女(男)、家事を手伝う

「……で、なんでレイジーさんと同じ部屋なんですかね?」


「……あの父親、仕組んだのか……」


俺がレイジーさんのお父さんに案内された部屋はレイジーさんの部屋だった。


「……すまないロリアンさん、父のせいで……」


「……」


どうする、このままこの部屋で過ごすことになれば罪悪感で圧迫されて死ぬ……


「あら、ロリアンさん、ここはレイジーの部屋よ?」


「へ?」


「どういうことだ?母さん」


「……さてはあの人、やりやがったわね」


「さ、ロリアンさんの部屋は別よ」


良かった〜……






「ここよ」


「……あの」


「あら、狭かった?」


「いえ、流石にタダで居るわけにはいかないので、明日から家事を手伝おうかと……」


「……うぅ」


なんで泣き出す!?


「あ、あの……」


「う、嬉しいわ……こんなの始めて言われた……」


まじかよ、てか普通この豪邸を1人ってのが無理だろ……


「明日からよろしく頼んで良い?」


「はい、よろしくおねがいします」






翌日


「いってらっしゃ~い」


レイジーさんを見送り、俺はレイジーさんのお母さんの下へ。


「じゃあ、この洗い物頼んでいい?」


「任せてください」


この量ならバイトで腐らないけど腐るほどやってる。






「♪〜」


「手伝いますよ〜」


洗い物を済ませた俺はベランダで衣類を干しているお母さんの下へ。


「え!?」


「え!?」


なぜ驚く、あの量なら30分あれば片付くぞ……


「もう終わったの?」


「あ、はい」


「そ、それで……」


「あ、手伝います」


この量の洗濯物ならすぐ干せる。


「は、速い……」


そうなのか?


「そりゃあ2人ですから」


「それでも、ロリアンさんのほうが速いわ」


「……1つ疑問なんですけど、どうやって今まで、1人でやってきたんですか?」


「そうね……聖霊を召喚して手伝ってもらってたわ」


「便利ですね」


「でも、最近老いなのか全然聖霊が

召喚に、応じてくれないのよ」


それ、こき使われて拗ねてるんじゃ……


「ありがとうロリアンさん」


「いえいえ」









7時間後


レイジー視点


「ただいま〜」


私は仕事を終え、帰宅した、が誰も来なかった。


「?」


リビングから声が……この声はロリアンさんと母さん?


(いや〜、ロリアンさん、うちの子にならない?)


(嬉しいですがお断りします)


(ええ〜、なんで?)


(理由としましてはまず、男であることですかね)


(今は女性よね?)


(ま、まぁそうなんですけど……)


(……もしかしてレイジー?)


(はい、実は同郷の友人から『考えてやってくれ』と、言われてまして)


キョウヤが言ったことだ……


(私は、本気でレイジーさんに惚れたら、この人と結ばれようと考えました)


(……でもそれって、普通じゃない?)


(はい、ですが私、いや俺は元男なんです、俺から見ればレイジーさんはとても美しい女性です、ですが女性になったからといって、何をしてもいいわけではない)


(よく考えてくれてるのね……)


(自分なりですがね……)


(……わかったわ、つまりロリアンさんが、レイジーに惚れたら、うちの子になってくれる…ってことね?)


(そうです)


…………


(ふふふ、あと1ついい事教えてあげる)


(なんですか?)


(……薬品を使えば『生える』らしいわ)


(……マジですか?)


生える?何が?


(マジよ、つまり……)


(……責任は取ります、万が一ですよ!万が一!)


(ふふふ、楽しみにしてるわね)


もう入っても良さそうだな。


「ただいま〜」


「あ、おかえり〜」


「お帰りなさい、レイジーさん」


「仲良さそうで何よりだ」


「ふふふ」


「……ははは」








夕食


ロリアン視点


「おお、これは美味しそうだ」


「凄いな、ふたりとも」


お母さんと2人で作った料理に

レイジーさんと帰宅したお父さんは大喜びだ。


「!?なんだこの味は」


「あ、それはロリアンさんが作った料理ね」


まぁ、料理ならバイトでやった。


というかこの世界でバイトの知識めちゃくちゃ有能じゃねぇか。


「すごい、香りよし、食感よし、味よし……」


「美味しいわ〜」


気に召したようで何よりだ。


俺は少し壁を乗り越えたみたいだ。

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