第二十二話

「おい、昨日カバンも置いて無断で帰ってどうしたよ?」


 朝、教室へとやってくると斎藤が声をかけてきた。


「ああ、すまん。色々とだな……」

「なんだよ、色々ってよ」

「まあ、色々だよ」

「ふ〜ん色々か……なあなあ、黒宮?」

「なんだよ」


 正直、ここ二日のせいで身体が疲れてしまっている。

 今日は休もうとしたぐらいにだ。


「昨日、美咲とヤったんだけどよ、やっぱり二回戦目は無理だな〜って」


 ポンと斎藤の頭をノートで叩く……。


 俺は上を向くと、そこには。


 顔を真っ赤にした浜辺さんが立っていた。 

 めちゃくちゃ不機嫌そうな表情だ。


「げ……」と浜辺さんに気づく斎藤。

「今何の話ししてたのかしら……?」

「な、なんでもないっす」

「ねえ、黒宮くん」

「はい!」と恐怖のあまり大声で返事をしてしまう。


 完全に聞かれて怒ってるやつだなこれ。

 それにしても、浜辺さんってこんなに可愛い人なんだ。

 胸もなかなかあるし……。


 ──ヤりたいなあ。


 ……なに考えてるんだ俺は、それはさすがにダメだろ。

 親友の彼女とヤるとか、それじゃあ真奈と同じじゃないか。

 

 ──せめて襲われたとかそんな感じにしなきゃな。

 ──どうすれば浜辺さんは俺のことが好きになるのかな?


 ……本当にそれはダメだろ、俺。


「ねえねえ、黒宮くん? 真奈ちゃん今日も休み〜? 体調でも悪いのかな?」

「うん、今日も体調が悪いって妹の夢芽から聞いたんだ」


 原因は俺の発言だろう。

 でも、事実なのだ。

 これを機に愛して欲しい。

 

「お見舞いに昨日行ったんだけど、寝込んでたよ。多分、明日には治ると思う」

「え〜明日って土曜日じゃん! 会えないじゃん……ショック〜」


 ──そんなにショックなら俺とする?


「ならよ、今日三人でお見舞いにでも行ってみるか?」

「涼くん、ナイスアイデア! それいいわね!」


 ──いいね、4P……いや、夢芽を入れて5Pか。


 ああ、本当になに考えてるんだ俺は。

 変なことを考えな、俺!


「じゃあ、放課後は三人で白石さんの家にお見舞いな!」

「は〜い!」

「うん、わかった」


 ──5Pか、俺と真奈と夢芽と美咲で斎藤は一人でいいね。


 やめろ、そういうのじゃないから。

 変なことを考えるな、俺!


「じゃあ、私はこれで!」


 ──浜辺美咲の身体、きっと気持ちいいんだろう。

 ──早くヤりたいなあ。


 だから、やめろって!

 違う、そういうのじゃないから。



「喜一先輩、どうしたんすか、一年ぶりに……」

「んあ、よお涼。一年でだいぶ身長伸びたな……あっちもか?」

「いや、まあ……」

「ほんと、お前のはでけえよ」

「褒めことばっすか、それ」

「ああ、もちろんよ♪。それでだが明日ちょっといいか? ヤりたいことがあるかよ」

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