Let's Go 異世界

「ッ!」


光が開けると…そこは……


「おぉー」


異世界だった、床はアスファルトではなくレンガ……異世界って感じだ。


「凄い……」


ん?声が……


「高い?」


それに胸辺りが重い……あっ(察し)

ちゃんと女の子だ。(しかも大きめ)


というかあの老人は親切なのだろう、ちゃんとした服を用意して着せた状態にしてくれた。


「……どうしよう」


これからどうするか途方に暮れてしまった。


「とりあえず歩き回るか…」


ひたすら真っすぐに歩き回る事にした。





「…うーん、文字は日本と同じだな」


しかし、通貨は『円』ではなく銅貨や、銀貨、金貨のようだ。


「そこの君」


「はい?」


見知らぬ女性に声をかけられた。


「此処から先は危ない、引き返しなさい」


「何かあったんですか?」


「此処から先は貴族の領地だ

君のような女性が入るとどのような

目に会うか分からない」


「と、言いますと?」


「つまり、捕まって牢に入るか、貴族に飼われるか」


「引き返します」


そりゃあそうだろ……転生して速攻貴族のペットは嫌だ!


「良い判断だ」


「教えてくださって

ありがとうございます」


「気にしないで欲しい、それに

『ハンター』たるもの困っている人を見過ごすわけにはいかない」


「『ハンター』?」


「む?知らないのかい?」


「はい」


「『ハンター』は、魔物討伐を生業なりわいとしている職業だよ」


「なるほど」


某モンスターをハントするのと似たようなやつか!


「それと、君」


「はい」


「珍しい顔つきをしているね」


顔を近づけてよく観察してくる、しかもこの人……顔が良い、中性的だな。


「そ、そうでしょうか?」


「あぁ、このあたりでは珍しい」


そう言われれば、街を行き交う人々は赤やら青やらと、

髪と瞳の色がカラフルだ。

それにこの人も髪こそ黒だが、

瞳が青い。


「今は暇かい?」


「はい」


「私とお茶でもしない?」


な、ナンパだ!!

それに俺金持ってねぇよ!!


「でも、私……お金が……」


「気にしないで、知り合いのお店だから」


「でも…」


「それに」


そう言いながら俺の耳元まで寄って。


(さっきからあそこの貴族が君を見ている)


「なぜでしょうか?」


「私には分かる、あの目は君のことを…いや君の『身体』を見ている」


ゾクッとした。


「良いかい?このまま私に付いてくるんだ」


「は、はい」


その方が安全そうだ……







「よし、ここが私の知り合いのお店」


その店は喫茶店だった。


「『午後の一時』?」


なかなかに小洒落た喫茶店だった。


「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」


店に入ると狐耳の女性が出迎えてくれた。


「やぁミラー、元気そうだね」


「あら、レイジーさんお久しぶりです」


レイジーさんって名前か……ちょっと待てよ、この流れだと俺の名前も聞かれるのでは…


「そちらの女性は?」


「そういえば君、名前は?」


「えっとぉ…」


回転しろ!!俺の脳内PC!!最適かつ自然な名前を考えろ!!


こういうのは大体本の著者の名前とかから合体させるんだろ!

ほら某名探偵みたいに!!


駄目だ!そういや俺、全く本読まないんだった!


そして俺の脳内PCが叩き出した名前は……


「ロリアンです」


「ロリアン……いい名前だね」


「ありがとうございます」


よし!なんとか逃れたぞ!


「ただいま〜」


「あ、お帰りなさいキョウヤさん」


明らかにマスターって感じの人が入ってきた。

というか『キョウヤ』?めちゃくちゃ日本人っぽい名前だな……


「ん?ミラー、そちらの女性は?」


「ロリアンさんです」


「はじめまして、俺はキョウヤと言う名前で、この『午後の一時』という

喫茶店のマスターをしています」


「ど、どうも」


「やぁ、キョウヤ久しぶり」


「お、レイジーじゃないか、どうしたんだ?」


「実はここらへんでロリアンさんが歩いていて、貴族領に入りそうだったからここで少しお茶でも、って誘ったんだ」


「お前それはたから見たらナンパじゃねぇか」


「そうか?」


「全く、お前はかわいい女の子に目がねぇな」


「む、失敬だね私はレズビアンじゃないよ」


「嘘つけ」


「本当だってば」


「……」


レズビアンって……もしかして俺、食われる?(性的な意味で)


「ほら、ロリアンさんが怯えてるぞ」


「キョウヤが私のことレズビアンとか言うからだろ?」


「まぁ、その話は置いといて……

ロリアンさん何か飲みます?」


「あ、私コーヒー苦手で」


「大丈夫ですよ、いっぱい種類ありますから」


そう言われてミラーさんからメニューを渡された。


「……」


何にしよう……というかそういえば、俺金無ぇんだった。


「あの、私お金が……」


「大丈夫、私が払うよ」


「でも……」


「こいつ、金はたんまりありますから容赦なく頼んでいいですよ、ていうか頼んでください」


なんか闇が一瞬見えた……


「そういえばキョウヤさんって……」


とりあえず鎌をかけてみるか……


「ゲームとか得意ですか?」


「ゲームですか?チェスとか?」


「いえ」


「……」


黙り込んでしまった。


「ロリアンさん……まさか貴女」


「はい」


「転生者ですね?」


「はい」


「……なるほど」


「因みに元男です」


「「「え?」」」


やべ、余計なこと言ったかも……


「えーっと、それはどういう?」


「向こうで車に下半身をサンドイッチされて息子がお亡くなりになって、

神様が情けで女性にしてくれました」


「はぇ〜そんなことが」


「え……ロリアンさんは……男?……いや、胸はあるし……それに体臭は限りなく

女性に近いし……」


「おい、レイジー流石に気持ち悪い」


「酷くない?」


「いや、胸はまだしも体臭って……」


「いや、普通にいい匂いだったけど」


「感想は聞いてねぇんだよ」


二人がそんな言い争いをしていると。


「キョウヤさん、外まで聞こえてますよ」


一人の男が現れた、しかしその男は頭に犬のような耳が付いており獣人のようだ。


「おや?キョウヤさんお客様ですか?」


「いや、まだ開店してないから」


「そうでしたか」


「それと、この女性はロリアンさん、訳ありだそうだ」


「はじめまして……」


「はじめまして、僕はココールと

言います」


「ロリアンです」


これから俺の人生はどうなるんだ……

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