【12月24日 クリスマスイブ】
遠くの水平線がのぞく世界に赤い線が広がる。
まだ誰も浴びせていない太陽の陽光が空と海の間で水彩画のように一筆で横に描かれる。横浜の街の街灯がポツポツと消えていく。
いま、まさに世界が洗いなおされていく。
日付が変わるのではない、新しい日になったことをこの世界が教えてくれていた。
昨日が消しとばされていく。
なにもかも、無くなっていく。
「私の昨日は、終わったんだ。もう、終わったんだ」
苺依は窓の外の景色をみながら、過ぎ去った昨日を見つめていた。
街中は赤と緑色の装飾が忙しい。そこかしこで、クリスマスの讃美歌が流れる。
世間では今日は恋人たちの日だ。
そんな日は苺依にとっては来ることのない明日と知った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます