4月10日
自宅に帰った僕は、リビングで彼女の謎をまだ解いていた。
『挑戦状
君に挑戦状だよ。 はいパチパチパチ!! 君が覚えているか分からないけれど、君 と過ごした約1週間は楽しいものだった。 (ホントだよ?)きっとそろそろお別れが来 る。私は最後に君に本を渡すだろう。 それを読んでから下の謎を解いてね。 ちゃんと読むんだゾ!!!!!
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ゑまろまあたほこりえてえさとわへねわすか
サクラの本は恋愛の話
少年が桜という先輩に片思いする話
最後はきっと両思い』
学年の逆つまり上下の逆、片思いの逆つまり左右の逆から矢印の向きを全て逆にすることが分かった。
そこから『ゑまろまあたほこ、りえてえさとわへねわすか』を1文字ずつひらがなの表に当てはめ、矢印の方向へ向けると『よみをみかなのそ、らうとおかのんほのらくさ』となった。
意味が分からない。
けど、きっとこれであっているはずだった。
『サクラの本は恋愛の話
少年が桜という先輩に片思いする話
最後はきっと両思い』
この文にはもう間違った事実はな...い?
『最後はきっと両思い』
僕は何かが引っかかった。しかし何が違うのかが分からなかった。仕方がない。
どうしても分からなかったので、僕はもう一度本を読み直すことにした。
「あら。あんたにしては珍しいね。本なんて読んで。」
リビングで読み始めるのは失敗だった。母が帰って来てしまった。何を読んでいるのかと、詰め寄ってくる母に僕は渋々『サクラの本』を提示した。
「まぁー『サクラの本』じゃない。母さんも昔読んだわよ。最後のどんでん返しが昔の恋愛小説にしては珍しかったのよ?」
「どんでん返し?」
「あっもしかしてネタばらししちゃった感じ?ごめんなさいね。」
「そんなことどうでもいいから!?どんでん返しってどういうこと?どう考えても最後に卒業式で第二ボタンをもらって両思いになったんじゃ....」
確かに桜は、先輩から第二ボタンを受けっとって物語は終わっていた。第二ボタンをあげた=先輩も桜が好きになったんじゃないのか。
僕の質問に母はキョトンとした感じで、
「だって、続編の『アオバの君』っていう先輩視点の物語が出たんだけど、そこで明かされるのよ。初めに片思いを始めたのは先輩で、名前もその本で明かされるのよ。
つまり、どんでん返しってことか。どんでん返し....全てが逆?じゃあ、
僕は解読した暗号を逆から読み始めた。
「さ..く..ら..の..ほん..の..か..お..と.うら、その..なか.み..を..みよ。」
『サクラの本の顔と裏、その中身を見よ』
僕は急いで、『サクラの本』を確認した。顔は表紙、裏は裏表紙。その中身、それは本のカバーを外した姿。僕はカバーのそでにそっと手をかけて、恐る恐るめくった。
『青葉へ
そろそろ気がついていると思うけど、
よくここまでたどり着いたね。
私は多分もう君には会えないの本
悲しいね。寂しいね。
でもね、私はずっと君のことを
見守っているから。 忘れないでね。
桜より』
「その字、おばあちゃんのじゃない。」
「えっ?」
「あんたよくおばあちゃんと桜見に行っていたわよね…やっぱりあの家売らない方がよかった?おじいちゃんが死んでから、おばあちゃん、寂しくなっちゃって、しょっちゅう青葉の事呼んでいたのよ?それに、だいぶボケてて、青葉のことお友達か何かと思っていたみたいだったし...って青葉?」
そうか、そうだった。彼女は桜おばあちゃんだ。
そう気がついた瞬間、僕は涙が止まらなかった。
「僕も絶対に忘れないよ。桜おばあちゃん。」
サクラの本 熊猫 カカオ @Pan-C
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