サマーオブラブ

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サマーオブラブ1 - 浅倉春馬の初恋

| 浅倉春馬



 俺は夏季休暇を利用して、八文字未知瑠ちゃんの故郷に来ていた。


「小さな街だ…ふふ」


 ぶっちゃけ、あそこに居れなかったのもあった。引っ掛けた女が、怖いやつの女だった。

 事務所が対応するから頭を冷やして隠れておけと言われ、それならばと未知瑠ちゃんのところに来たのだ。


 学校一の美少女、八文字未知瑠。しかも芸能人が多数在籍する我が校でだ。何度も振られたが、絶対にモノにする。それだけの価値はある。


 練習の汗が、熱が、本気さが、違う。


 輝きが、煌めきが、持ってるモノが、違う。


 そして男に興味なんて微塵も無く。


 無垢っていうのか。


 ピュアっていうのか。


 まさに天使。まさにアイドル。なんてったってアイドル。


 未知瑠ちゃんはじっくり行かないといけない。まだ15歳。多分付き合ったことなどないはずだ。


 だから攻め方を変える。親元を離れてるんだ、故郷の話を出来るやつは周りに居ないだろうし、共通の話題なら食いつくだろう。そのためにこんな地方都市まで来たんだ。



 まあ、それはそれだ。


 ホテルは一週間抑えたから、まずは今日の遊び相手を探すとしよう。これが地方の楽しみ方だな。同時に地元民のローカルな話題も手に入るしな。



「何かレベル高くないか…?」



 そんな事を考えながら天養駅周辺をぐるぐる歩いていると、通る女、通る少女のレベルが高い。



「これは…期待できるな」





「なんだあの美少女は…しかも二人だと…」


 駅の裏、山手側の裸婦像前のベンチに、超絶美少女が、なんと二人もいた。


 サングラス越しでも輝いて見える…


 正直芸能界でもお目にかかれないような女が…二人も…

 一人は妖精のような儚さを讃えた…透明感抜群の正統派美少女で、スタイルも良い。

 もう一人はあどけない顔のナチュラルメイクの美少女…なのに爆乳。


 これは声をかけなきゃ嘘だ。





「ねー、愛ちんさー。なんで手を緩めたの? わたしまだ疑ってるんだけど」


「ふふー、何でだろうね? でも流石は永遠ちゃん。本人に言っちゃうところが、らしい」


「…いや、愛ちんが良いなら良いんだけどさ、京くんの事、このまま奪うよ?」


「ふふー、永遠ちゃんは周りをよく見たら?京ちゃん以外にも…ほら、なんかイケメンがこっち見てるよ」


「操るのやめてよ。気持ち悪い。とりあえず知りたいのは昔と方針が違うのかどうか。そんだけ。あんだけ円卓否定してたのに、どうしてまた…」


「うーん。そうとも言えるんだけど、何と言えば…」



「ねえ! そこの君達、地元の人? 良かったら案内してくれないかな?」


 我ながら絶妙なタイミングで入った。目線すら合わせないこの二人、多分そこまで仲は良くないとみた。

 俺が緩衝材になる事で会話の主導権をもらう!


 が、一瞥すらしないだと? そうか。顔見れないか。なんか純粋っぽいし。まあ、仕方ないか。俺、イケメンだしな。同じような反応をよくされるし、照れてるんだろう。多分この後チラチラ見てくるだろう。



「何それ。はっきりしないなんて、愛ちんらしくないじゃん」


「だって本当に言い難くって。それより、まだ? その遊子ちゃんって子」


「ふーん。いっつも策をこれでもかと捏ねる愛ちんがね〜嘘は…ついてないし…まだかかるって。そっちは? 朋花、だっけ? 京くんのこと好きなやつ」


「眠らせちゃ駄目だからね。彼女、京ちゃんが救ったんだからね」


「しないし! 人のことなんだと思ってんの!」


「えー、強姦魔? それとまだわたし、昔のこと許したわけじゃないから」


「うっ…あれは、その、身体が動いたっていうか…疼いたっていうか。京くん許してくれたし! だいたい昔の事なら愛ちんだって中学に上がる時のこと、許してないからね!」


「あはは…だって永遠ちゃん転校するし、誤情報ばら撒いても、まあ良いかなって」


「あの後無茶苦茶誤解されたんだから! 誰が百合ガチ勢だし!」



「……っ」


 この俺が放置だと? これでも若手No.1に選ばれた俳優だぞ…こんなのプライドが許さない。しかも爆乳の方は…強姦魔だって? 純粋そうな感じなのに…なんだ、処女ビッチってやつ…か? そんなわけないだろ。というか、クソ可愛いな、二人とも。未知瑠ちゃんよりも…



「ね、この辺で美味しいご飯食べれるところ知らない? 良かったら奢るよ?」



 見たところ女子高生…だと思う。喧嘩は勘弁だが、この二人はそこまで本気じゃない…どう攻めるか。

 あれ…なんだ? また美少女が近づいて…くるぞ…今度は少し大人っぽい清楚なクラス委員長って感じの美少女だ…スタイル良すぎだろ…エッロ。



「何してるの、愛香、永遠。サイコパスが揃って悪巧み?」


「聖ちゃん、ヤッホー。あれ、一人なんだ」


「ちょっと。ひーちゃんさー。愛ちんと一緒は流石に酷くない? 久しぶり」


「それが一番酷いよ、永遠ちゃん」


「適切な評価よ。久しぶり、永遠。瑠璃も居るわよ。あそこ」


「はろはろ〜何なに、こんなとこに巨悪三人が揃い踏み! 迫力あるね〜怖い意味で」



 何? また!? 今度は健康的ショートカット美少女だと…どうなってんだ…



「冗談はお漏らしだけにしたら?」


「そうだよ。下も上も軽いんだから」


「何、瑠璃ちんまだ治ってないの?」


「はあー!? それは言っちゃ駄目なやつでしょ!」



 お漏らし! こんな美少女がお股ジャバジャバだと? おっ勃つじゃないか。

 あ! ちんたらしてたらイケメンがこっち来るじゃないか。

 二人も要らないんだよ!



「お! 永遠じゃん! 久し…げ、愛香…」


「…愛ちん、純に恐れられるとか何したらそうなるし。こいつちょっとした怪物なのに。すぐ忘れる馬鹿なのに」


「え〜酷いなぁ。ちょっと昔操っただけだよぉ」


「なんだ、いつものやつか…純、簡単そうだし、仕方ないか」


「…永遠、いつの間に愛香と? こんなおっかない奴と…お前、やっぱすげぇな!」



「君、ちょっといいかな?」


「あん?」



 よし、反応した! こいつを取っ掛かりにして、輪に入るぞ。見たところ友達っぽいし。



「彼女達は君のガールフレンドかい? 良かったら紹介してくれないか?」


「……」



なんだ? みんな沈黙して…



「……瑠璃ちゃん」


「あー知らないよーこないだ痛い目にあったから、京介くんの前以外じゃ、じゅんじゅんイジらないからー」


「ぷぷっ、純、応えてあげなさいよ」


「そうだよぉ。純くん?」


「……てめーら」


「純…だからあれほどわたしみたいに女磨けって言ったし…」


「……お前は骨折ってただけだろ」


「あれは、その…戦略と確認…だし」


「わかるように言え!」


「そういうとこだし。愛ちんもさあ。この学費無駄女に何か言いなよ。せっかくお嬢様学校行ってんのに」


「ん〜純くんはそのままのが良いかな」


「あ、愛香…まさか…まさかお前が俺を…庇う日が来るなんて…なんて日だ!」



 しまった、こいつも女? 俺っ子か! 男の格好して背も高いからてっきり…ならこいつも美人だよな…なんだここは。楽園かよ。



「あはは、女の子、だったんだね。格好良いからつい間違えちゃったよ。ごめんね?」


「……ちっ、なんだこいつ」



 舌打ちしやがった…こいつもしかして百合か?

 あ、また来たぞ…今度は清楚系お姉さんキャラか。こいつも美少女かよ…ほんとどうなってんだ…



「あ、永遠さ〜ん! ひえ、愛香…さん…あはは」


「あ、詩乃ちゃ〜ん。……あれ? 何かわたし、永遠ちゃんより恐れられてる? それかなり嫌なんだけど…」


「当たり前だし。何かも何もよく振り返るといいし」


「永遠ちゃんの方が酷かったじゃない!」


「愛ちんよりマシだし! もう仲直りしたし!」


「永遠さんとはズッ友です。ところで愛香さんと永遠さんはいったい何を? それにいったい誰ですか? この痛い勘違いグラサン野郎は」



 こいつ、結構毒吐くな…美少女なのに…いいじゃないか。しかもエロいケツして生意気な。ハメながらスパンキングしたら喜びそうだな…



「俺かい? 俺は────」


「知らない人」

「ナンパじゃないかな?」



 バッサリかよ。それに…今度はスタイル抜群金髪碧眼お嬢様系美少女が近づいてくるぞ…?… 全員知り合いか? 嘘だろ…このままアイドルグループ作れそうなんだが…



「あら、皆さんお早いお着きで…愛香さんと永遠さんまで…何の集まりですの?」


「あ、エリカちゃん。久しぶり〜永遠ちゃんの舎弟? ちょっと話を聞こうと思ってね」


「ご無沙汰しておりますわ。愛香さん。あら、もしかして魔女ですの? でしたら私も後程同席させてくださいな」


「構わないけど…エリちんはどうしたの?」


「未知瑠さんが帰ってくるので、みんなでお出迎えしようかと思ってましたが…」



 もしかしてこれ全員未知瑠ちゃんの友達なのか! すげぇ。未知瑠ちゃんでも霞む美少女が二人も居て…それに…だいたい方向性が違うだけで、全員美少女だ…1人くらい抱かなきゃ嘘だろ…しかし、これだけ居ると難しいな…目移りしてしまう。



「待とうよ! ね、永遠ちゃん?」


「未知瑠か…久しぶりだし、良いよ」


「那奈ちゃんとリリちゃんララちゃんは?」


「それが…どうも拗れてしまいまして…」


「嘘! 円卓崩壊? いやリリララちゃんは…家で…那奈ちゃんは…京ちゃん絡みかな?」


「…流石ですわね…その通りですわ。何か良い方法はないでしょうか…」



 しかし、ここまで無視されるとは…未知瑠ちゃんを引き合いに出してみるか。せめて連絡先くらいは押さえたい。



「みんな未知瑠ちゃんの───」



「簡単だよ。京ちゃんとエッチしたら万事解決だよ」



 何?! こんな超絶美少女からそんな言葉が…なんだ? みんな一様に照れた顔して…まさかその京って男が?! 


 くそっ! そりゃ、こんなに可愛いんだ。男が放っておかないか…でもこの子の…無垢な感じ…絶対処女だと思ってた…会ってもないのに…これが嫉妬なのか? この俺が? そんなこと…


 これは…恋かもしれない。


 よし、今日の相手は君にキメた!




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