サマーオブラブ2 - 猥褻物陳列罪
| 浅倉 春馬
「まあ…愛香さんが良いのなら…その、否定はしませんが…会わせる、となると…」
「あーみんなお膳立てはやだもんね」
「他とかどーでも良くなるし、気にせず会えば良いのにね〜まあ、瑠璃なんてベッドの下に居たら逢えたし〜偶然だったけど!」
「俺、何回イッたかわかんねーもんな」
「純さんはだいたいがお仕置きされただけでしょ」
「きょんくんのお仕置き…すごかったわね。たまには良いのかも」
「ちょっとひーちゃん、円卓協定はどしたの。それじゃないの? 那奈ちんとか怒ってんの」
「レイプ犯は黙ってなさい。ちゃんと誘ってくれたわよ」
「お前らが誘ってたんじゃねーか! 特に聖! 詩乃!」
「しー! 純さん! もー!」
「ふん、きょんくんが堕ちただけよ。わたし達の魅力に」
「そだよ。そうそう瑠璃、壁ドンされたんだよ! すごいんだよ!」
「ルーリーのは違う壁ドンだろ。中が浅いだけだろ。俺だけ除け者にしやがって」
「…ごくり」
おいおいこいつらみんな好きもんか!? 最高かよ。
この恋を叶えるためには…その京ってやつから愛香ちゃんを寝取ればいいのか。
それには自信があるぜ。彼氏持ちの女も嫌がる女も何も知らない女も例外なく落としてきた。
しかし、問題はどう一人だけ引き剥がすかだな。一人だけなんて、みんな着いてきそうだしな。はは。
「だいたいそんな事だと思ってたし。夏休みは譲ってあげなよ?」
「あの永遠が…」
「あの永遠ちゃんが…」
「あの永遠さんが…」
「…ちょっと。それどういう意味だし。そういや絹ちんは?」
「ああ、絹子さんは西区ですわ。なんでも一夜にしてお城が建ったそうで。彼女は…京介さん絡みだと。魔女と向かいましたわ。良い物件でしたら押さえようかと思っていますわ」
「エリちん相変わらずだし…」
「そうだよね。スケール違い過ぎ。昔も京介くん家の隣買おうとしてたよね…」
「山神地区は難しいのですわ…諦めてませんけど。最近お父様とお爺様の機嫌が良くて。もしかしたらと。隣で…お弁当作って差し上げて…朝起こしに行って…それから…うふふ…」
「ふーん。あ、朋ちゃ〜ん! こっちこっち〜!」
「愛香…おはよ…こんなに多いとか聞いてないんだけど…もしか、京ピの女? 達?」
「そだよ〜そして、なんとみんな幼馴染」
「驚きの人数なんだけど…」
今度はダウナー系美少女か! スタイル良いな…こいつもエロい。
というかみんな幼馴染でその京ってやつの女だと? そんな事ってあるのか?
嫉妬なんて今までされる側だった。これか、このモヤモヤイライラする、これが嫉妬か。いや、落ちつけ、浅倉春馬。目的と目標を見失っちゃいけない。
「彼女が朋花? はろー。朋ちんって呼んでいい?」
「うっ、すごい可愛い…くない胸…いいけど…ちょっと愛香、誰?」
「あー、強姦系爆乳美少女?」
「愛ちん! それやめてってば! てかそもそも何で知ってるし!」
「えー匂いかな〜? 彼女が永遠ちゃんだよ」
「愛香ならあり得そうね…よろしく、強姦姫さん」
「…初対面でキツいし…リスト入りかな」
「あら、未知瑠さんも来ま…どなたか隣にいらっしゃいますわね…聞いてますか?」
「いや、聞いてねーぞ。聖は?」
「何も。未知瑠の友達じゃないかしら?」
「おーアイドルってやつじゃない? 可愛いっぽいし」
「未だに未知瑠がアイドルとか信じられないんだけど…何で八文字捨てれるし…」
「行動お馬鹿でしたから…純さんと一緒で」
「詩乃! 未知瑠と一緒は何か俺が可哀想だろ!」
「そっくりそのまま返すよ純くん。みんな久しぶり〜! ただいま〜キラッ!」
「ちょっとミッチ、往来でやめて! 初めまして。ミッチと同じグループの
「ん〜? ああ、みんなヤバいよ? 良くわかったね。みんな取り繕うの上手いのに…そうそう、狂っててヤバいんだよ〜」
「まさかのそっち?! 可愛さそっちのけ!?」
「お前に言われたくねーよ!」
「そうですわ。明雪さん、初めまして。和光エリカと申します。私達とも仲良くしてくださいね」
「はい。こちらこそ。…まともじゃない…良かった…で、どの子? どの子が恋敵なの?」
「ん〜? 京介くんとキメてる奴は敵だし、全員かな」
「何を言うの…そんなわけ…それにそんなの絶対ギスギスするじゃない」
「何、未知瑠。わたしとやろーっての? またカミナリ喰らいたいの?」
「おい、俺も混ぜろよ」
「未知瑠さんとは一度きっちりとさせておきませんと」
「はあ……? 八文字舐めてんの? 良いよ、絶対全員泣かすから」
「ギスギス通り越した!? 急にレッドゾーン?! ミッチまで! みんな血の気多すぎ…こんなに可愛いのに…ちょっと! ミッチやめなさいって…」
「へー…わたしも敵なのかな〜?」
「あ、あ、愛、香…ちゃん…ひ、久しぶり〜もちろん愛香ちゃん以外ね! 愛香ちゃん以外! あ…ははは」
「え、超可愛い…超タイプ…愛香ちゃん…っていうのね…ちょ、ミッチ、背中押さないで! 隠れるなんて失礼でしょ! 一番大人しそうな子じゃない!」
「アホ! 馬鹿! アホ! そんなわけないでしょっ! マッシーは知らないから! 一番! 彼女が一番狂ってるんだから!」
「何か…言ったかな? かな?」
「ひぃぃぃぃ! 何も無いよ、無い無い!」
「愛ちん、その目止めるし…あ、遊ちんからだ……なんか大勢いすぎて引いてるって。どこか移動しよっか」
「でしたら、久しぶりに円卓でお茶会でもいかがですか? 愛香さんも永遠さんもお友達とご一緒に是非」
「いいの? なら朋ちゃん、お邪魔しよーよ」
「おー、いーじゃん。なんか周りからも見られてるし、何か買ってこーよ。てか、この男の人どうすんの? 瑠璃、殴れないよ? 擦りつける相手もいないし」
「はっ!」
初めての嫉妬に、途中から空気になっていた…
学校一可愛い未知瑠ちゃんが、この子たちの中ではほとんど目立たない…だと…しかも、真白ちゃんまで埋もれるなんて…
ん? 今殴るって言ってた?
「え! ミッチ! なんで浅倉が居るの! スキャンダルとかまずいわよ!」
「そんなの知らないけど…あ、でも大丈夫。愛香ちゃんいるし」
「そうね」
「謎の信頼感なんだけど…異様に恐れてたりなんなのよ、いったい…だいたいこんな華奢で可愛い子がもし浅倉の毒牙にかかったら…あ、あ、近づいちゃ駄目よ…そいつクズのヤリチンなんだから…あ、あ…」
「良いから任すし。愛ちん居たらアイスピック要らないから楽……あ、遊ちん見っけ」
「アイスピック…?」
「私も。今日は紐持ってないわ」
「紐…?」
「そうだな。俺も爺様に怒られずに済む」
「私達だとどうしてもやり過ぎますしね。警察沙汰は懲り懲りです。マジ面倒くさい」
「警察沙汰?!」
「もーみんな黙ってて。おにーさん。ちょっとこの手のひら見てて、耳貸してー。ふふっ」
うぉ…近くで見ると吸い込まれそうだ。このドキドキ…これはやっぱり恋だな。未知瑠ちゃんは…また二学期で会える。
今はこの出会いに全力を尽くす!
手のひら? 小さくて、守ってあげたくなるほど可愛い手だ…くそ、手のひらにも恋出来るなんて…何か…何だ? これがトキメキってやつなのか? あれ…? なんだ、意識が…いや、誘え! 誘うんだ、浅倉春馬!
「あのさ、俺ホテル取ってるから後で抜け出して────」
◆
「あれ? なんだか…浅倉の様子が…ふらふらと…ぼんやりとして…」
「無警戒に愛香さんに近づくとこうやって簡単に催眠にかかりますわ。これが怖いのですわ」
「明雪さんも気をつけてくださいね。目を合わせては駄目ですよ。手の振りも気をつけて。彼女の仕草と言葉に意識を向けるとマジ怖いので」
「幼馴染の共通認識だな。いつ仕掛けてくるかわかんねーからおっかねー。発動も読めやしねー」
「そんな…冗談でしょう? ミッチ…ミッチ? あ、駄目、何かマジっぽい」
「わたし、わたし、早く道端で、雄犬のように、おしっこしないといけないワン…?」
「当てられましたのね…純さん」
「任せろ。うらぁっ!」
「げぼぉッッ!? 何? わたし? 誰? 犬? アイドル? ミッチだよ! キラッ!」
「ミッチ!? これ大丈夫なの?!」
「大丈夫大丈夫。未知瑠、素直馬鹿だからまだ昔の残ってるだけだし」
「しかし、いつ見ても恐ろしいですわ…たまに自分を疑いますもの…」
「わかる。初見殺しだよね」
「も〜みんな酷いよぉ。これが無いとナンパ躱すとか情報集められないから仕方なくだよぉ」
「絶対嘘だし。バレンタインの時絶対やったし、こいつ」
「わたしはやってないもん!」
「それにしても…威力とスピード…上がってますわね…」
「愛香…驚きの特技なんだけど… え、まさか初めての時…」
「んー? そんな事しないよ? 京ちゃんの前でするわけないじゃん。こんなの可愛くないしー蹴落とす時だけーふふー内緒だよ?」
「こっわ…」
「なんなのよ、その基準…きょんくんに昔一回使ったでしょ。まあ、あれは仕方ないけど…いいわ。エリカ、行きましょう」
「そうですわね。迎えを呼びますわ。愛香さん」
「オッケー。じゃあ、放つねー。そこに可愛い子いるよー、ツヤツヤピカピカの女の子だよー。そうそう、あの裸の子だよ。おにーさんは今、夏の恋をしてるの。運命のヒトが裸で待ってるよ。アイン、ツバァイ、ドライ! それっ!」
「銅像なら迷惑なんないか。良いチョイスだし」
「だな」
「浅倉が…銅像口説いてる…パントマイムみたい…ミッチの友達…いろいろと…ヤバいわね…」
「でしょっ? あ、そうだ。マッシーようこそ、天養へ! いててて…何でお腹が…差し入れのエクレアかな…」
「いえ、見えない…一撃だったわ…ミッチ。セリアにも言っておこうかしら…」
◆
「…眠らせ、口裂け、突き刺し、肉断つ…泣き面まで…濡れ衣に綾取りもいて…そしてあれが…頂点…狂愛の…絡繰り姫……操られるって都市伝説じゃなかったんだ…」
「どしたの、遊ちん?」
「何でも! 無い、です…永瀬先輩…ちょっとお腹一杯なんですけどぉ…」
「えー食べてきたの? ランチしよって言ったじゃん」
「そうじゃないんですけどぉ…濃すぎなんですけどぉ…」
「暑いし、さっぱりが良いよねーやっぱり」
「違うんですよぉ…」
◆
その日、天養駅で人気若手俳優が捕まった。なんでも地元民から愛されている銅像に裸になってむしゃぶりついていたそうだ。
取り調べによると彼はまるで現実感のない事をひたすら話している様子で、警察は薬物の使用の疑いもあるとして、余罪が無いか慎重に調べている。
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