首藤家5 - あぶなすぎる水着

| 藤堂 京介



瑠璃ちゃんが謝りに出て行ったあと、なんとなく座禅を組んでみた。神社の後だけど、気にしない。


心・頭・滅・却!


HPの回復に努めてみた。そんなものは無いが、そういう気分だった。


先程はHPを対価に100%になっていた某が、そのクールダウンの甲斐も合って、おそらく85%くらいの某に落ち着いていた。


……まあまあ下がらないな。


15歳ぃぃぃ…!


無想の境地には至れなかった。人族最強の勇者だったのに。龍の仙女とは違うか。


だがしかし、そんな僕に更なる魔の手が忍び寄ってきたのだった。


具体的には小悪魔×3があらわれた!



「京介くん、お茶持ってきたよー」


「なんなんですか、この人。急に来て急にリーダーぶって」


「はるはるがまごまごするから」


「するに決まってるじゃないですかっ!こんなのどっからどう見ても…へ、へ、変態じゃないですかっ!しかも一人増えるからビキニになったし…お、お腹恥ずかしいし…」


「バレないバレない」


「どっからどう見てもバレますよっ!」


「間宮ちゃんもオッケーしたでしょ。ほら腕下ろす。ぽっこりお腹出す」


「ぽっこりなんかしてませんよっ! 失礼な! そ、そりゃOKしま、したよっ! しましたけど……あなた方高校生より中2の私の方が胸おっきいから塗る量おんなじだと〜私だけ色が薄くなって〜バレるじゃないですかぁ〜だからぁ〜心配でぇ〜」


「へぇー…言うね」

「円卓だけでも良いけど」


「すいませんっすいませんっ追い出さないでくださいっ!」



ひそひそと小声で話す三人には悪いけど、僕は耳が良いんだよ。何回も言うよ。何度でも言うよ。


なぜなら、耳が良いせいで疑惑が確信にいたり、90%超え某(なにがし)になってしまったからだった。


そう、彼女達三人は、ものすごい格好だった。


目の端を、横にこう、グィッと引っ張って見れば、なんとなくバレないかな?くらいバレバレな白のビキニな水着(塗)姿だった。


あぶない水着(偽)だった。


あぶなすぎる水着(真)だった。


……どうしよう。100%なにがしだ。パンツで痛い。


やっぱりトイレ借りようかな。いや、とりあえず何故こんなことになっているのか。


原因の予想はつくが、結果が斜め上過ぎてこれ以上ほっとくと僕のなにがしに更にダメージを蓄積してしまう。


一応は聞いておこうか。



「これは…どういうことか聞いた方が良い?」


「私達三人の罰だよ!気にしないで!」


罪滅つみほろぼし」


「ほらー!藤堂さん引いてるじゃないですか!」



罰…罪滅ぼし……なんだろう。かつて、いろいろな組織を壊滅させ、その度に泣く泣く罪を認め、泣く泣く罰を求める悪人たちに出会ってきた僕だったが、こんなにも明るくてあっぱーな罪と罰があっただろうか。


引いてるんじゃなくて、おりから出さないように必死なんだよ! ィタタッ! ステイッ! ステイッ!


…これは、やっぱり100%なにがしになってしまった僕に対する罪であり罰ではないだろうか。


そしてこの部屋にいる限り、一歩も動いていないにも関わらず、1Pずつダメージが減っているような気になる。


いや、歩いても同じだ。


これがどくのぬまちか…いや、歩いてないから違うのか。


目には毒だけども。


ァイタタタ! ステェェイ!



「…引いてないよ。びっくりしただけ」


「…思いの外、藤堂さんが冷静なのがそれはそれで辛いんですけど…」


「えへへ…なんだか気持ちよくなってきた」

「わかる」


「全然気にしないっ!? 最悪だ。変態だ。これが円卓……! あれ? でもそれじゃあ罰にならなくないですか?」


「これ。京介くん」


「うん? 水鉄炮? ……懐かしいね」


「それで……撃ち抜いて欲しい。私達の…恥ずかしいところを」


「そういうプランだったんですか! きぬきぬ…なんて恐ろしい女……これがJK…」


「もう撃ち抜かれてるけどね、はぁとは」


やっぱり斜め上だった!


これ以上やめて! ィタタタッ! ステイッ! ステェェイッ!





そして何やら準備をしだした。


危なすぎる水着のまま。


いやそれただの全裸だから。


部屋のクローゼットを開けると、何やら緑色のロールスクリーンらしきものが出てきた。


それを部屋の扉の前に立て掛け、伸縮する黒いバーで支え、簡易スタジオみたいな有様になった。そのスクリーンは幅がおおよそ2メーターくらいで天井に着くくらいの高さのものだった。


あ、出口が…


下にビニールシートを敷くために三人でベッドをずらした。僕には座っておいてと言われたが、座る事しか今は出来ない。具体的には起立しているからこそ立てない。


みんなの姿はエロというよりは酷く滑稽な格好のはずなのに、15歳のこの身体の反応は変わらない様子だった。


三脚を2台用意して左右に配置し、カメラをセットしていた。



「できた」


「私のもです」



ちなみにスクリーンは合成用、ビニールシートは盗撮時用、らしかった。


何も聞くまい。ィタッ


彼女たちは覚悟を決めていた。


両手に一丁ずつ拳銃を持たされ、水が溢れるとまずいなと思い、銃口を上に向けたまま目を閉じ考え、答えを出す。


なかなか間抜けな格好だな、僕。と。


違くて。


異世界には銃火器は無かったけど、ほとんど両利きだし、目標とか簡単に打ち抜けるとは思う。そしてピンポイントでその突起物とっきぶつを全て撃ち抜く自信はある。


何をとは言わないが。


それよりなにより、僕が隠し持つ、違う銃口が上を向いているほうが問題だった。ちょうど三丁になったね。やったね。


違くて。


このままだと、その違う銃口で小悪魔たちを討伐しそうなのが、問題だった。


ふー…。


アィタタタタタッ! ステェィ! ステェイッ! ステェェェェイッ!!

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