この作品が多くの人の目に触れますように

  • ★★★ Excellent!!!

やり込んだゲームのような世界に転移、と書くとよくある設定に思えるが、この作品は一風変わった特徴を持っているように思う。

まず、主人公最強、ではない。確かにアドバンテージこそあるが、それは一探索者の域を出るものではなく、ダンジョン攻略のためには必然的にPTを組むことになる。そのため、強制的に人間関係を作る必要が生じるが、いつか元の世界へ帰還することを望む主人公は、その人間関係を深くするつもりがない。
主人公は鈍感でも聖人でもない。好意を向けられれば親しくはする(なお、先述の通り基本踏み込んではいかない)。悪意に対しては読者が忘れた頃までずっと根に持っているし、きっちりと報復をかますタイプである。

どこまでも等身大でしかない、言ってしまえば主人公らしからぬ彼が、これまた面倒くさい奴ばかりのキャラクターに絡まれながら、ダンジョンを攻略していく。そのダンジョン攻略の描写も非常に良いものなのだが、(一部、割とギスギスとした)人間模様も楽しめる方には大変お薦めできる作品だ。

某サイトで連載停止、個人サイトで続編が連載されてきた作品だが、見逃しているうちにカクヨム様でも公開されていた。これを機会として、多くのファンが増えてくれれば、一読者として嬉しい限りである。

刺さる人にはぶっ刺さる。そしてきっといろいろな人に刺さるはず。お時間のある方は是非、読んでいただきたい作品だ。

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ライブダンジョン!