女(男)は……

「むぐぅっ!」


畜生!なんで俺は誘拐されてるんだよ!

しかも猿轡さるぐつわもされ手足をロープで縛られ身動も取れない!


「なかなか上物ですぜ、旦那」


「グッフフフ、これはこれは……」


「んぅ!」


気持ち悪いぃ……何だよこのオッサン!


「んんん〜」


「んぅ!!」


こんなデブで気持ち悪いオッサンに

顎クイなんて嫌なんだけど!!!


「ほう……抵抗するか……」


「女、よく聞け、この旦那はな貴族だ

わかるな?逆らえば……」


「よいよい、反抗すればするほど

『ヤり』がいがある……」


うぇ……気持ち悪い吐きそう……

助けてくれ、誰か……









同時刻 レイジー


「ここか?レイジー」


「ああ、ここのはずだ」


「……確定ね、鍵がかかってる」


本来廃棄が決まった倉庫には鍵はかけない。

そのため鍵がかかってるのは不自然なのだ。


「どうする、開けるか?」


「……駄目だ、真正面から行くと警戒してロリアンさんが危ない、最悪の場合殺される」


あの貴族豚どもは人を殺すことを躊躇しない。

そのためロリアンさんを助け出すためには……


「……上か」


「なら任せて」


タリス殿なら適任だな。










第2廃棄予定倉庫 ロリアン


「……やめろ!」


猿轡さるぐつわと外されたの良いが今度は服を脱がし始めやがった!


「んん〜抵抗するならするといい」


「くっ、気持ち悪い!」


思いっきり蹴ってやった。


「ろ…痛いではないか!」


パァン!


「あっ!!」


くそぉ……痛え!思いっきり叩きやがって!


「旦那は優しな、ビンタで済ますとは」


「飴と鞭は必要だろ?」


「うぅ……」


何でこんな目に……誰か……











同時刻 レイジー


「タリス殿、上から見てくれ」


「わかったわ」


タリス殿は希少生物の『フェニックス』

本来の鳥の姿になることが可能。


「タリス!どうだ?」


「急いだほうが良さそうよ!」


「俺が正面から行く、タリスは上からロリアンさんを救出してくれ!」


「私は?」


「レイジーには……そうだなクズどもをめいいっぱい殴ってこい!」


「了解!」


キョウヤには感謝しないとな!












同時刻 第2廃棄予定倉庫


「ほほ〜、良い体をしているではないか〜」


「うぅ……」


最悪だ……もう……死にたい……


俺は…服を全て剥がれてしまった。


「ふふふ、アタリですね旦那!」


「グッフフフヒヒ、これから良いことをシようではないか……」


見たくない、目を開けたくない!


「おい!豚ども!」


「「「!?」」」





「おいおい、汚ぇよそんなオッサンが裸で……うぇっ気持ち悪!」


「キョウヤさん!」


「キョウヤ?確か……最近話題のカフェのマスターか?」


「旦那、少し待っててくださいこいつを殺します」


「待て、そいつは『月光騎士団』と繋がっている、余計なことをするな」


「『月光騎士団』だと?」


「……(よしよし、上手いこと時間稼ぎは出来てるな…今のうちに頼むぜタリス)」




「……」


今のうちに……こっそり……


バレないように這っていると……


「確保!」


女性に抱きつかれ。


「わっ!?」


「「!?」」


「じゃあね〜」


その女性は背中から炎の羽根を出して俺を連れて空いた天井の窓から飛び立った。






レイジー


「さて、タリス殿は上手くやったみたいだな」


今度は私の番だ、覚悟しろ貴族ブタ


「おい!何してる!」


「ちっ!やられた!貴様の仕業か!」


「さぁ〜?何のことだかさっぱりわからん?」


「しらを切るでないわ!」


「おいおい、汚えオッサンが指さしてんじゃねぇよ、汚れちまうだろ」


「貴様の邪魔が無ければあの上物の女を……」


「私の女をどうするって?」


「き、貴様は!?」


「レイジー、遅かったじゃないか」


「隙きを伺っていたんだ」


「どこのどいつか知らんが!死ね!」


こいつナイフ使いか……それも中々の腕前だ。


「ちっ!すばしっこい!」


なるほど、こいつはロリアンさんをさらうために雇われたのか。


「貴様!」


「うるさい!」


「ぐお!?」


蹴り1つでなかなか飛んだな……


「くっ……野郎ども!」


ちっ!3人隠れてたか!


「騒がしい、今何時だと思ってる」


後ろから男の声が……誰だ?キョウヤではない……


「き、ききき貴様は、いやあなたは!!」


「どうしました!?旦那!」


「げ、『月光騎士団 団長ミリアルド・オーグ』!!!」


何だと!?あの今や国教となった月光教団、その騎士団の団長

『ミリアルド・オーグ』!?


「ん?恭夜きょうやじゃないか!どうしたこんな所で!」


「ミリアルドさん!」


「し、知り合いだったのか?キョウヤ?」


「昔にちょっとな?」


「さて、話を聞こうか、なぜ……あー、

裸になっているのか」


「こ、これはそこの女と男に剥がれたのです!お助けください!」


このブタ野郎!擦り付けやがった!


「……はぁー、『本当のことを言え』」


『ゾクッ!!』


これが……世界最強の威圧!……下手をすれば……殺される!


「だ、だだだだだだだからそこの男と女に……」


「本当か?恭夜」


「いいや?そこのブタが嘘ついてます」


「ミリアルド様」


「ん?君は?」


さっきの威圧の余波が……でも……言わなきゃ!


「わ、私はレイジーといいます

実は私の、私の想い人がそこの貴族に酷い仕打ちを……」


「黙れ!貴様の仕業ではないか!」


「おい、『黙れ』」


「ひっ!」


「っ!」


「……続きを」


「はい、彼女は服を剥がれ、そして

あと少しで大切なものを失うところでした……そこにキョウヤとタリス殿が助けて下さったのです」


「……ふむふむ……む?彼女?」


「はい、私の想い人は女性です」


「……あ〜、ふんふんなるほど……で、

その女性と君はどこまで行ってたんだ?」


「え?」


「ミリアルドさん!話がズレてる!」


「おっと!すまない、忘れてくれ」


「そ、そんなミリアルド様が謝罪など……」


「いやいや、これは『人間として普通のこと』だ、だかそこの貴族は『それ』が出来ないようだがな」


「ミ、ミリアルド様!わ、私は!」


「さて、5人まとめて!…」


「お待ち下さい!」


「ん?」


「私に殴らせてください」


「……くっ、ハハハハハ!!!」


うっ…ミリアルド様に笑われた……


「いいぜ!なぁ!?恭夜!」


「ああ!レイジー!」


「「思いっきり殴ってこい!!」」


「っ!了解!!」


心強い追い風が吹いてきた。


「ま、まて!」


「ふん!」


「ぶべっ!?」


まず増援の一人目を……


「お、おい!」


「ふん!」


「ごふっ!」


二人目……


「ひ、」


「ふん!」


三人目!


「貴様!」


「お前には特別に5回よ」


「はぁ?」


「ふん!」


「ごっ!」


1!


「ふん!ふん!」


「ぶっ!ぼほっ!」


2!3!


「ふんふん!!」


「ガハッ!」


4!5!


「……さて貴様には」


「ひ、ひぃぃぃい!」


「これがお似合いだ……」


私はとある『部位』に足を向ける。


「お、お慈悲を……!」


「ロリアンさんには慈悲をあげないで、自分には欲しいってか!」


「ひぃぃ!!」


「教えてあげる、ブタは虚勢すると……美味しくなるのよ」


「ひいい!」


「ふん!」


肉が潰れる音がする。


「……恭夜……内股になってるぞ」


「……ミリアルドさんこそ……」


「お……お……」


ふぅ〜、スッキリ。


「ん、ん"ん"、まぁ、後は任せろ恭夜は残って事情聴取な」


「ええ!?」


「あ、あの私は……」


「彼女さんの心配が最優先だ、行きなさい」


「は、はい!ありがとうございます!」


「やっぱり帰っちゃ駄目ですか?」


「駄目だ」


私は全速力で貴族領を抜けた。

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