第24話 プールサイドで、先輩のおっぱいが…⁉
木曜日の放課後。
今日は昨日通りに、地元の市民プールに訪れていた。
平日ということもあり、昨日のようにそこまで混んでいる印象はない。
浩紀は今、水着に着替えている最中であり、今日の朝の出来事を振り返っていた。
妹の友奈は、練習風景を見たいと言っていたこと。
しかしながら、当の妹は、プールには訪れていないのだ。
三十分ほど前まで学校にいたわけだが、廊下で友奈と出会っても、妹は身を隠すように立ち去ってしまった。
話しかける瞬間もなく、結果的に水泳部の夏芽先輩と共に、プールに訪れることになったのだ。
少々寂しい気もある。
朝は、泳いでいるところを見たいとか、張り切って口にしていたのにと思う。
まあ、友奈にもそれなりの諸事情というものがあるはずだ。
水泳の練習が終わったら、もう一度、友奈に話しかけてみようと思う。
そう考え、着替え終わった浩紀は、プールサイドへと向かうのだった。
「浩紀、ようやく来たのー? ちょっと遅いよ」
夏芽先輩はすでにプールサイドに佇み、待たせてしまっている状況。先輩の水着姿は魅力的で、遠目からでも、エロい目で見てしまうほどだ。
浩紀は真面目を自負しており、エロい視線を向けないように軽く視線をそらし、近づいていく。
「すいません、ちょっと色々と時間がかかって」
浩紀は妹のことばかり考えていて、先輩よりも遅くなってしまった。
今日は平日であり、明日も普通に学校があることで、ダラダラと行動することはできない。もう少しテキパキと行動しないといけないと思った。
「ねえ、まずはストレッチからする?」
「ストレッチですか?」
「水泳部だった時、いつもやってたでしょ? そういえば、昨日はやらなかったよね? 私、忘れてて、浩紀は体の方、大丈夫だった?」
「はい、一応は……今日の朝は、筋肉痛で痛かったですけど」
「やっぱり? 今はどう? 大丈夫?」
「何とか」
「じゃあ、大丈夫かな……でもさ」
水着姿の先輩は心配そうな顔を浮かべ、距離を詰めてくるのだ。
「まだ痛むなら、今日は休む?」
「え、いや……」
今まさに、先輩のおっぱいが体に接触している。特に右腕のところに重点的に当たっているのだ。
ヤバいって、もしかして……わざと⁉
浩紀が少し距離をとろうとすると、同時に先輩も離れないように、距離を詰めてくるのだ。
今、プールには合計四人くらいしかいないものの。昨日のように、大勢の人がいたら、特に男性からの敵意の眼差しを向けられていたことだろう。
「夏芽先輩……? ど、どうしたんですか?」
「別にいいじゃん。私がくっついちゃダメなの?」
「そうじゃないですけど……」
浩紀はたじたじになる。
年上の先輩からのおっぱいの誘惑。
互いに肌の部分を見せ合った水着姿であり、余計に緊張する。
「それよりさ、浩紀?」
「な、なんでしょうか……先輩?」
「浩紀の胸板とか、肩がしっかりしてるよね?」
「え、そ、そうですかね」
心拍数が上がってきて、先輩の声が少し遠くに聞こえてしまう。
これはどうしたらいいのかわからなくなり、また、後ずさってしまうのだが。
浩紀が動揺して動く度に、先輩も距離を広げないようにおっぱいを密着させたままだった。
そして、プールサイドの壁の方に浩紀は背をつけてしまう。
これ以上、行動することは困難だった。
「ねえ、浩紀? どうして、そんなに避けようとするの? 私、体を痛めてる浩紀を癒してあげようとしてるだけなんだけど」
「え、あ、そ、そうですよね……」
先輩は善意で歩み寄ってきているのに、逃げるようなことをするのは失礼にあたる。しかし、おっぱいがデカい水着姿の先輩に寄り添われたら距離をとってしまう。
先輩のことが嫌いだとか、そういうのじゃない。
ほぼ、全裸に近い姿の状態。その上、市民プールで、比較的真面目な態度で近づかれたら、余計に意識してしまうのだ。
「ねえ、しよっか」
「え、な、何をですか?」
「――ッチ」
「⁉」
そ、それはまずい。
公共の場で、そんなことなんてできないに決まってる。
「そ、そんなこと、できませんから」
「え? ストレッチだけど? 準備運動よ」
「へ……?」
浩紀はアホっぽい声を出してしまう。
「もしかして、エッチな事だと思った?」
「……」
「返答がないってことは、そういうこと?」
「……」
「図星なんだね」
赤面状態の浩紀は言い返すことのできない環境下。ただ、小さく頷くことしかできなかった。
「もう、浩紀って変態じゃん。散々、真面目とか言ってたけど、本当は相当エッチなんでしょ?」
「ち、違うというか……それは……決して、俺は変態じゃない……、ま、真面目なんですよ」
「ふーん、そう? 今の浩紀を見ていると、そんな感じには見えないけどね」
夏芽先輩はもっとおっぱいを押し付けてくる。
「ねえ、本当にエッチな事する? 私はいいよ♡」
「……⁉」
浩紀は顔を赤く染めてしまう。
そ、そんなの……やりたいに……いや、そんな感情なんて抱いちゃいけないんだ……。
浩紀は内心、冷静さを取り戻そうと必死になっているが、先輩のおっぱいの感触が心地よ過ぎて、変な思考回路になってしまう。
「やりたいんでしょ? その顔を見てればわかるし」
先輩の誘惑に押し負けそうになった。
浩紀は今、プールサイドの壁に背をつけている。逃れられない状況に、心臓が破裂寸前だった。
「でも、今はやんないけどね。やるんだったら、また別のところでね」
「え⁉」
先輩は流すような話し方で意味深発言をした後、ようやく距離をとってくれた。
「そろそろ、ストレッチやろ。浩紀って体が痛むんでしょ? 今日はストレッチしてさ、軽く泳ぐ練習をして終わりにするから」
「それで終わりですか?」
「ええ。体が痛むんでしょ?」
「い、いいえ。今は大丈夫ですから……」
先輩のおっぱいで、今は別のところが色々な意味合いで痛んでいた。
「よしッ、これで、十分かな? 浩紀も体が多少は良くなったでしょ?」
「は、はい」
浩紀へ頷くように返答した。
十五分ほどのストレッチを終えたのだ。
「じゃあ、五十メートルくらい泳ぐから。浩紀もプールに入って」
「はい」
浩紀も夏芽先輩同様に、水の中に入る。
「浩紀ってさ。どうして、水泳をやらなくなったの?」
「それは……」
これは言った方がいいのか?
浩紀は少しだけ悩む。
「色々とあったんです……」
「そっか。もしかして、今は言いたくない感じ?」
「……そ、そうですね」
「結構、大変なことがあったってこと?」
「そこまでではないですけど……」
「まあ、いいよ。言いたくないならさ。でも、昨日の浩紀の泳ぎ方を見て、センスがあるし。中学から続けていたら、もっと上を目指せていたと思うんだけどね。惜しいよね」
「……そうですかね。でも、俺は別にそこまでうまくならなくても……」
浩紀は消極的。
まさか、先輩の方から辞めた理由を聞かれるとは思ってもみなかった。
いずれは話さなければいけなかったこと。
でも、今は難しいと思う。
過去のことは極力思い出したくない。
そのことについてはそっとしておいてほしかった。
「わかったわ。じゃ、私泳ぐから、浩紀もね」
そう言うと、夏芽先輩は泳ぎ始めるのだった。
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