猫耳スキーの召喚勇者達
耳と尻尾と爪以外は人族とほぼ変わらないベルクァヘンプの民──白い毛並みが特徴的な猫系の獣人族は隔離されていた。
その隔離理由は、毎度毎度召喚された勇者を魅了してしまうのだと聞かされた。
最初は魔族の事かと思って聞けば、何の事は無い。
召喚勇者、みんな猫耳スキーなだけだった。
勇者に帯同し、魔王討伐に尽力した神殿騎士の長は、救世大教会、次代の教皇となる習わしがあった。
俺の代だとヨアヒム-スクアラーがそれにあたるが、あの魔王の森まで着いてきたのだ。それなりの位階には達していたし、ヒエネオスの中でも群を抜いた実力を身につけていたからわからなくもない。
時の教皇となった前代の元神殿騎士長には猫耳好き勇者のとろけっぷりが相当目に余ったらしく、俺が召喚されるまでの数百年の間、獣人の中でも特に扱い辛い猫系獣人に隔離政策を取っていたのだ。
あくまでも勇者とは人族の剣。
獣人に堕とされるわけにはいかないと、表向きは自治区としながらも狭く生きづらい土地に閉じ込めたのだ。
その数百年にわたる隔離政策の結果、絶滅寸前まで追いやられていて、アートリリィの嘆願と博愛主義の元、彼女達を救ったのだ。
自治区という名の牢を囲う結界はとりあえずローゼンマリーと共に崩壊させたり、クロィエと共に商人を呼び込んだり、アートリリィと共に紋様を教わったり、ヨアヒムを説得したりと忙しかった。
そして大喜びした彼女達からはナニとは言わないが、歓待されたのだ。
なぜなら男は女よりも数が少なく力も弱くあっちも弱かったのだ。
その為、ハーレムではあるが、男達はいつも怯えていて、完全な女尊男卑の貞操逆転社会を築いていたのだ。
だから彼女達はナニとは言わないが、飢えていた。まあ、爪はやっぱりナチュラルが良いなと思ってしまったのは致し方あるまい。
何せ彼女達は達する際に爪をギリギリと肉に食い込ませるのだ。
一人二人なら構わないが、それなりの数だったし、流石に虎柄の身体になるのは嫌だった。
まあそう言ったところで、止めはしないし回復魔法は使わないが。
それは男が全員生まれながらに持っている矜持みたいな痩せ我慢で、まあまあ大事な代物だ。
「この分量だと…麻理と俺の分が少し足りないかもな…麻理、また缶を集めてこれないか?」
「…京介、お姉ちゃん頑張ってくるから」
「あ、ああ、よろしく」
「お姉ちゃん…? …ってうわっ! 京介も小さい!」
紋様を施している合間合間に岩から削り出した盃みたいな器に温泉水を汲み、グビリグビリと体に入れておいた。
山賊の頭みたいだが、仕方あるまい。そういえばお頭はもう出頭したのだろうか?
まあいい。
とりあえずクロエくらい小さくなってしまったのだ。
「ああ、お揃いだな」
「おそろ…にへへへ…これはあれだね。幼馴染っぽい」
「そうか?」
「そうなの!」
違うが。
まあ本人が嬉しそうだしいいか。
スプレーの濃縮された定着しようとする魔力と温泉の薄く外に広がろうとする魔力。
この違う性質の効果を使って俺は効率よく魔力を練り上げ運用していたが、やはりこの温泉水の効果なのか身体は小さくなっていた。
まあ抵抗も出来たとは思うが、小さくなれば俺の服がバラせて装備を仕立て直せることを見越していたのもある。
おしっこも…大丈夫そうだしな。
すると、何を思ったのかクロエは仰向けに寝そべり、片手でお腹を捲るような仕草をした。
「先生…ボクお腹が痛いんです…! 診てください…ませんか? な、なんちゃって…あはは」
「恥ずかしいならするなよ」
こっちも照れるだろう。乗れと言われたら全力で乗るが、それはダンジョンを攻略してからだ。
「だってぇ…一度くらいしてみたかったんだもん」
「よし…わかった。先生にまかせろ」
というか勇者だが。
まあナニとは言わないが、生かすにしろ殺すにしろ、人体におけるエキスパートみたいなものだしあながち嘘ではないし大丈夫だろう。
各部位や働きの専門的な呼び方はアレフガルド語と諸先輩勇者が残した言葉しか知らないが。
指先スプレーによってまた心臓からスタートし、各紋様を繋ぎながら黒のアタリ線をつけていく。
途中二つの丘を覆う布はクロエがビリッと剥いだ。「や、やっぱりお医者さんには見せないとだね」なんて可愛らしくはにかみながら言った。色素の薄い小さなそれが顕になるが、何の為に絆創膏を小さくしたのか無駄になってしまった。
だが無駄だ。
今の俺は女の子の部屋も何もかも知らなかった少年時代を全力で演じている。ここにエロスがないのは嘘じゃあないが、そういうのは後だ。
「ちぇ。少しくらい照れてくれてもいいのに…」
「それはそれでまずくないか?」
「あーはいはい、好きに描いてよーだ! ふんっ!」
そう言いながらも身体に力が入ってるクロエ。あんまり力を入れられると困るんだが…
仕方がないのはわかるが、仕方ない。
別の案だ。
人差し指はやめよう。
一気に全部の指だ。
強張った身体を解すのは、だいたいこれしか俺は知らない。まあ触れるわけではないのだ。
壊れやしないだろう。
それに遠目ならくすぐってるようにしか見えまい。まあ、あれはあれで奥深いものがあるが。
それに今のショタ状態ならスィッチも入るまい。
「万歳してくれ」
「はいはい。あれ? なんで手が…離れないの? なんかした?」
吸着の魔法だな。
「あ、足もだけど…ねぇ、なんかしたよねっ?」
まあ、動くと邪魔だからな。
「な、なんか言ってよ!」
いや、声に出すと集中出来ないからな。
魔力的にも位階は低いし、バラしたとはいえ他人の魔力。そして少年時代のこの身体。
だからか、同時行使はまあまあ難しいんだ。
「え、何その指……なんでそんな早く?! ピアニストでもそんな動かないよ! 怖! え、や、やめ、やめてっ、怖いって!」
大丈夫だ。多分。
「手術を、始める」
さぁついでにくらうがいい。
数多の夜を駆け抜け、夢を解し魅せ続けてきたこの勇者の妙技を。
そしてその夢の中に微睡み落ちるがいい!
「や、やめ、触れなぃひぃぁぁぁ!!? ひぃ、ちょ、黙ってないで! あひッ?! な、なんか言ってよぉ! 京介! 京ってば! これ駄目なやつだって! ボク怖いよぉ!」
「これは、お医者さん、ごっこだ」
「絶対悪い医者だろぉ!? これなんか頭ビリビリするってぇ!? あひぃッ! や、あィ! あ、そんなとこダメだよ!」
「肌には、触れて、ない。もちろん、法にもな」
こっちの法律はあまり知らないが。
それに今の俺たちはショタとロリ。つまりR15。いろいろと大丈夫だろう。いろいろな汁があちこちから噴き出ているが大丈夫だろう。
「せ、責任、絶対取ってもらうからぁひいぃィィ…っ!!」
ああ、そういえばよく言われたな。
全てアレフガルドに置き去りにしてきたが。
流石に孕ませたなら魔王はともかく、アレフガルドの地に骨を埋めていた。
避妊魔法のおかげだな。
まあ、そのせいで君は今こんな目に遭っているわけだが。
「き、きょ、ぅあ、あ、ああ、あ、あっ、あィ──…!」
あ。失神した……よし、このまま色付けまでやってしまおう。
「
「あィ…」
これで黒の紋様の間に見える地肌に、透明感溢れる色が皮膜のようにしてつく。
純粋な付与魔法ではないが、これで勇者式バトルドレスの完成だ。
我ながらいい仕事が出来たのでは無いだろうか。
「……」
でもこれ…なんか…レース柄の全身タイツみたいだな…アレフガルドならば気にもしないが、この元世界のロリにはまずい気がしてくるな。
やっといてなんだが。
しかし…ロリが素っ裸に全身タイツで白目剥いて気絶してると、お巡りさんのところに行きたくなるな…
俺がヤりました、と。
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