【R-15】甘々な元カレの始まり② 望むことしてあげる


 杏梨はベットにそうたを押し倒した。


 そうたの手が優しくニットの下から入ってくる。それにこたえるように杏梨はニットを脱ぎ、上半身下着だけの姿になった。


 黒のレースに赤のラインの入ったブラジャー。そうたのためにセクシーなのを選んだ。本当は金田のために買ったけれど、ろくに見てもくれなかったものだ。


 そうたは目を輝かせて、じっと杏梨の身体に見いってくれた。


 そうたの手を伸びてきてブラジャーのホックをプチンと外す。胸があらわになる。


 その途端そうたの目が一点に集中するのがわかる。自分の身体の唯一変えられないコンプレックスをまじまじと見られている。


 杏梨は恥ずかしくて思わず顔をそらしてしまった。

「……っ、恥ずかしいからあんまり見ないでよ。いいから早くっ……しよ?」


 これ以上じろじろ見えないように手で胸を隠す。


「なんで? めちゃくちゃ綺麗で可愛いよ」

 不思議そうなそうたの言葉に杏梨は首を振った。


「……そんなことない。残念そうにされたし……」


 杏梨の乳首は陥没している。初めて金田の前で裸を見せたとき、胸の辺りで視線が止まり金田の口元がゆがんで残念そうになったのを杏梨はよく覚えていた。


 この胸は恥ずかしいコンプレックスだ。

 思い出すと悲しくて項垂れてしまう。


「彼氏に?なんか言われた?」


 そうたの声は優しい。そうたの手がなだめるように杏梨の腕を撫でる。


「だからっ、別れたって……」

「杏梨が俺に連絡してくるとか、よっぽど弱ってるんだなって思ったよ?

 えっちで忘れたいことあったんでしょ?

 身体冷えちゃうから、一旦服着な?」


 別れてないのをそうたはお見通しのようだ。えっちで嫌なことを忘れるのも全部知ってたっていうのか。付き合ってたときから分かっていたのだろうか?


 そうたは脱いであったニットに手を伸ばし、ベットに仰向けに寝転んだ杏梨のお腹の上に乗せてくれた。


 手で顔を覆った杏梨は首を横に振る。


「っく……いいから抱いてよ……」


 優しくしないで、激しいセックスで忘れさせて。

 声が震えた。


 そうたが布団を身体の上にかけてくれる。


「杏梨の望むことしてあげるから、ちょっとあったかくして、落ち着きな?」


 なんでそんな優しいの?


 頭をなでてくれる。


 肩が震える。


「杏梨、話したくないなら話さなくていいよ。どうして欲しいか教えて?」


 なんでそんなに優しいの?


「っく、ぇぐっ、気持ちよくし…て、忘れさせて、っく、全部!」


 そうた、お願い忘れさせて。


「わかった。寒かったり嫌だったら言ってね」


 そうたは杏梨の手にそっとキスをした。肩や腕に優しくついばむようにキスを落としていく。


 お腹、おへそを撫でられる。

「きれいなくびれ。まだジムに通ってるの?杏梨はすごいなぁ」


 杏梨の頭にキスをして、優しく頭を撫でてくれる。


 ちゅっちゅっと繰り返しながら


 耳元で「杏梨は本当にきれいだよ」と囁いてくれる。


 そのまま、耳に舌をそわせて、ゆっくりとなぞられる。


「下着可愛いね。杏梨によく似合ってた」


 そんなこと金田は言ってくれなかった。


 舌を耳の中にいれて舐められる。


「相変わらず、スタイル抜群だよね」


 ジム行ったり、食事もボディケアも頑張ってるんだよ。


 耳元に息をふっと吹き掛けてくる。


「可愛すぎてみとれちゃった。彼氏がうらやましいわ」


 彼氏はろくに私を見てくれないの。


 耳を甘噛みされる。


「でも今は俺が杏梨を気持ち良くする」


 気持ち良くして欲しい。金田はくれないの


 ぺろぺろと耳を舐め回される。


「可愛いおっぱい見せてほしい」


 可愛くないよ?


 そうたはお願いーっと言って抱き締めてきた。

 頭にキスをされ杏梨は顔を隠していた手を外して、こおりの顔をじっと見てしまう。


「可愛くないもん……」


 そうたの目が自分を見てる。


「いや、めっちゃ可愛くて俺が死にそうだけと?」


 死なないで。嬉しい。


 そうたの手が杏梨の顔を優しく包み、ついばむようなキスをされた。


「可愛い杏梨ちゃん、好きなだけ甘えていいよ。よく頑張ったね」


 そうたは私のことわかってくれる。ほんとはずっと甘えたかった。


 鼻の頭にキスをされる。


 ただ、ただ、優しいそうたに急に自分が恥ずかしくなり杏梨は顔を背けた。


 言わないといけない。


「そうた……彼氏とは別れてない。嘘ついてごめんなさい……」


 流石に軽蔑されるかな?


 そうたの手が大丈夫だよというように、頭を撫でてくれる。


「彼氏が全然構ってくれなくて、挙げ句の果てに寂しいなら他に男作れって言われて、そのあと連絡もなくて……

全部忘れたくてそうたに連絡したの。ごめんなさい」


 勇気を出して卑怯な自分を告白する。


「そっか、そんなに俺とのえっちが気持ちくて恋しかった? 」


 杏梨の言葉にそうたは茶化すように言葉を返す。


「ん……それもそうだけど、そうたは私を傷つけないし優しいからつい頼っちゃったの。自分から振っておいて、都合いい女でごめんなさい」


 自分の最低さに思わず涙が浮かぶ。


「わかってたよー、でも俺も同じっ! ははっ、正直彼女から連絡来なくて気分落ちててさ。杏梨来てくれて助かったの。

 何か杏梨に頼られるの嬉しいし。俺でもできることあるんだーみたいな?

 だから、俺のためにも杏梨は甘えて俺に癒させてよ? 」


 そうたは少し疲れた笑顔で言う。


 そうたも辛いの? 私が頼ったら少しは役に立つ?


「そうたはいつも優しいね、ありがと」

 優しいそうたにキスをする。


「全然優しくはないよ……」そうたは呟いて自虐的に少し笑う。


「んじゃ、まぁいただきますね」


 笑いながらそうたは杏梨の胸に飛び込んだ。

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