月光の導き

「眩しい……」


「大丈夫か?」


くぅ……太陽が眩しい。


「ありがとうございます!ゼロ様!」


冒険者たちはゼロさんにお礼を言っていた。


「ロリアン大丈夫か?背負うよ?」


「じゃあ、お言葉に甘えて」


もう足はクタクタだった……それにしても、またにレイジーさんは口調が優しくなるのはなんでなんだろう。


「あ、あの」


「ん?」


あの冒険者パーティーの魔法使いの娘か。


「お二人はどういう関係なのですか?」


『え』


「(ど、どうする……正直に言うか?)」


「(正直に言うと引かれますよ!ここは幼なじみって事に……)」


「其奴らは夫婦じゃぞ?」


『ゼロ様(さん)!!』


なんで言っちゃうの!?


ってかなんで知ってんの!?


「夫……婦?」


そりゃあ「?」でしょうよ!


「同性婚ってやつじゃな」


「あ〜…もう全部言っちゃう」


「そうなんですか?」


「そうなんです……」


「わぁ……」


絶対引かれた……


「なんか……かっこいいです!」


『えぇ!?』


「だって、男女の縛りを脱したみたいで……かっこいいです!」


もしやこの魔法使いの娘……厨二病か?


「そ、そう……」


「帰るぞ〜」





街まで帰ってこれた、冒険者パーティとゼロさんとは別れ、レイジーさんと歩いていた。


「はぁ〜帰ってこれた〜」


「まだ家には帰れないぞ?」


「え〜」


「ハンターズギルドに報告しに行かないといけないからな」


「む〜」


「くっ……」

(可愛すぎる!)


そうか……報告がいるのか、もう疲れたんだがな〜。






ハンターズギルド


「……はい、確認いたしました、お疲れさまです」


「ありがとう」


「その袋が報酬なんですか?」


「ん?あぁ、これは通貨袋、報酬が入ってるんだ」


「へぇ〜」


「もしやあなたがレイジーさんのお相手?」


「あ、はい」


受付の人が急に話しかけてきた。


「へぇ〜、レイジーさんも隅には置けませんなぁ〜」


「な、なんだ良いじゃないか別に……!」


「いやいや〜、お似合いだと思いますよ〜?」


「あんた達も毎回毎回飽きないわね」


だ、だれだ?


後ろに金髪の背が高いお姉さんが!


「先輩!」


レイジーさんの先輩?


「ふ〜ん」


あ、顎クイだと!?


「結構可愛い顔じゃない」


「先輩!」


「冗談よ、取ったりはしないわ」


レイジーさんが取られまいと抱きついてきた……何とは言わんが柔けぇ……


「……」


「おーい、レイジーは居るかぁ?」


誰かがギルドの扉を開けてレイジーさんを呼び出した。


「誰だ?」


「お、いたいた」


「ってミリアルドさんじゃないですか!?」


まさかの月光騎士団団長ミリアルド・オーグさんだった。


「ロリアンさんもいたのか、丁度いいや」


「丁度いい?」


「えっと、ミリアルド様は私に御用が?」


「おう、個人的な依頼でな」


「個人的な?」


「そ、まぁ話は『午後の一時』で話そう」





『午後の一時』……以前レイジーさんに助けてもらった際に立ち寄ったカフェ。


経営者はキョウヤさんという俺と同じ転生者らしい。


「キョウヤ〜店借りるぞ」


「どうぞ、ミリアルドさん」


「良いんだ……」


「店を貸す変わりに注文は絶対って約束なんですよ」


「へぇ〜」


「そうだな……ロリアンさんとレイジーはコーヒーは飲めるか?」


「私は大丈夫です」


「私も」


「ならコーヒーを2杯」


「ミリアルドさんはいつものでよろしいですか?」


「おう、それとハニートーストを」


「かしこまりました」


「「いつもの?」」


「ん?酒」


「「昼からですか!?」」


今から仕事の話するのに飲酒かよ!?


「仕方ねぇだろ、徹夜明けなんだ」


「それでも昼からって」


「大丈夫だ、酔わない程度の度数のやつだから」


「おや、ミリアルド様じゃないですか」


「お、ココール君久しぶり」


ココールさん、人の身に犬の耳と尻尾が生えたコボルトという種族でウェイター。


「ロリアンさんにレイジーさん、お久しぶりです」


「久しぶりね、ココール君」


「お久しぶりです」


「ミリアルド様が居るということは……仕事ですか?」


「そ」


「そうでしたか、失礼いたしました」


そういうとココールさんは奥へ下がっていった。


「さて、仕事についてだが」


ミリアルドさんは懐から何枚か紙を出して見せてきた。


「この女性がターゲットだ」


1枚目の紙には美人な女性の写真が貼られていた。


「ターゲット?」


「ああ、この女性を救出して欲しい」


「救出……つまり捕まっているってことですか?」


「それがな……」


2枚目の紙を見せてきた。


「この貴族の隠し子なんだ」


「隠し子の女性を救い出す……と?」


「それがな、この女性……その貴族のメイドなんだ」


「「……え?」」


どゆこと?


「この貴族……やりたい放題やった結果メイドとの間にデキちまった……って訳らしい」


「えぇ……」


「依頼者がその愛人……つまりメイドだ」


「はぁ……」


「愛人メイドとの関係がバレたくないが為に貴族は愛人メイドをクビにした……そんでも子供は既に出産済み……子供は取られ行方不明……のはずだった」


ミリアルドさんは3枚目の紙を見せてくれた。


「行方不明になってから数十年ほど経った今になってメイドとして働いているのを知ったらしい……経緯は不明だかな」


「そのメイドを救い出す……それって向こう側からしたら拉致では?」


「たしかに、だがまぁ……なんとかなるだろ」


「雑!」


「しょうがねぇだろ、だがメイドが拒んだ場合は考える」


「失礼します」


お!コーヒーとトーストが来た!


「ありがとう、キョウヤ」


「どうぞミリアルドさん、リーゼさんは元気ですか?」


「おう、元気だ」


「それは良かったです」


そういうとキョウヤさんは下がっていった。


リーゼさん?


「ミリアルドさん」


「ん?」


「リーゼさんって?」


「あぁ……俺の嫁だ」


「「えぇ!?」」


「リーゼさんって!月光教団の最高位神官ですよね!?」


「そうだな……」


「それは知りませんでした……」


「ま、まぁ、それに関しては内緒で頼む」


「わ、わかりました……」


へぇ〜、すごい立場の夫婦なんだな。


「話を戻すぞ、一応その仕事に関しては俺も付いて行く事にしている」


「そうなんですか?」


「あぁ、俺はもう1つ別件があってな」


「わかりました」


その後は日にちを決め、コーヒーとハニートーストを満喫した。


めちゃめちゃ美味しかった……

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