第1話 進まない日々(回想から)

 ピー──────ピー──────


 乾いた電子音が部屋中に響いて、母の死を告げた。

 小学3年の春、母にガンが見つかって3ヶ月、

 この間まで一緒に走り回って遊んでくていた母が今目の前で死んだ。

 まだ子供ながらに何が起きたのかを理解していた私だけど、分かっていてもそう簡単に切り替えられるわけではなかった。


「ママ、、、ママ--っ!起きてよ、なんっで、起きないの、、」

「今日はお絵描きして遊ぼうねって、お約束したじゃん、、、」


 私がどんなに泣き叫んでも、何回話しかけても、母は目覚めることなく、周りの大人達は私を見て悲痛な表情で下を向くだけだった。


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 あれから3ヶ月、お葬式が終わってから私の周りの環境はガラッと変わった。

 元々共働きだった父は1人で私を育てるために仕事がより忙しくなった。

 そうしてあれから毎日夜ご飯はお隣さんの高崎さんの家で食べている。


「美優ちゃん、ハンバーグ沢山あるから沢山食べなよ!」


「美優、俺のも食べるか??」


 優しく話しかけてくれるのは4つ上の高崎裕也(裕兄)と裕兄のお母さんだ。

 あの頃の私は小学3年生ながら皆に気を使わせていることが気まずくて、母がいない毎日に耐えられなくて

 毎日話さず、下を向いていることが多かった。


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「おい、お前の家母ちゃんいないんだろ」

 ある日突然クラスメートに言われた。

「え、、」

「母ちゃんいないなんてかわいそうな奴だな笑」

「え、こいつ母ちゃんいねーの?捨てられたのか?笑笑」


「うるさい。うるさい‼私のお母さんを悪く言うな!」

 気が付くと男子たちと取っ組み合いになっていて、相手にけがを負わせてしまった。


 その日から私はクラスでみんなに避けられるようになってしまった。

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大きくなっても君は私の… 夏夜。 @kayo_82

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