第151話 精鋭の護衛部隊
「マサヨシお兄ちゃん、そろそろ時間だニャ!」
「うう〜ん、ありがとうございます」
目を開けると万緑の猫パーティのみんながいた。そうだ、これから国を賭けた決闘が始まるんだったよな。……疲れ切っていたとはいえ、よくここまでぐっすりと眠れたもんだよ。
護衛をしてもらいながら、ぐっすりと馬車に揺られながら眠って身体を休めたおかげで、体調は絶好調である。更に大魔導士が作ったチートみたいな魔道具である首飾りや指輪のおかげで空っぽだった魔力もすでに全快している。
「ルクセリアからベージル平原に行くならこの道は必ず通る。時間的にもこの道でもうしばらく待てば、必ず国王や決闘の代表者が乗った馬車が通るだろ」
「はい! リリスさん達にはとてもお世話になりました。本当にありがとうございます!」
「私達のほうが何度も助けてもらいましたからね、これくらいお安い御用ですわ」
「ああ、それにようやくマサヨシ兄さんに借りていたドラゴンの秘薬分のお金も返すことができたしな」
以前にも言われていたが、リリスさん達の恩人である領主様を助ける時に使ったドラゴンの肝によって作られた秘薬分のお金をみんなから受け取った。どうやらこの前の依頼でお金が貯まったらしい。
「まだ何度も助けてもらった借りはあるけれど、これで多少は対等な関係ってやつになれたんじゃねえかな」
「俺はずっと対等な関係だと思っていましたよ」
「……そうか。今までは金を借りていたこともあって、マサヨシには少し遠慮していたからな。この騒動が終わったら遠慮なくいかせてもらうからな!」
「ええ、私も遠慮しませんわ!」
「ああ、俺もだ!」
「ニャ!」
うん? リリスさんは俺に何かを遠慮していたのだろうか。
「まあとりあえず今それはいい。さっさとその大魔導士を継ぐ者とかいうやつをぶちのめしてこい!」
「マサヨシ様、お気をつけてくださいね!」
「お兄ちゃんなら大丈夫ニャ!」
「マサヨシ兄さんなら余裕だぜ!」
「はい、行ってきます!」
さあ、まずはサーラさんと合流してこの国の代表者として認めてもらわないとな。訓練の成果を見せてやるとしよう!
「我こそは
ただの一般人では相手にされない可能性も高いため、真の大魔導士を継ぐ者とハッタリをかます。あながちハッタリでもないしな。こういうのはインパクトが大事だ。
重装備の歩兵隊や統率の取れた騎兵隊が、一瞬のうちに不審者である俺を取り囲む。さすがは国王を守るための精鋭部隊だ、動きも判断も早いな。
「国の代表者だと! それならすでにここにおられる騎士団長であるパジア様に決まっている。それに何が真の大魔導士を継ぐ者だ! ふざけたことを抜かすな!」
俺の前に出てきた人は騎馬に乗り、少しだけ他の人より立派な格好をしているから、きっとこの隊の隊長とかだろう。
まあ確かにこれから国の代表者同士で戦うというのに、当日にいきなり現れて代表者を代わってくれなんてふざけたこと言うやつは信用できないわな。
だけどこちらも引く訳にはいかない。なにせサーラさんの命がかかっているんだ。少なくともそのパジアという人が俺よりも強くない限り、一歩も引く気はないぞ。
「いきなり出てきてとんでもないことを言っている自覚はある。申し訳ないが、国王様かパジア殿と話はできないだろうか」
「……今すぐここから立ち去れば、無駄な怪我をしなくてすむぞ」
まあそんな簡単に国王や決闘の代表者と合わせてくれるわけはないよな。どちらにせよこちらの力を多少は見せる必要はあるから、ちょうどいいといえばちょうどいい。
ってあれ? なぜかサーラさんが豪華な馬車から降りて一際立派な装備をしている人に何かを訴えている。周りにはダルガさんもジーナさんもいないから2人は置いてきたみたいだ。
……なるほど聞き耳スキルで確認すると、どうやらあの人は私の知り合いだから、護衛の騎士達を止めてほしいと訴えているみたいだ。
よく声だけで俺だと分かったな。確かに今はこの黒い仮面に付けていたボイスチェンジャーとか不要な装備はすべて外して必要な装備だけを身に付けている。いわゆるガチ装備というやつだ。
さて、こちらの条件はなかなかに厳しい。まずはここにいる護衛の騎士達をそれほど傷付けずに俺の実力を見せる。そしてこの国の代表者であるパジアさんを一対一で倒す。しかもその後に本番の大魔導士を継ぐ者と戦うため、魔力も体力も温存しておかなければならない。……なかなかのハードモードだがやるしかないんだよな!
威圧スキル、オン!
「っうぐ!?」
「んな!!」
「き、貴様!?」
俺の威圧スキルを受けて騎士達が一瞬で戦闘態勢に入る。さすが国王を守る護衛の精鋭部隊、大魔導士の威圧スキルを受けても、殆どの騎士が戦意を失っていない。
ダンッ
「は、速っ……!」
「なんだとっ!?」
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