ダズンローズ17 - 魔女はるはるの魔法

| 飛鳥馬 遊子



丸テーブルの口裂け姫にあんな事を言われ、事務所の社長椅子に座り、クルクルと回りながらボーっと考えていた。


なんかずっとソワソワしてる…


魔女同士での裏切りはしない約束だった。ただ、抜け駆けやエッチなんて、みんな何にも考えてなかった。精々がキス…したら、なんて…それがまさかの…


よし、やっぱりはるはるに直接聞こう!





「ねーはるはるーなんか京介さんのことでうちらに隠してない?」


『…』



「沈黙は肯定と見做す、だっけ。うみうみが言ってたけど、こういう時に使うんだね………はるはるっ!」


『…はいはい、しましたよ。致しましたよ。すみませんでした〜みんなより先に大人になってました〜』



はるはるの様子がおかしかったのは、これだったんだ。


クネクネソワソワしてたのは雑草じゃなくて…花が咲いてたんだ…


そしてこの態度…はるはるの首の根、引き抜こうかな…



「…その態度…それは駄目なんじゃない?」



『だって…ゆーゆー、お子ちゃまなんですもの…』


「はあーん! どこが! ぁ、いや…」



そんなの自分でもわかってるよ! 眠らせと口裂けに女として負けてるの! なんなのよ、あのおっぱいとお尻! 大人って感じで…それに比べて…なんの特徴もない…私の身体…なんて…あ〜なんかイライラする!



『…今ソワソワしてるでしょ? でも何したらいいかわかんないんでしょ? だからなんかイライラしてるんでしょ? それこっちに伝わるから。そうですねー。そこから丸テーブル覗けますか?』


「覗く?! そんなこと…なんか駄目でしょ!」



はるはるは何言ってんの! そーゆーのはなんか駄目でしょ! それに…王子様の…京介さんは、た、多分、はだ、はだかが…それにほかの女と…ショックで魂抜けちゃうでしょ!



『はー…だからお子ちゃまなんです…良いですか、今はピンチですか? チャンスですか?』


「………チャンス…だと…思う…いや、逆にピン───」


『そうです! チャンスなのです! しかも他の魔女はいない! なら…ね? あ〜変わって欲しい! というか場所どこですか? そっこー行きたいんですけど!』



はるはる…いつからそんな肉食系ビッチに…あんたキス話で顔赤くしてたじゃない! それに生粋のストーカー…駄目だ、負けちゃう! そんなの嫌! それに…さっきの部屋から聞こえてきた…行く。


覗いてやるんだから!



「……場所は教えないよ…今…覗い…た…」


『…どうですか?』



「あ、あ、ああ…すごい…大きな…のが…」



口裂けのおっきな…うわっ! うわー、うわー、すご、うわぁー、うわぁ! あひあひとか言うんだ…うわぁ! うっわぁ!



『思い出すからやめて! 具体的なのはやめて! でも安心してください。京介さんは不思議使いなので痛くありません。寧ろ逆で辛いかもです』



「不思議は知ってるよ…さっき巻き込まれたから…いや…あれ…だって、私の木刀くらいの…が丸テーブルの口裂けの…」


『だからやめて! それは良いから。お相手の様子は? まあ聞こえる限り、だいたいわかりますけど……イラつきますけど』

 


口裂け…口、裂けるくらい叫んでるけど…やめてって、ダメって言ってるけど…そんな顔してないんですけど…うわぁ、うわぁ! なんか出たよぉ! 人間ってすごい! 京介さんのはだ、裸! すごい!



「……何っていうか…もう…ぐちゃぐちゃに…蕩け…て…あっち行ってるみたいな…」


『やめてやめて! …ね? 幸せそうでしょ? 幸せに…捨てる、いや貰ってもらう…チャンスですよ? 私はそれで幸せになりました。そりゃー最初はわたしも躊躇しましたよ? ええ、ええ、それはもう。でも余韻だけで何度も…幸せ…それに…他の魔女には黙っておくよ…? ね?……一緒に幸せに…なろ?」



こいつ…本当に魔女みたいなやつだな…どう、しよう…



「あ、はるはるの〜魔法の幸せル〜ト〜! イェー! 聞きますかー? 実績ありますよー? 確実ですよー? うみうみのJCパンツ案よりですよー? まー……でもな〜これはな〜はるはる先輩って言わないとな〜教えてあげれないなー』


「うぐ。そういうのナシじゃない?」



『へー…あーバッテリーがー電波がー』



くそう…でもあんな京介さんの顔…口裂けの顔…真剣勝負で真っ向勝負のぶつかり合い! 私もしてみたい…うわぁ! なんかまた出たよぉ! すご……なんかムズムズしてきた…ああ! もう! くそう!



「…教えて…ください…はるはるパイセン…」



『…まあ…良いです。いろいろとあんまり嬉しくないけど…はー。では早速。そこにマジック、ガムテープ、セロテープ、包帯、絆創膏、紐…葉っぱのいずれかはありますか〜?』


「? …そんなもの…何するの?」



はるはるの言うことに従うとは決めたけど…そんなものなんで…いや、はるはるの方がパイセンだし、絶対に必要なんだ…事務所にあるかな…観葉植物は…あったな…



「それは初めての攻略には必須アイテムでして─────」



それ……本当にするの?

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