アミちゃんを探せ

阿紋

 落ちつかない日々が続いているように感じるのは天気のせいだろうか。それとも季節のせいだろうか。フミちゃんも大連と店を行ったり来たりで忙しそうだし、おやじさんもいつになく動き回っている。結局僕も、それにつられてしまっているだけなのだろうか。仕事のほうはひと段落といったところで、事務所でちょこちょこと手帳に書きこんだことを整理してノートにまとめている。記憶力にはちょっと自信があったせいか、手帳などを使ったことがなかったのだけれど、この仕事をはじめてからはそうもいかなくなった。メモを取りはじめたのはいいのだけれど、走り書きをしてしまうせいか、後で手帳を見ると何を書いたのかさっぱりわからないこともしばしばで、記憶の新しいうちにノートに書き写すことにしている。パソコンでも買えばいいのだろうけれど、結局手間はそんなに変わらないし、書くことで覚えることもできる。そもそもパソコンを買うお金がないのだ。それに紙で残しておくことが一番確実で、データが飛んでしまえばどうにもならない。電気が止まってしまうこともあるだろうし。最終的にはやはり紙にはかなわない。

 そんな作業をしていて、ふと人の気配を感じ顔をあげると、事務所のドアのところに人が立っている。またフミちゃんかと思ったが、よく見ると男性のようだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る