12
突然マリから呼び出しがあって、急いで事務所から出て階段を下りようとしたときフミちゃんが階段を上がってきた。
「どこに行くの」
「何か用」
「お昼でもどうかと思って」
そうか。今日は下の店の定休日。
「ごめん。仕事なんだ」
「そう。久しぶりにコウちゃんとランチ出来るかなって思ったんだけど」
僕はフミちゃんの着ている服を見て少し驚く。ピンクのワンピース。やっぱり女の子なんだよね。
「終わったら電話する。それでいい」
「じゃあ、待ってる」
いつになく可愛いフミちゃんに後ろ髪を引かれる。マリと待ち合わせのハンバーガーショップはやけに混んでいた。ポテトだけを買って二階に上がってみると、マリは窓際の隅の席にすわっている。
「ハンバーガー」
「チーズバーガーだよ」
そう言いながらマリはチーズバーガーを手でちぎって口の中に入れた。そして紙ナプキンで手を拭う。
「それでどうしたの」
「実家に戻っちゃったみたい」
「アミちゃん」
「そう」
「戻されたのかな」
「彼女の住んでたところは」
「引き払ってはいないと思うけど」
「確認してくれる」
「わかった」
「ポテト食べる」僕はポテトをマリに渡す。
「ありがとう」
「これからデート」
「終わったら電話入れることになってるけど」
「もう来てるよ。ギョウザ屋の看板娘」僕はそう言ったマリの視線の先を見た。
「いいなあ。あたしはもう、あんな可愛いワンピース着れない」
「つけられたかな」
「探偵失格」マリは僕に向かってニヤリと笑う。
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