第143話 ものすごいデジャブ感
「ああ〜楽しかったなあ」
みんなでバーベキューや花火を楽しんだ次の日。無事に家まで帰ってきた。そして昨日家に帰ってきたあとは川端さんと最後に2人で話していたことについて悶々と考えていた。
やっぱりあれはどう考えても告白だよなあ。……いや、でも前にも同じように聴かれたくない話があると聞いて告白かと思ったら違ったこともあったし……。いやそうはいってもやっぱり……
そんな感じで悶々としながら昨日1日を過ごしてしまった。さすがにこのままではまずいと思い、今日の朝からは学校の夏休みの課題をひたすら進めていた。あまりにも集中しすぎたせいで、あと夏休みは丸々1週間あるのに課題はすべて終わってしまった。ちなみに俺は課題を少しずつ進めていくタイプである。
そして次の日は海で買ってきたお土産を守さんと風華ちゃんに渡しに行った。臨時のバイトでお金も入ったことだしな。2人も海外旅行を楽しんできたみたいで、こちらのほうがたくさんのお土産をいただいてしまった。
フー助も久しぶりに風華ちゃんに遊んでもらったようで満足していた。海では夜に1人で散歩をしたりしていたが、それ以外の時はずっと俺の頭の上にいるだけで少し退屈だったのかもしれない。
「よし、気分を切り替えて久しぶりに異世界に行くか!」
こういう時は現実逃避だ。どうせ来週になれば学校が始まって川端さんとも顔を合わせることになるんだからな。サーラさんやリリスさん達のお土産も買ったし、たまには異世界に行って新しい街に行くのもいいかもしれないな。
そうと決まれば善は急げである。早速天井にある扉をくぐって異世界へ向かう。転移魔法でルクセリアの街に近い森へ転移し、街の中に入った。
それにしても久しぶりだな。最近は元の世界でいろいろとあったから、異世界の街を歩いていくだけで少しずつ癒されてきたよ。
……しかしそれにしても少し街の様子が慌ただしい気もする。お店も半分くらい閉まっているし、何かあったのだろうか。とりあえずサーラさんの屋敷まで行って聞いてみるとしよう。
「あ、ダルガさん、お久しぶりです!」
「おお、マサヨシ殿、お久しぶりですな」
まだ第一王子と第二王子が配備している大勢の警備員のチェックを受けてから屋敷の中に入れてもらい、中にいたダルガさんに声をかけた。
「少し旅行に出かけていてお土産を買ってきたのですが、サーラさんはいらっしゃいますか?」
「それは誠にありがとうございます! ですが大変申し訳ございません、本日姫様はお出かけになっております」
「あ、そうなんですね。どうしようかな、しばらく戻ってこられないならお土産だけ置いていこうと思うんですけど」
「いえ、遅くとも今日の夜には帰って参ります」
「そうですか、ならまた明日出直してきますね」
どうせ明日も夏休みだからな。お土産もせっかくなら手渡しで渡したほうがいいだろう。
「ありがとうございます、姫様もきっとお喜びになるでしょう」
「そういえばなんだかこの街全体が慌ただしかったように感じたんですけれど……」
「いえ、おそらく大丈夫だとは思うのですが、少し隣国との動きがありましてな。可能性は低いのですが、交渉がうまくいかないと少々まずいことになるかもしれません。まあ、おそらくは杞憂に終わりますよ。はっはっは!」
……なぜだろう、デジャブ感がものすごい。確か前回の天災の時もこの流れだったような気がする。
「……わかりました、また明日お邪魔しますね」
少々不安が残りながらもサーラさんの屋敷を後にする。気になるところではあるが、まああの天災レベルにヤバいことはそうそうないだろ。……ってアレ、もしかしてこれもフラグになるか? いや、口には出してないからセーフのはずだ。
続けてエガートンの街に転移してきた。どうやらこっちの街はルクセリアの街と比べていつも通りみたいだな。
そしてそのままリリスさん達のパーティハウスを訪れたのだが、今日はリリスさん達も留守であった。まあ冒険者をやっているわけだし、日中にパーティハウスにいるほうが稀だよな。
どちらにせよ明日も異世界に来る予定だし、また明日来て、明日もいないようだったら、パーティハウスのドアノブのところにお土産を置いておくとしよう。さすがにAランク冒険者のパーティハウスから泥棒しようとするやつはいないだろうしな。
そのままエガートンの街の市場や屋台街で久しぶりに食べ歩きをしてきた。やっぱりたまに食べ歩きをするのは楽しくていいな。こっちの世界のお金は山ほどあるからお金を気にしなくてもいいというのもでかい。
そして次の日、改めてルクセリアの街に来たのだが、昨日よりも街が慌ただしい。どうやらこれは何かが起きているらしい。急いでサーラさんの屋敷に向かう。
屋敷に到着したが、明らかに屋敷を警備する人達にも緊張の色が見えた。
「マサヨシ殿!」
「ダルガさん、いったい何が起きているんですか?」
「昨日は大丈夫だと申し上げたのにすみません。まさかこんなことになるとは……」
「いったい何が?」
「……戦争です。隣の国のバートム国と戦争が始まることになってしまいました」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます