第十九話 全部お前が悪い

「真奈……」


 真奈の家の前に着くと、俺はスマホを手に持ち、真奈に電話する。


 早くヤりたい。


 ただただその気持ちでいっぱいだ。

 既に身体が興奮している。


 三コール鳴った後。


『もしもし……? 光一くん、どうしたの?』と真奈が電話に出た。


 早くヤりたい、早くヤりたい。


「いや、喜一っていう人から聞いたんだ……あれって」

『は、恥ずかしいよお……本当だよ』


 精力剤を手に持ち、飲む。

 喉が焼けるように熱いが我慢して一気に飲み干した。


 早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい。


「今、真奈の家の前にいるんだ」

『えっ!? 学校は……』

「サボった」

『へへ、私たちって悪い子だね』と可愛らしい声で言う真奈。


 悪い子はお前だけだよ。

 これも全部お前が悪い。


 早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい。


「とりあえず、開けてくれないか?」

『うん!』


 次の瞬間、ガチャリと玄関の鍵が開く音がし、扉が開く。

 そこにはパジャマ姿の真奈が立っていた?


 早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい。


 寝取られてるとかそんなのどうでもいいから、早くヤりたい。

 昨日、お前の妹でたくさん練習したんだ。

 お前よりもまだまだ下手かもしれないけど、それでも頑張って練習したんだ。


「光一くん……!」

 

 すぐさま、真奈に近づき、強く抱きつく。


 早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい。


「ちょっと、光一くん?」

「早くヤろうよ、ほら」

「うん……そうだね」


 早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい、早くヤりたい。


 自分がこんなにも変態だったんなんて。

 全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部お前が悪いんだ。

 俺は何一つ悪くない。

 


 あっけなかった……。


「はあはあ……」と激しく息を切らしてびしょびしょのベッドの上で横になっている真奈。


 一箱が一時間ほどでなくなった。

 

 あれ……こんなものなのか?


 昨日、夢芽とシた時の方が何十倍も気持ちよかった。

 そんなはずない、だって俺は真奈の方が好きなのだから。

 愛してるなら気持ちいいに決まっている。


「真奈、ゴム持ってるか?」

「ううん、ないよ……」


 もう一度シて確かめたい。

 

 ──ああ、待った、そういうことか。

 

「お前、俺のこと愛してないだろ?」

「え……」


 夢芽にあって真奈になかったもの。

 それは"愛"だ。

 夢芽は俺を愛している。

 けれど、真奈はどうだ?


「やっぱりそういうことだよな」と服を着直しながら言う。


 結局、こいつは俺を見ていない。 

 ただヤることで俺との距離を近づけようとしていただけのビッチだ。 

 どうせ間男しか見えていないんだ。


「じゃあ、帰るわ……」


 ヤってみてわかった、白石真奈は顔と身体だけで中身はゴミだということを。

 もう別にこんなやつどうでもいい。

 間男とヤって妊娠すればいいんだ。


「え……」


 俺は扉を開け真奈の部屋から出る。


 なんなんだ、真奈が好きなのに嫌いだというこの変な気持ちは。

 どっちなんだ、俺は一体好きなのか嫌いなのか?


 まあ、どっでもいっか。

 とりあえず、夢芽の方が気持ちいいことがわかったし。

 これからは夢芽とヤろう。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る