檻6 - 討伐達成
| 藤堂 京介
軽く説明すると、四人は全員狂っていた。
葛川は女役をかなり強く噛みながら。
下出は女役を切り刻みながら。
上田は女役を恫喝しながら。
中田は女役を殴りながら。
はっきり言ってドン引きだった。
何かしらそうなった原因はあるのだろうが、結果だけでいい。その結果が狂ってる。
しかも、僕の幻惑で理想の相手になっているはずなのに、だ。
タコ2号は普通にオラオラ系だった。
やっぱりこのウィズ、のせいかな。とりあえず致す前には服用させていた。普段の様子に出来るだけ近づけたかったし。
朋花も長月さんもリモートのメグミさんも黙って見ていた。
こんなもの見たくはないが、現場監督としては見るしかない。
当然逃げたり、抵抗したりする時にはADになった僕が拘束をかけたり、殴って戻したり、
一周した時にはもう面倒になっていた僕は、葛川兄に映像の確認をとり、我慢してウィズを抜き、四人一気に幻惑をかけ、組んず解れつに変えた。
なんというか、こう、高校生男子の性愛模様の極地が撮れたと思う。名作の予感がする。みんなラブで真剣で兜でナメクジだ。15歳の本能と性癖に従ってこなしている。
ウィズの時と違い、なんか平和だ。コレ……最後は連結しそうだな。環状線だな。でも少し足りないな。タコ2号も発車するか。
それに、みんな良い笑顔だ。
やっぱりウィズ、要らないな。
うんうん。これ以上の名作は出来まい。これ、大ヒット間違い無しじゃないかな。
「いや京ピ……コレきもいっしょ」
「………DA.YO.NEー」
◆
そして、最後は目出し帽ーイズ×四人。全員幻惑なし、回復なし、洗浄なし、ウィズなし、のなしなしなしのなしだ。
つまり、本物の陵辱だ。
ここまではエリカの案での表のソフト面。
ここからは裏、つまり彼女達のスタート地点。分岐した本来の未来の始まり。
ごめんね。こっちからでもいいと思ってたんだけど、エリカにどうしても、って頼まれててね。裏から撮るとこいつら壊れたまんまだろうし。
さっきまでは所詮、同格との戯れ。
従属させたスライムと野良スライムを戦わせても、ヌルいだけ。
力で言うことを聞かせてきたやつの末路は、より大きな力によって壊されるということ。
それが暴力の世界のどうしようもない真理。
欲しがりたちの夢の跡。
お前たちもそうやってメグミさんや長月さんたちにしてきたんだろ。
次はお前たちに番が廻ってきただけだ。
「さあ、尊厳崩壊のリフレクト! 始めようじゃないか! きっと朝まで寝かさないよ!」
「「「「もう嫌だぁぁぁぁ───」」」」」
死ねぇ──────タコがぁぁ!
◆
まだまだ続いているが、葛川兄に許可をとり、オーリーに来てソファに座って天井のシーリングファンを眺めている。
目出し帽ーイズは僕が止めるまで
これで討伐達成かな。
あとは今回の動画を被害者たちに配ったり、エリカに渡してクズ一族に追い込みかけたりだったかな?
今朝のエリカからのメッセでは、お祖父さんとお父さんがとても喜んでいたそうな。
昨日もすごく喜んでたな。
◆
「真弓?大丈夫?顔がニヤけ過ぎてヤバいけど」
「もー、麻実こそ…でもこの二人よりマシじゃない?」
「きょんくんのやっぱり串刺し公……」
「お仕置きしゅごい…」
「…だな。でも……すごかった。立てない」
「……うん。お腹、あちゅいよぉ……」
「───京介さん、その、魔法で……私たちを操っていたり……していますか?」
「操る? ああ、魅了とか? ないよ。あれは僕が使うと魔法を失うからね」
「失う、ですの?」
「うん、そういう誓約。嘘は元々苦手でさ。父さんとの約束だしね。それと魔法を紐付けてて。で、魅了の供物には嘘が必要でね。だからパラドックスって言うのかな? 出来るけど出来ない。使った瞬間に僕の魔法はこの世から消えて無くなり、使えなくなる。ただ…ちょっと違うけど、精神干渉系なら幻惑の魔法は使えるよ。永続ではないし、ちょっと変なのだけど。…使ってみるね」
「えっ! ……あら?……何も…起きませんわ。……効果はなんですの?」
「あれ? ……今みんなの姿が理想的な男性に見えてると思うんだけど……僕の姿、百合の花に見えない? ホストの魔法、って言うんだけど…薔薇よりかなり弱いのは確かだけど……元々なら効果ないのかな? それなら嬉しいけど…それに、魔法が使えるようになったのは最近だよ。小学生の時はもちろん使えなかったよ。…エリカ?……どうしたの? うわ!」
「───京介さぁん! やっぱり! 私の心は! 間違ってなかったのですわ! 助けていただいたあの日から! ずっとお慕いしておりましたわ! それに周りはみんな百合の花に見えますわ! つまりこれは京介さんの魔法を私の恋心が跳ね返したという事でしょう? 嬉しぃですわー! はぁ…ステキ………あら? つまりこれは……踏絵に……出来…ますわね………くすくす」
「そう…見えるんだね。嬉しいよ。踏絵?」
「いえ、こちらの話ですわ! 京介さん。いろいろとお願いしても宜しいですか? 今回の件も、学校での暴行の件も、私もお手伝いしたいのです」
「そっか、円卓か……うん、それは嬉しいね。どうやら僕は力しか振るえないみたいでさ。いろいろと考えてくれると嬉しいな」
「この、和光エリカにお任せくださいませ! 必ずや京介さんのお力になってみせますわ! …でも、まずは、その、こ、このステキな百合の花に囲まれた花園で、も、もう一度、し、縛って、その───」
◆
いろいろ終わってから、息も絶え絶えの中、我が家に是非一度お越しください、ませ…ガクッと言っていたな。
そのうちお邪魔させてもらおう。
そう思い出していると、朋花がやって来た。
「京ピ…メグミが話したいって」
「ああ、もう良いの? …僕は君を救えたかな?」
『…まだ、気持ちの整理はついていませんけど…あんなに恐ろしかった葛川たちが、情け無い顔で助けを求めて…それを見たら一歩前に進めたんだ、救われたんだ、…と思います。…それに長月先輩にも謝れましたし…お話出来ましたし…本当にありがとうございました』
画面の向こうのメグミさんは、少し表情が柔らかくなってみえる。まあ、まだ陵辱シーンを見ただけだ。彼女達は今スタートラインに立ったばかりだ。ナイフで傷付けたのは長月さんにだったのか。
「それはよかった。あとの事は任せてね。そうそう、女の子は笑顔じゃないとね。これからは素敵な未来が待ってるよ。もし身体に傷があったら長月さんみたいに治してあげるからね」
「京ピ……藤堂くん。本当にありがとう。私のために、メグミのために…私だけじゃ、ど、うにも、ぐす、でぎ、ながっだと、思う、ひっく」
『朋、花…ぅぅ』
「……ああ、いいんだよ。朋花の願い、叶って良かったよ。メグミさん、早く帰ってきて朋花を抱きしめてあげてね」
『はい…まずは夏休みに会いだいと思いまず、ぐすっ、朋花、私の、ために、あり、がとぉ…うわぁ──ん…』
「メグミ、メグミぃ、メグ、ミぃ……」
リモートでも、お互いのことを思い合い、感じ合えるもんなんだな。まあ、良かった良かった。
「うんうん。うん?……あれ? 長月さんは?」
「それは……」
◆
"檻"に戻ると、黒のセーラー服に赤いタイをきっちりとつけて、いい顔でムチを振るう長月さんが居た。
「あっは、もっと、もっとよ! 声を出しなさい! 天上のご主人様に聞こえるようにもっと頑張るのよ! 歌うように! 響くように! 声高らかにぃ!」
「ぎゃ、うぎぁ、ぁあ──!」
長月さんは、後ろから目出し帽ーイズに陵辱されているクズどもを前からビシビシ、ムチっていた。
「小さくって、汚い声ね。ご主人様に申し訳ないでしょう? ね、もっと、もっとよ────!」
「…長月さん?」
「あ、ご主人様ぁ! この豚どもの声、届きましたかぁ? ほら、もっと頑張って鳴きなさい! 豚どもが!」
「ぐぁ、あ"───!」
ここ防音なの知ってるよね? どれだけ頑張らせても届かないよ……天上って天井? まるで性格が違うけど、僕は何もしていない。ご主人様? 僕のことかな? 主従契約は結んでないけど……
「なんか、スイッチ入ったみたい」
『そういえば…中学の時の部活での渾名がスポコン!女王でした。普段はとても優しい先輩だったんですけど部活では……』
「ほら! ご主人様の前でしょう! 今頑張らないでいつ頑張るの! ほらほらぁ、もっと、もっとよ! こんなザマで防音壁に勝てると思ってるの! しっかり声を出しなさぁい!」
「ぎはっ、ぶへ、え? あ"───っ!」
「……楽しそうだし、いい顔だし───」
「あきらめたら! そこで! 試合終了でしょうが! この豚どもぉ!」
ま、いっか。
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