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「タラモアデューって言ったのか」ノブさんはスコッチをストレートで飲みながら目を光らせている。

「入ってたビンは違うんですけどね」

 ノブさんが知っているという僕の依頼人らしき人物についてはなかなか話をしてくれない。スコッチが飲みたかっただけなのだろうか。そもそも僕が書いた似顔絵の信頼度はかなり低く、しかも依頼人を見ているのは僕だけなので誰かに確かめることもできない。依頼人を呼び出してノブさんに確認してもらってもいいけれど、呼び出したからにはそれなりの報告を依頼人にしなければならないし。

「女の子を捜しているんだろう」

 ノブさんが白い歯を見せて僕にきく。僕は依頼内容も依頼人を捜している理由もノブさんには話していないのに。

「どうしてわかったんですか」

「あんたに依頼したんだ」

 そう言ってノブさんはグラスのウイスキーを飲み干し、ボトルからウイスキーをグラスに注ぐ。

「スコッチなんてあるの」

「あるわよ」そう言ってママはボトルをカウンターの下から取り出した。

「大丈夫かな」

「あの人が払うって言ったよ、ボトル代」ミミちゃんがぼくに言う。

「コウちゃん絵上手いんだね」ママとミミちゃんは僕が書いた似顔絵を二人で見ていた。

「特徴うまくつかんでるよ」

「知ってるの」

「知ってるわけないでしょう」ママが笑う。

「居場所を教えても問題はない」

「まあ、一度会ってみるかそいつに」

 僕は戸惑いながらノブさんを見ている。

「それにしてもいいスコッチだ」そう言ってノブさんはウイスキーをあおった。

 ミミちゃんがチェイサーをテーブルに持ってきた。僕のスコッチはほとんど手がついていない。

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