発明マン、復讐を企てる
「あ、あれはまさか、
「確かに、化学担当の黒岩先生のようですわね」
「な、何だ貴様らは!?」
突然の乱入者に、その場を仕切っていたと思しき怪人が声を上げる。
「我々は学園の平和を守る守護隊部! わたくしたちがいるかぎり、この学園で好き勝手な真似はさせませんわ」
「俺は発明マン。この男の願いにより生まれた」
「で、この無駄に大きな機械は、いったい何ですの?」
「ふん、見てわからんか?」
大がかりな機械を背に、発明マンと名乗った怪人は胸を張る。
「これこそがこの発明マンの大発明、
「そんなもの、見ただけでわかるわけがありませんわ! って……え……? 二酸化……炭素?」
「レツドー、ナントカサンソって何ですカー」
「いや……マゼンタは授業をまともに聞いてなかったとして、俺の知ってる二酸化炭素とも違う気がする」
「二酸化炭素は、君たちも知っての通り、炭素を含む物質を燃焼させることによって生じる、酸素と炭素の化合物だ。そして……温室効果ガスの一種でもある」
檻の中にいる黒岩教諭が、普段の授業のような口調で語る。
「俺の知ってる二酸化炭素だった」
「し、しかし、二酸化炭素など作って何をするつもりですの!?」
「これは、地球温暖化を加速させる機械なんだ」
顔を伏せ、黒岩は絞り出すように言う。
あっけにとられる烈堂たちを前に、発明マンは演説でもするかのように大きく両手を広げた。
「そう、この二酸化炭素発生装置が完成した
「俺にはまだ事態がよく理解できないのだが……ひとつ間違えれば
「間違いなく大事ですわ!」
「そうして、我が
「ようは私怨か!」
「天才と天災は紙一重というでござる」
「そんな
「……まだバカのほうがマシなやつ」
檻の中にくずおれたまま、黒岩は悲痛な声を上げる。
「今更こんなことを言ってもいいわけにもならないが、僕が安易に妙な連中に頼ったのが悪かった。故郷の人達とうまくいかなくて、見返してやりたいとは思ったが、世界が巻き添えになるなんて思ってもみなかった!」
「所詮は桜の木ですから。人の願いなど正しく理解などできませんわ。時として斜め上の叶え方をすることもざらです」
「君は、五組の赤羽烈堂か! それに……」
烈堂とともにいる、変身したままの四人を見て、一瞬黒岩の動きが止まる。
「と、とにかく、ここは逃げてくれ! そして校長か先生方に報告するんだ! そうすれば――」
「ご心配なく」
黒岩の言葉を遮るかのように、焔子は宣言する。
「わたくし達が怪人たちを倒し、
「まあよい、われらの野望はもはや、何人たりとも阻止できんわ! ゆけ、雑兵マンたちよ!」
「「アイー!」」
発明マンの命令に従い、黒子のような怪人たちは機械の製作作業を中断し、烈堂たちの方に向かってくる。
「マゼンタさんは私とともにあの雑兵たちの相手をお願いします!」
「らじゃー!」
「
「承知!」
「そして
「……りょ」
「はははは、烈堂よ!
「銃器手にしたとたんに日本語が
マゼンタは腰のホルスターから二挺の拳銃を抜き出すと、発砲しながら駆け出した。銃弾を頭や胸に受けた怪人たちは、次々に黒い
「
それに打ち据えられた雑兵マンたちは倒れ、地に付したまま消えた。
◆
「……それじゃあ今のうちに……まず腕輪を外し、右手に持ちかえる」
「こ、こうか?」
「……そのまま、腕輪の内側にあるトリガーを押します」
「えっ押すの?
「……押・し・ま・す」
「あっはい」
「……トリガーを押しながら、右腕を突き上げ、その名、そしてチェンジと叫ぶ」
「わかった」
そして言われた通り、烈堂は腕輪を持った右手を突き上げ、その名を叫ぶ。
「
「……違うそうじゃねえ!!」
「
「……何に変身する気!?」
「変身しないぞ」
「……したら困るわ!」
◆
「忍法、
化学教師の黒岩を人質に取ろうとしてた発明マンに向かい、ヴァーミリオンレッドは忍術を発動する。
二人の姿がぶれ、発明マンのいた場所にヴァーミリオンが、そして彼女のいた場所に発明マンが、入れ替わりに出現する。
「な、何っ!?」
突然の出来事に戸惑いの声を上げる発明マンだったが、とっさに脱出を図ろうとする。
「スプリングブーツ!」
ブーツの足の裏から出現したバネが、発明マンを数メートル上空へと打ち上げた。
「
そこに向け、スカーレットの髪が伸びる。それは、発明マンの左手と右足に絡みついた。
それでも発明マンは慌てるそぶりも見せず、捕らえられていない右手のひらを、焔子の髪に押し付ける。
「スタンガンハンド!」
「っ!?」
「ジェットランドセル!」
その髪が緩んだ瞬間、発明マンの背のランドセルが火を噴いた。
そのまま怪人の体は、上空へと舞い上がる。
◆
“Red Change!!”
烈堂の持つ腕輪から、謎の音声が発せられた。
それに従い、烈堂は叫ぶ。
「
直後、赤い光が
「ぬぇっ!?」
間近でそれを見た
再び目を開いた彼女が見たのは、赤いスーツをまとった烈堂の姿。
頭部は仲間たちと同じような、覆面とゴーグルを合わせたような姿に。さらにその額を『赤』の一文字が飾っていた。
“Red - Red, Ready, Fight!!”
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