師匠と弟子と決闘――14
風の刃が大気を裂く。
氷の棘が大地を砕く。
風と氷の猛攻。
わたし――セシリア=デュラムは、片時も動きを止めず、ときにフェイントを織り交ぜ、それらを凌いでいく。
「ちょこまかと……!」
けれど、わたしには剣がある。
「はあっ!!」
軌道を見切り、セイバー・レイを
苛烈な戦闘だからこそ、冷静さを失わないよう努める。
ホークヴァン先輩と
あの魔銃は見たことがないものです。わたしの知らない魔銃。おそらくは最新モデルなのでしょう。
ならばこそ、警戒しなくてはならない。あの魔銃の性能をわたしは知らないのだから。不確定要素は敗北の要因になるのだから。
しかし、
決断し、わたしはホークヴァン先輩へと駆けだした。
現状、優位なのは魔銃を――遠距離武器を用いているホークヴァン先輩だが、距離さえ詰めれば優劣は逆転する。接近戦に持ち込めれば、魔剣を――近距離武器を使用しているわたしに
相手も理解しているのだろう。ホークヴァン先輩はバック走で距離をとりながら、氷の棘でわたしを
逃がさない。
わたしはセイバー・レイの一振りで氷の棘を薙ぎ払い、体を
縮まる距離に苛立ったのか、ホークヴァン先輩が顔をしかめた。
ホークヴァン先輩はバック走をやめ、わたしに背を向けて走り出した。バック走より前を向いて走るほうが、速度が出るからだろう。
けれど、前を向いた状態では、氷の棘による牽制はできません!
これなら――
「追いつける。そう思っただろう?」
ホークヴァン先輩が振り返り、ニヤリと口端をつり上げる。
直後、わたしの斜め前にある岩陰からウイング・ウインドが現れ、風の刃を放ってきた。
ホークヴァン先輩はわたしから逃げながら、ウイング・ウインドを先回りさせていたらしい。
自分に意識を集め、ウイング・ウインドで不意打ちする。先ほどルカさんに行わせた奇襲を、ウイング・ウインドに代行させたのだ。
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