2
マリは少し驚いたような顔で僕を見ている。
「じゃ、コウさんの依頼人はこっち関係の人じゃないんだ」
「こっち関係っていうのがよくわからないけど、多分マリちゃんの考えている人たちではないと思う」
「変装はしてなかった」
「僕が見た限り、してなかったと思う。ホームレスの格好は怪しいかもしれないけど」
「あの子ね、すごく心配していたから。捜されること」
「でもさ、何でそんな子がマリちゃんと同じ店で働いていたの」
「それがね、あたしにも謎なの」
「実家がそんなにお金持ちなら、捜す気になればいくらでも捜せるんじゃない。優秀な探偵だって雇えるだろうし」
「コウさんより」
「もちろん」
「それで本当にマリちゃんは居場所わかってるの」
「まあね」
「でも、教えちゃっていいのかな。ストーカーかもしれないし」
「ホームレスのストーカーなんているのかな」
「依頼人がストーカーとは限らないし」
「確かに悩ましいところだよね」
僕はマリにそのへんのところを探ってくれるように頼んだ。
「こんなにいただいていいんですか。ありがとうございます」
マリは思いがけない収入に少し驚いていた。そしてぼくのほうをじっと見ている。
「今回の情報料だけじゃないからね。この先の分も入っているから」
「必要経費も」
「もちろん」
マリの後姿を見ながら、僕は少し憂鬱になっている。パソコンはまだまだ遠いかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます