釣瓶落としの後始末

a letter

25. November

 荒野ばかり続く道程は果てしなく、辟易させられること。

 加えて、夏の日の長さに反して、秋の日没の早さに距離を稼げず、もどかしさばかりが募る。

 単調なこの旅路こそ最大の難所なのでは、と思わされるほど、我々の歩みは遅い。

 期待と不安を抱えたこの身には、辛い道程だ。


 広大な土地では、退屈を紛らわすのにも苦労する。思考は自ずと内面へと向かい、これまで何度も繰り返した問いにもう一度直面することになった。

 それだけ何もないのだ、この場所は。


 今、緑が懐かしい。人の滅びを知らしめる廃墟でさえ、恋しく思えてしまう。

 目的地を前にして課されたこの試練を如何にして越えるべきか。

 私は今、葛藤の最中さなかにいる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る