サマーオブラブ
サマーオブラブ
サマーオブラブ1 - 浅倉春馬の初恋
| 浅倉春馬
俺は夏季休暇を利用して、八文字未知瑠ちゃんの故郷に来ていた。
「小さな街だ…ふふ」
ぶっちゃけ、あそこに居れなかったのもあった。引っ掛けた女が、怖いやつの女だった。
事務所が対応するから頭を冷やして隠れておけと言われ、それならばと未知瑠ちゃんのところに来たのだ。
学校一の美少女、八文字未知瑠。しかも芸能人が多数在籍する我が校でだ。何度も振られたが、絶対にモノにする。それだけの価値はある。
練習の汗が、熱が、本気さが、違う。
輝きが、煌めきが、持ってるモノが、違う。
そして男に興味なんて微塵も無く。
無垢っていうのか。
ピュアっていうのか。
まさに天使。まさにアイドル。なんてったってアイドル。
未知瑠ちゃんはじっくり行かないといけない。まだ15歳。多分付き合ったことなどないはずだ。
だから攻め方を変える。親元を離れてるんだ、故郷の話を出来るやつは周りに居ないだろうし、共通の話題なら食いつくだろう。そのためにこんな地方都市まで来たんだ。
まあ、それはそれだ。
ホテルは一週間抑えたから、まずは今日の遊び相手を探すとしよう。これが地方の楽しみ方だな。同時に地元民のローカルな話題も手に入るしな。
「何かレベル高くないか…?」
そんな事を考えながら天養駅周辺をぐるぐる歩いていると、通る女、通る少女のレベルが高い。
「これは…期待できるな」
◆
「なんだあの美少女は…しかも二人だと…」
駅の裏、山手側の裸婦像前のベンチに、超絶美少女が、なんと二人もいた。
サングラス越しでも輝いて見える…
正直芸能界でもお目にかかれないような女が…二人も…
一人は妖精のような儚さを讃えた…透明感抜群の正統派美少女で、スタイルも良い。
もう一人はあどけない顔のナチュラルメイクの美少女…なのに爆乳。
これは声をかけなきゃ嘘だ。
◆
「ねー、愛ちんさー。なんで手を緩めたの? わたしまだ疑ってるんだけど」
「ふふー、何でだろうね? でも流石は永遠ちゃん。本人に言っちゃうところが、らしい」
「…いや、愛ちんが良いなら良いんだけどさ、京くんの事、このまま奪うよ?」
「ふふー、永遠ちゃんは周りをよく見たら?京ちゃん以外にも…ほら、なんかイケメンがこっち見てるよ」
「操るのやめてよ。気持ち悪い。とりあえず知りたいのは昔と方針が違うのかどうか。そんだけ。あんだけ円卓否定してたのに、どうしてまた…」
「うーん。そうとも言えるんだけど、何と言えば…」
「ねえ! そこの君達、地元の人? 良かったら案内してくれないかな?」
我ながら絶妙なタイミングで入った。目線すら合わせないこの二人、多分そこまで仲は良くないとみた。
俺が緩衝材になる事で会話の主導権をもらう!
が、一瞥すらしないだと? そうか。顔見れないか。なんか純粋っぽいし。まあ、仕方ないか。俺、イケメンだしな。同じような反応をよくされるし、照れてるんだろう。多分この後チラチラ見てくるだろう。
「何それ。はっきりしないなんて、愛ちんらしくないじゃん」
「だって本当に言い難くって。それより、まだ? その遊子ちゃんって子」
「ふーん。いっつも策をこれでもかと捏ねる愛ちんがね〜嘘は…ついてないし…まだかかるって。そっちは? 朋花、だっけ? 京くんのこと好きなやつ」
「眠らせちゃ駄目だからね。彼女、京ちゃんが救ったんだからね」
「しないし! 人のことなんだと思ってんの!」
「えー、強姦魔? それとまだわたし、昔のこと許したわけじゃないから」
「うっ…あれは、その、身体が動いたっていうか…疼いたっていうか。京くん許してくれたし! だいたい昔の事なら愛ちんだって中学に上がる時のこと、許してないからね!」
「あはは…だって永遠ちゃん転校するし、誤情報ばら撒いても、まあ良いかなって」
「あの後無茶苦茶誤解されたんだから! 誰が百合ガチ勢だし!」
「……っ」
この俺が放置だと? これでも若手No.1に選ばれた俳優だぞ…こんなのプライドが許さない。しかも爆乳の方は…強姦魔だって? 純粋そうな感じなのに…なんだ、処女ビッチってやつ…か? そんなわけないだろ。というか、クソ可愛いな、二人とも。未知瑠ちゃんよりも…
「ね、この辺で美味しいご飯食べれるところ知らない? 良かったら奢るよ?」
見たところ女子高生…だと思う。喧嘩は勘弁だが、この二人はそこまで本気じゃない…どう攻めるか。
あれ…なんだ? また美少女が近づいて…くるぞ…今度は少し大人っぽい清楚なクラス委員長って感じの美少女だ…スタイル良すぎだろ…エッロ。
「何してるの、愛香、永遠。サイコパスが揃って悪巧み?」
「聖ちゃん、ヤッホー。あれ、一人なんだ」
「ちょっと。ひーちゃんさー。愛ちんと一緒は流石に酷くない? 久しぶり」
「それが一番酷いよ、永遠ちゃん」
「適切な評価よ。久しぶり、永遠。瑠璃も居るわよ。あそこ」
「はろはろ〜何なに、こんなとこに巨悪三人が揃い踏み! 迫力あるね〜怖い意味で」
何? また!? 今度は健康的ショートカット美少女だと…どうなってんだ…
「冗談はお漏らしだけにしたら?」
「そうだよ。下も上も軽いんだから」
「何、瑠璃ちんまだ治ってないの?」
「はあー!? それは言っちゃ駄目なやつでしょ!」
お漏らし! こんな美少女がお股ジャバジャバだと? おっ勃つじゃないか。
あ! ちんたらしてたらイケメンがこっち来るじゃないか。
二人も要らないんだよ!
「お! 永遠じゃん! 久し…げ、愛香…」
「…愛ちん、純に恐れられるとか何したらそうなるし。こいつちょっとした怪物なのに。すぐ忘れる馬鹿なのに」
「え〜酷いなぁ。ちょっと昔操っただけだよぉ」
「なんだ、いつものやつか…純、簡単そうだし、仕方ないか」
「…永遠、いつの間に愛香と? こんなおっかない奴と…お前、やっぱすげぇな!」
「君、ちょっといいかな?」
「あん?」
よし、反応した! こいつを取っ掛かりにして、輪に入るぞ。見たところ友達っぽいし。
「彼女達は君のガールフレンドかい? 良かったら紹介してくれないか?」
「……」
なんだ? みんな沈黙して…
「……瑠璃ちゃん」
「あー知らないよーこないだ痛い目にあったから、京介くんの前以外じゃ、じゅんじゅんイジらないからー」
「ぷぷっ、純、応えてあげなさいよ」
「そうだよぉ。純くん?」
「……てめーら」
「純…だからあれほどわたしみたいに女磨けって言ったし…」
「……お前は骨折ってただけだろ」
「あれは、その…戦略と確認…だし」
「わかるように言え!」
「そういうとこだし。愛ちんもさあ。この学費無駄女に何か言いなよ。せっかくお嬢様学校行ってんのに」
「ん〜純くんはそのままのが良いかな」
「あ、愛香…まさか…まさかお前が俺を…庇う日が来るなんて…なんて日だ!」
しまった、こいつも女? 俺っ子か! 男の格好して背も高いからてっきり…ならこいつも美人だよな…なんだここは。楽園かよ。
「あはは、女の子、だったんだね。格好良いからつい間違えちゃったよ。ごめんね?」
「……ちっ、なんだこいつ」
舌打ちしやがった…こいつもしかして百合か?
あ、また来たぞ…今度は清楚系お姉さんキャラか。こいつも美少女かよ…ほんとどうなってんだ…
「あ、永遠さ〜ん! ひえ、愛香…さん…あはは」
「あ、詩乃ちゃ〜ん。……あれ? 何かわたし、永遠ちゃんより恐れられてる? それかなり嫌なんだけど…」
「当たり前だし。何かも何もよく振り返るといいし」
「永遠ちゃんの方が酷かったじゃない!」
「愛ちんよりマシだし! もう仲直りしたし!」
「永遠さんとはズッ友です。ところで愛香さんと永遠さんはいったい何を? それにいったい誰ですか? この痛い勘違いグラサン野郎は」
こいつ、結構毒吐くな…美少女なのに…いいじゃないか。しかもエロいケツして生意気な。ハメながらスパンキングしたら喜びそうだな…
「俺かい? 俺は────」
「知らない人」
「ナンパじゃないかな?」
バッサリかよ。それに…今度はスタイル抜群金髪碧眼お嬢様系美少女が近づいてくるぞ…?… 全員知り合いか? 嘘だろ…このままアイドルグループ作れそうなんだが…
「あら、皆さんお早いお着きで…愛香さんと永遠さんまで…何の集まりですの?」
「あ、エリカちゃん。久しぶり〜永遠ちゃんの舎弟? ちょっと話を聞こうと思ってね」
「ご無沙汰しておりますわ。愛香さん。あら、もしかして魔女ですの? でしたら私も後程同席させてくださいな」
「構わないけど…エリちんはどうしたの?」
「未知瑠さんが帰ってくるので、みんなでお出迎えしようかと思ってましたが…」
もしかしてこれ全員未知瑠ちゃんの友達なのか! すげぇ。未知瑠ちゃんでも霞む美少女が二人も居て…それに…だいたい方向性が違うだけで、全員美少女だ…1人くらい抱かなきゃ嘘だろ…しかし、これだけ居ると難しいな…目移りしてしまう。
「待とうよ! ね、永遠ちゃん?」
「未知瑠か…久しぶりだし、良いよ」
「那奈ちゃんとリリちゃんララちゃんは?」
「それが…どうも拗れてしまいまして…」
「嘘! 円卓崩壊? いやリリララちゃんは…家で…那奈ちゃんは…京ちゃん絡みかな?」
「…流石ですわね…その通りですわ。何か良い方法はないでしょうか…」
しかし、ここまで無視されるとは…未知瑠ちゃんを引き合いに出してみるか。せめて連絡先くらいは押さえたい。
「みんな未知瑠ちゃんの───」
「簡単だよ。京ちゃんとエッチしたら万事解決だよ」
何?! こんな超絶美少女からそんな言葉が…なんだ? みんな一様に照れた顔して…まさかその京って男が?!
くそっ! そりゃ、こんなに可愛いんだ。男が放っておかないか…でもこの子の…無垢な感じ…絶対処女だと思ってた…会ってもないのに…これが嫉妬なのか? この俺が? そんなこと…
これは…恋かもしれない。
よし、今日の相手は君にキメた!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます