メイド救出作戦 その③

「あのクソ勇者?」


『はぁ……そういうことね』


「二人だけ理解してません?」


「……俺が今一番嫌いな人間だ」


『私も』


「どんな人間なんです?」


『まぁ……悪い人ではないんだけどね』


「なんというかな〜……俺は大嫌いだ」


「なんで……そのクソ勇者とレイジーさんの行方不明が関係してるんです?」


「……クソ勇者がレイジーを誘拐……というか救出した」


「救出?」


「ほぼ誘拐だがな」


『もしかしてミリアルド』


「ん?」


『レイジーさんは……ひょっとして裸?』


「……ノーコメ」


「今すぐ助けましょう」


『ええ、ついでにミリアルド、殴ってきて』


「だから任務は中止」


ミリアルドさんはチョーカーを取りいつもの服に着替えた。




屋敷の庭


「ここですか?」


「……」


『もう居ないのかしら?』


するとミリアルドさんは石を手に持って投げた。


「痛っ!?」


「おい、クソ野郎」


茂みの方で声がした……男の声?


「な、お前は!」


「はぁ……既婚者襲ってんじゃねぇぞ」


「既婚者?この人が?」


男の後ろにレイジーさんがいた!


「そいつは返してもらう」


気が付くとミリアルドさんの方にレイジーさんが移動してた。


「レイジーさん!」


「ロリアン!」


『大事なくて良かったわ……』


「『さて』」


水晶玉越しにも怒りが伝わる……怖ぇ。


「この落とし前……どうつけてくれるんだ?」


「落とし前?」


「こっちは潜入任務で来てるんだ、テメェみたいな何も考えずに助ける奴のせいで作戦が台無しだ」


「し、しるかよ、それにここの貴族は貴娘を拐ってるって噂があるんだ!」


「お前が誘拐じみた事するから屋敷内で誘拐事件が多発してんだよ」


「僕は彼女たちを助けるために此処に居る!」


「助けるだぁ?笑わせんな」


『貴方自分がやったこと分かっているの?』


「はぁ?」


『貴方が救ったっていう女性はみんな路頭に迷ってるのよ?』


「彼女たちは無理やり……」


「この屋敷のメイドは面接がある、それに不向きな奴はちゃんと落とされる」


『貴族がどれだけ下衆かろうがここのメイドたちは全員自分の意思で働いてる』


「それをお前は誘拐し、もう働かなくて良いとかほざく」


「くっ……」


おいおいあの勇者剣を抜きやがったぞ!


「それがお前の言い訳か?」


「僕は勇者だ!」


「俺は『勇者殺し』だ」


「悪は!僕が裁く!」


剣を持って突進してくる!


「もう黙ってろ、埒が明かん」


「『聖剣の』!」


大技が来る!


と思った次の瞬間……勇者は地面に突き刺さっていた。


「……リーゼこいつをしばらく縛っといてくれ」


ミリアルドさんの手から血が流れているのを見ると、勇者を殴って突き刺したようだ。


『了解よ』


勇者は転送されて行った。


「はぁ……あいつ殺しとくべきだったかな」


凄い物騒なこと言ってる……


「クシュン!」


「レイジーさん、とりあえずこれを」


「ありがとう」


流石に裸は寒いということで持ってきた上着を渡した。


「さて、戻るか」


「「はい」」

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