【7月5日 ごはんのあと】



 月曜日の次の日、苺依の部屋の明かりはとうとう点くことがないまま朝を迎えた。ベランダに向けたカーテンは閉まったままで、風もないので動くことは無かった。ベランダの外のストレリチアは、誰も水をかけてくれないので、今日は水不足になるのだろう。自慢の葉っぱも心なしか下を向いている。


 ベランダのすぐ下を小型犬が散歩で通る。遠くに居る自分よりも小さな犬を見つけてはしっぽを振り近づこうとしていた。それを飼い主が制しながら、散歩を続ける。


 小型犬は我慢がならず、大きな声で叫んだ。


「大きな声で鳴かないでよ」


 とその人は、哀しく思っていた。

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