レポート48:「魔力感知を覚えよう」
「魔力感知を覚えよう」
戻って来たセージとカカリアは早速俺たちに魔力調査の結果を教えてくれた。
「とりあえず、結論を言うと私は普通にファイアボールやフレイムピラーとか買ったものは全部覚えられたわ」
「僕も魔力感知はばっちりだよ。同じかどうかも確認したけど、多分同じだね。あと、魔力無効の粉に関してだけどこれは永続性はないから、問題なしかな」
「つまり、問題なく習得はできたってわけか。それで、俺たちが魔力に関わることに関してはどうだ?」
そう、さっき葵ちゃんと話していたことだ。
俺たちはいつになったら魔術と関係できるのかということだ。
葵ちゃんに至っては惑星に行ってみたいって気持ちもあるようだし。
「そうね。正直言えばもういいと思っているわ。副作用に関しては今の所見当たらないし、魔力無効の粉を使ってゼロ値にしてみたけど魔力が無くなることによる問題もないわ。つまり今、控えている理由はないってことね」
「魔力量に関してはもっと情報が必要だし、これ以上待機している理由はないかなーって。あ、もちろんバイタルの確認はしておくし、佐藤さんにも常時データは送ってるから、何かあれば向こうも動いてくれるようになってるから大丈夫だと思う」
なるほどな。
サポートは万全で、今の所身体の影響はなしと。
既に魔力に関係しているのは事実だから、これから一気に情報を集めるために全員魔術の習得を行うと。
「でも、私の変化がどうなるかわからないって言ってませんでした?」
「それは、私一人の目だけだったからよ。今はカカリアもいて、同じように魔力計測用のシステムで計測したけど、まあ、端数誤差はあれど葵ちゃんの魔力量に違いは無かったのよ」
「そ、つまり、変化をちゃんと確認できるってことが分かったんだよ。あとは裕也に椿、そして葵ちゃんも習得してもらって、同じ見えるかっていう情報の方が大事ってわけ」
昨日ついにセージのおかげで具体的な数字がわかったからな。
その信ぴょう性がある程度確認できたってわけだ。
そうなれば待機状態だった俺たちも魔術の習得をして、次の段階へ行く方がいいという判断になったってことか。
「ということで、裕也たちにはこれから魔術を覚えてもらうことになるわ。それでいい?」
「俺はいいが、2人はどうだ?」
「私は構いません」
「私も大丈夫です。あ、でも時間はあまりないかも?」
葵ちゃんはそう言って壁に掛けてある時計に視線を向けると、終業時間まであと1時間といったところ。
元々葵ちゃんは学校から帰りに来て2時間ぐらいのバイトだからな。
「そこは大丈夫よ。今日一日で取得ってわけじゃないわ。まずは講義だけね。このスクロールを使って」
セージはそう言って、魔力感知のスクロールを机の上に広げる。
「じゃ、僕の方はほかの魔術の習得にいくよ」
「ええ、頑張って。炎系は火事に気を付けなさいよ」
「あ、それは真面目に気を付けてくれ」
家が全焼しましたとかマジでシャレにならないし。
そういう感じでカカリアが部屋を出て行ったのを見送ってから俺たちは改めて魔力感知のスクロールを眺めるが、そこには惑星の言葉で書かれていて……。
魔力感知 習得方法
魔力を見ろ、目に力を入れろ。あるいは集中しろ。
青白い光が見えてくれば成功です。
以上
「「「はぁ?」」」
あまりの内容に3人そろって声を上げる。
「ま、そういう反応が普通よね」
と、セージも苦笑いをしている。
「いや、これはひどい。これが金貨1枚、1万円だって?」
「無いです。本当に無いです」
「うわー、異世界のぼったくりじゃないですか……」
俺たち3人はあまりの出来事に非難轟々ではあるが、セージは説明を続ける。
「でも、実際私とカカリアは習得に成功しているのよね」
「いや、そうだけど……。どうなんだよ?」
「ですねぇ。これが必要だったのかというと……」
「いるんですか?」
うん、葵ちゃんの言う通りこのスクロールが必要だったのかという疑問になる。
だが、セージの説明は続く。
「このスクロールって実は内容だけじゃないの。ほかのスクロールを見て気がついたんだけど、コレ」
そう言ってセージはスクロールの映像を空中に移す。
だが、そこにはスクロールが青白く光っているように見える。
「え、これって魔力があるってことですか?」
俺がいう前に葵ちゃんが言ってくれた。
そう、この映像はつい昨日見たことがある。
魔力測定をした俺たちや人形の状態に似ているのだ。
「その通り。スクロールはそれ自体が魔力を持っていて、その紐を解いた人に魔力を付与するようになっているの。カカリアに協力してもらっているから間違いないわ」
「つまり、スクロールを使った、紐を解いた人に魔力が備わって、ついでにあのひどい説明があって使えるようになるということですか?」
「多分ね。私たちは元々魔力が存在していたからなんともいえないけど、スクロールを買うお金さえあれば習得できる可能性があるってことね」
なるほどな。
スクロールは魔力を分け与える意味合いもあるのか。
ああ、魔術書とか読んで魔術を即時習得できるゲームとかあるけど、そういう仕組みなのかもな。
「え、待ってください。魔力の中に使い方とかあったりするんじゃないですか?」
「それだと、カカリアが使えるようになった理由に説明がつかないわ。使えるようになるかは多分ね、イメージよ」
「「「イメージ?」」」
「そう。椿が回復薬を調べてくれたでしょう? それは万能細胞で使用した意思を読み取って回復するって。つまりこれもイメージなわけよ」
ああ、確かそんな話したな。
「ついでに言うとね、ほかのスクロールも説明については五十歩百歩って所よ。だから、この内容に関して大事なのはわかりやすく簡潔に書いてあるってこと。そうなると……」
「なるほど、スクロールを手に入れた人がイメージしやすいように書いてあるってわけですね?」
「そういうこと。まあ、実験してほしいことはあるんだけどね」
「実験?」
「魔力感知を習得の際、青い光じゃなくて赤い光にしてほしいの。見えるものが変わるのかってやつね」
なるほど、どれだけイメージに左右されるかってことか。
それとも魔力は本当に青い光が出る物なのか確認したいのか。
「じゃ、説明は終わったし、はい」
セージはそういうとドンと、床の間にあった人形をテーブルに置く。
「え? どういうことだ?」
「人形には魔力が大量にあるのは分かっているから、これに目を凝らしてみればいいでしょ? それとも私や椿、葵ちゃんでも凝視する?」
「あー……人形でいいです」
セクハラでしかない。
特に葵ちゃんを俺が凝視するとか変態じゃないか。
ということで、俺たちはテーブルの上にある人形を見つめる作業に入る。
「えーと、確か方法は……」
「魔力を見ろ、目に力を入れろ。あるいは集中しろ。青白い光が見えてくれば成功です、ね」
「うん。全然説明になっていない気がする……」
「はいはい。頑張りなさい。魔法が使えるようになるための第一歩よ」
信じられないと思いつつも、セージの言うように魔法を使えるようにはやってみるしかないので、説明通りに目に力を入れたり、集中したりして、赤い光が見えないかなーって思いつつ人形をしばらく見てみる。
「「「……」」」
しーんと部屋が静まり返る。
いや、付けていたテレビの音声だけがやけに部屋に響く。
……その時間が長いのか短いのかわからないが、こんなことで本当に見えるようになるのかと思い始めていると。
「あ、見えた」
と、葵ちゃんが声を上げて、俺と椿はそちらに視線を向けると、葵ちゃんは目を見開いて人形を見ている。
「赤色に見える?」
俺たちのことは放っておいてセージが色について聞いている。
「いえ、赤色で見えなくて、青色で見てみようって思ったら見えました」
「なるほど。そっちの二人は?」
「いや、こっちはまだ見えない」
「私も同じです。青色で見るように変えてみるべきでしょうか?」
「先入観とかもあるかもしれないから、もう少し頑張って、ほら、別に赤色じゃなくてもいいから、黄金とか」
「それまぶしくて見えないだろう? というか、目に優しい色じゃないと確認できないから青色じゃないのか?」
「そうですね。人の目だと赤とか光が強く出る色はきついものがあります。とりあえず、私は赤を薄くして桜色でやってみましょう」
椿らしい選択だな。
となると俺は……。
「緑色にしてみよう。緑は目にいいし」
ということで、俺たちは続けて人形とにらめっこをしていく。
葵ちゃんは30分ほどで習得した後は、ちゃんと魔力感知が使えるかどうか確認するために宇宙船にある人形とかを見に行った。
さて、俺たちが出遅れるのも悔しいので目に力を入れていると……。
「「あ」」
俺と椿は同時に声を上げ。
「みえたの?」
「「みえた」」
俺と椿は自分が望んだ色での魔力感知を発動させた。
つまり俺には淡い緑色の光が見えているわけだ。
これは……、ニュータイ〇の光!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます