第4話 違うイヤな奴、登場
「一条さん、黒猫どこで見かけたんですか?」
「なっちゃん知りたいかよ?どうすっかなぁ~(ちらちら!)教えねえこともないん」
「こっからあっちに歩いて、八百屋の前あたりですね」
「あっち?」
「です!」
「要、行ってみようよ」
「賢慈、このやろう……!」
夏は照輝をスルーした!
照輝は野獣のような顔で賢慈を睨んだ!
賢慈は要の後ろにこそこそ回りこんだ!
「だな。早く親に会いてえだろうしな」
要はそっと夏に子猫を渡す。
その優しさ、私にちょっとくらい向けてよ!と夏は要を睨みつつ、要から子猫を預かった。
夏の腕の中でまた目をうっすらと開けようとしている子猫に、夏、照輝、賢慈が和む。
そのまま会話をしつつ、四人は商店街を歩く。
「ま、親猫見つかんなかったら、里親探す」
「飼いてえけど、うちは母ちゃんが動物アレルギーだし無理だわ」
「私のうち、昼間誰もいないし面倒見てあげられない……くぅ!」
「うちも姉ちゃんの子供が生まれたばっかだしなあ……」
と、首を振る照輝に悔しがる夏、溜息をつく賢慈。
そういえば、と言い出しっぺの要に賢慈が聞いた。
「そういえば、要さんのお宅はどうなんすか?」
「うちは猛獣とでっけえ小学生がいるからムリ」
「お母さんとお父さんって普通に言ってあげなよ……」
まあ、人が
フシャアアアアアアアアア!!
猫が相手を威嚇する声。
先程照輝が黒猫を見たという八百屋の辺りからである。
すると、先程まで大人しかった子猫が、その声に反応するように鳴き始めた。
にぃ。
にぃ。
にぃ。
そしてその子猫の声に、八百屋の向こうの猫の鳴き声も変わった。
そして、人と人が言い争う声。
「夏」
「うん!」
要と夏はそのやり取りで、阿吽の呼吸で動き出す。
要は八百屋に向かい。
夏は子猫の避難場所、預かってくれる店を探して。
いいなあ、俺もなっちゃんと今のやってみてえなあ……と呟いた照輝に。
「照輝!」
「うん!……ああ?!」
照輝は遅れて八百屋に向かい。
賢慈は照輝に殴られて、商店街の路上に転がった。
●
そして、八百屋の店先では。
「お前、可哀そうだろうが!!怪我して逃げれねえ猫、どうしようってんだよ!」
「うっひょ~!カッコいいねえオッサ~ン。やっさし~!」
高く短い声で鳴き続ける猫は、八百屋の店脇で横たわっていた。
怪我をしているのか、ズリズリと動いているが立ち上がれない。
短い髪を金髪に染めた学ランの男が、足先で猫をツンツンと
怪我に見かねた八百屋の店主が、介抱するつもりで猫に近寄ったところで割って入られたのだった。
それでも店主は顔を真っ赤にして猫をどうにか抱き上げようと近づくが、その学ランの男が近寄らせない。
「あ、あんた……」
「お前は奥に行ってな!」
八百屋の店主は妻を店奥に押し返す。
「うお~ドラマみてえ!カッコイ~イ!でもさでもさ、正直、この猫邪魔とか思うでしょ~?」
「思ってねえし、邪魔なのはお前だ!商売の邪魔をすんなら警察呼ぶぞ!!」
「よっべっば~?でもオッサンうっぜえからその前に、ごアイサツ~♪」
「ちょっとやめとくれよ!アンタ、逃げて!」
だが、その言葉は届かず。
学ランの男が八百屋の店主に向かって肩口から右拳を振り降ろした。
バシッ。
目を瞑って顔を背けた店主の顔スレスレで、割って入った手が拳を受け止める。
「オメエ、何してんだ?バカかっつの」
「「要ちゃん!!」」
「お~?もしかしてアンタ、イキってるってウワサの
八百屋の店主夫妻が、悲鳴を上げるように、顔なじみの要を呼ぶ。
そこに照輝と賢慈が駆けつけて。
「照輝さん、コイツ例の一年坊っすよ!」
「短髪金パ、ラリった物言い。おめえが一年坊の頭に立ったっつう噂の、ヨソから来た竹屋敷か?」
「おお?!俺の事知ってるんすか!うれしいっすね~!ばんちょー(笑)さんと雑魚雑魚さん!」
駆け付けてきた照輝と賢慈を前にしても小馬鹿にした態度を変えない竹屋敷に、照輝が返す。
「てめえ、俺に向かっていい度胸してんじゃねえか…!」
「え?アンタ等ごときに度胸なんていらないでしょ~?」
「テルテル。おもしれえ奴ばっかだなオメエラのガッコ」
ヘラヘラと余裕の態度の竹屋敷と、肩を竦める要。
そして、賢慈が要に告げた言葉は。
「要さん!コイツ、最近うちに転校してきた竹屋敷ってヤツっす!一年ソッコーでシメたらしいんですが、要さん、ガツン!とイワシちゃってくださいよ!」
「……賢慈お前、それを何で俺に言わねえの?」
●
【オマケ】
(夏)不良と不良のバトルが始まっちゃうの?!
……どうなるのかなあ、猫のお母さんをお医者さん早く連れてかないと……。
まあハピエンおバカのマ猫だから、みんな大丈夫かな?
♪ぴん・ぽん・ぱん・ぽーん♪
お知らせします♪
夏の再登場まで、あと●日です♪
ぱん・ぴん・ぽん・ぽーん♪
(夏)……へ?
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