸をそのままフィギュアの魅力としてつめこんだ。

 まあ俺には本物のレベッカがいるから、必要ないけどな。

 だがこのフィギュアを売り出せば、きっとレベッカのファンが買うはずだ!

 まるねこ食堂にはたくさんのレベッカファンがいるからな。


 それに、それを差し引いても、非常に出来のいい彫刻としても価値があるはずだ。

 これほど細かい魔法加工技術、きっと俺以外にやっているやつはいないだろうからな。

 そのうち魔法加工技術の研究についての本でもかけそうなくらいだった。

 そうやってフィギュアの作り方とかを書いたら、それはそれで儲かるかもな……!


「それでショウキチは、いろんなものを作ってどうするつもりにゃ?」

「お店を開くんだよ!」

「おみせ……?」

「ああ、田舎でのんびりくらしながら、店を構えるのが夢だったからな」

「そういうことなら、ぼくも協力するにゃ!」

「ほんとか! ありがとう!」


 レベッカが店先にたってくれたら、本当に助かる。

 正直フィギアとかはさすがに俺が作らないと難しいし、店番がほしかったんだよな。

 それにレベッカは可愛いから、ここでも看板娘になってくれそうだ。


「そうだ! レベッカの料理も、お弁当にすればいいんだ!」

「お、おべんとう……?」

「ああ、お弁当箱もつくらなきゃ!」


 俺はさっそくドワーフのもとへいって、弁当箱の説明をしてきた。

 レベッカ弁当を作って売れば、職人や冒険者に大人気間違いなしだ!

 これはまるねこ食堂にはもうしわけないかもな……。

 いろいろと準備もととのってきたので、俺は新しく空き家を借りた。

 かなり金を使ってしまっているが、店を開けばなんとかなるだろう。

 店を構えるのは、俺の家からすぐそこの空き家だ。

 そこにいろんな商品を並べて、レベッカと夢のスローライフ生活をエンジョイするぜ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る