16 / 100 | 飛鳥馬 遊子
| 藤堂 京介
「寝ちゃったか…」
ノノメちゃんは撫で撫でしながら洗浄魔法を掛けてあげると、すぐに微笑みながら寝てしまった。
永遠ちゃんの横に寝かせて、布団を掛けてあげる。
「ふー…」
一息ついたところで、扉が開き、先程の飛鳥馬さんがおずおずと入ってきた。
「き、き、京介さ、ん…」
黒髪をポニーテールにしている彼女の前髪はわりと短く、真っ直ぐに切り揃えられていて、おでこの方が多く出ていた。
そのおでこまで顔を赤らめ、もじもじと…可愛いらしい仕草をしながら───
大きめの葉っぱ二枚を胸に。葉っぱ複数枚で作った腰蓑を、裸に装備した姿で立っていた。
「………」
南国少ね……少女…かな?
いや、Eはっぱのふく…Eくさのふく、か…
それより…驚いたな…
「はるはる…春香に聞きました! こういう格好がお好きだと聞きました! 私を可愛がってくださいませんか! お願いします!」
「……」
そう言って、彼女は頭を下げた。
…春風ちゃんの見解では、僕はいったいどういう風に見えていたのだろうか…
彼女の胸を隠す二枚の葉は手のひらに乗るくらいの大きさで、腰蓑は超絶ミニスカートくらいの長さ。葉は二枚を繋ぎ合わせて長くしていた。
ホッチキスと両面テープ、とビニール紐…かな?
彼女の肌は白く、少し濃い緑色の葉がよく映えていて、頭を下げたまま、プルプルと震えていた。すごく恥ずかしいのだろう。
その格好、勇気、いるよね……
わかる。
異世界でもそんな人はいなかったよ。
強いて言うならば……僕だけだった。
辛かったよ…とても…
冤罪からその格好で逃げるのは。
「おいで」
「うわぁ〜、はい!」
僕はとりあえず、自分がその時して欲しかったように、その格好には触れない事にした。
瞳の色がわかれば十分だ。
◆
「えへへ。抱きしめられちゃった…あ…ん、はー、キス、しちゃった…死にそう…」
「もう一度、しよう」
「は、はい! え、あ、ん、んちゅ、はあ、ちゅ、ちゅぷ、あ、んむ、はー、おとな…キスです…ね…あ〜はるはる…素敵な魔法…ありがとう…」
「……」
◆◆
「──ぁぁ! っはぁ───ぁ………」
「よく頑張ったね。可愛いかったよ。おやすみ」
「こんな感じで…失神するんですね…」
「そう…みたいね…ほんとにらめぇとか言う人いるんだ」
「…そ、そうですね」
「……」
◆
─
「…今どきの中学生はすごい発想ですね…。初めてを原始人コスとか…何考えてるのか1ミリもわかりませんでした…。というか永遠さんもぐっすり落ちてましたよ。 ふふ…」
「? ね〜ダーリ〜ン…永遠にゃんこ起きたよ〜まだいけるみたい…なんか…もう少しで…あー…ダーリンまで寝ちゃった…というか初めてをお風呂場とかもどーかなって」
「魔法バンバン使ってましたしね…そのダーリンってなんですか…。あと、お風呂場は思い出の場所なんだから良いんです!」
「あ、ところで詩ちん、あれ何? 何かキラキラしてキレーだったな……そういえば助けに来てくれた時は……特に何にも思わなかったけど…というか魔法って何? あーダーリンはダーリンじゃん。詩ちんも呼べば?」
「まだ
「…詩ちん、まだ
「は〜ノノメの魔法使い様…いや…エリカさんが聞いたところによると、高校生になってからみたいです。でも諦めませんよ、角パン」
「そんな事って…あるの? これ…藤堂の? 角パンとか無理だし」
「いや…違うと思いますよ…
「うーん。気になると言えば気になるけど…まあ京くんだし……それに……ぶっちゃけ今は…こっちかにゃ?」
「…そ、そうですね。しゅごぃ…まだ……でも勝手に良いのですかね……。あの、ちょっと…ねえ…永遠さん……なんか…手慣れてませんか? 今日初めてだったんですよね?」
「にゃはは…詩ちんも一緒に…お掃除にゃん…やり方教えるにゃん。こうやって…」
「あー! やっぱり経験者じゃないですか──! あ! あの強面レイパーと?! 私は無理…いだっ! ちょっと〜叩かないで〜くださいよぉ〜」
「何嬉しそにしてるし。京くん以外にある訳無いもん。それに…その…初めては…ちょっと…夢叶えた…みたいな…だけだもん」
「なぁんだ…まああの永遠が京たん以外となんて……ん?…夢を…叶えた?………あぁぁぁ! こいつマジか……襲いましたね…物理で仕留めてから致しましたね!…いつかいつかこいつはやるやると思ってたけど! ほんとにヤりやがりましたね!! 私、角パンもまだなのに!」
「くっくっくぅ……にゃ──っはっはっはっはっは────京くん気絶白目バージョン、ゲットしてたのにゃ─────!」
「こいつ全然昔と変わってな──い! 永遠! あなたはいつもいつも! このぉ、京たんのカタキ──ぇ?──ぶほぉっ! 乳ビンタぁっ?! いったぁい!? …おっぱいで…二重の…極み…?…いったぁ…嘘でしょ…」
「ふっふーん! どう? びっくりした? わたし天才だし。ま、使う機会ないけどね。そ、れ、よ、り、どーするにゃ?」
「ぐぬぬぬ……なんって下品な技…狂ってる…そもそもなんでそれ垂れないんですか…無重力なんですか…は────……もちろん一緒にペロペロするでしゅ」
「詩ちんのお尻もじゅーぶんお下品だよ。じゃー左半分、詩ちんね」
「それはもちろん、戦争反対です。ちゅ…」
「ふふ、詩ちんの嘘つき────瞳が濁ってる……わよ?」
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