第十八話

 家に帰ってくると一足多くローファーが置かれていた。

 間違いなく先輩のやつだった。


 ああ……。


 私は自分のローファーを手に持つと自分の部屋へと向かい、自分の部屋で丸くなる。


「……光一くん♡」


 ああ……。


「真奈……」


 ああ……。


 耳を塞いでも聞こえてくる。


「じゃあ、脱がすね」

「うん……♡」


 やめて、姉さん。

 私の先輩を取らないでください。

 どうしてこう、私から奪うんですか?

 私が悪い子だからですか?

 私が嫌いだからですか?

 やめてください、姉さん。


「──────///」


あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"


 言葉にできないほどの"絶望"が心を壊す。


 両手で髪を引っ張り、歯を歯を食いしばり声を殺す。

 目からは涙が止まることを知らず、流れ出す。

 目の前がどんどんとぼやけてきた。


「──────///」


あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"


「──────///」


あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"


「──────///」


あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"


「──────///」


あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"


 途中から中に割り込もうと考えていた、けれど"絶望"でそんな考えはなくなっていた。


 姉さんは一生、間男としてればいいのに。

 ずるい、姉さんばかりずるいですよ。

 間男だけではなく先輩ともヤれるなんて。

 おかしい、おかしい、おかしいです。

 

 ──ああ、これが姉さんと私の違いですか。

 

 そっか、私忘れてました。

 私は姉さんの劣化版でしたよね。

 何もかも姉さんの下でしたね。

 今回ばかりは負けないと思っていましたけど、そうなんですね。



 っ

         て


     な

             る 

        は

    ず

                 な

            

            で


  す

                    よ

           !!!!!!



 ええ、そうですね。

 

 私は立ち上がり、指を舐め始める。


「そうですね♡。とりあえず、私もシたいですし、先輩の家で待つとしましよう……///」


 昨日、合鍵を盗んでおいたのがここで役に立って嬉しいです……♡。

 姉さん、今だけですよ、先輩とできるのは。


 そして、勉強机からカッターナイフを取り出して、自分の右手の甲に向かって何度も何度も突き刺した。


 先輩は私のですからね、姉さん♡。

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