第46話 エビルの街


要塞都市ジブヤ

人口5万6千人、四方を高い壁が守り、入り口には複数の大型ゴーレムが守る、正に要塞と言う名にふさわしい大型都市だ。


だが、俺たちはそこにはいかない。


その一つ手前の街エビルに来ている。


人工1万6千、ジブヤに比べればかなり小さな街だ。


だが、俺は敢えてこの街を駐屯場所に選んだ。


「理人くん、此処迄来たのならジブヤまで行った方が良かったんじゃないですか?」


「そうだな、あそこの方が何でもある」


「そうだよね、都市として大きいし、栄えているよ」


確かにそうだ。


だが、敢えて少し手前のこの街にした。


「俺は兎も角、勇者パーティは人気者だから顔が割れている可能性が高い、大都市より街の方が身バレが少なく自由に過ごせるから選んだんだ…それに此処にも王国ホテルの支店があるから、それなりにすごせるからな」


「さすが理人くん、そこ迄考えているんだ」


「そうか、確かにそう言われればこちらの方がゆっくり過ごせそうだな」


「そこ迄考えていたんだ、流石理人お兄ちゃん」


「まぁな…だけど、俺にとっては、良いベッドと風呂付の部屋があれば、他に欲しい物はないからな」


最近、前世の習慣に随分拘りだしてしまった気がする。


今迄野営も風呂も無い暮らしはさほど苦痛でなかったが…最近は妙にベッドやお風呂が恋しく感じる。


「そ、そうですね、やはり敷物を敷いていても下になってくれる理人くんは背中が痛そうですものね」


「そうだな、理人はいつも『好きな人に汚い場所なんて無い』っていってくれるが、汗まみれじゃ流石に…本当は臭いだろうし…なんだか悪い気がする」


「そうだよね? お風呂に何日も入ってない状態で…その、股に口付けられるのはかなり恥ずかしいよ…理人お兄ちゃんのせいで慣れてはきたけどさぁ」


そういう意味で言ったんじゃないが…そうもとれるよな。


こんな事言っている彼女達だが、逆の事も言える。


汗だくだったり、お風呂に入って無いのはお互い様だ。


それでも求めてくるし、相手に対して奉仕できる。


人間である以上は『汚い』そういう感情はある筈だ。


それでも『したい』という事は、淫らな行為ではあるが、そこに『愛』があると思う。


あくまで憶測だが、こんな事は『娼婦』だって出来ない筈だ。


あれからは、本当に凄かった。


若いからお互いにやりたい盛りだ。


一度、やりだしたら、歯止めはもう効かない。


野営中もお構いなしにしていた。


その結果、俺は『見張り役』を免除された。


彼女達は三人、俺は一人。


俺が居なくちゃ出来ない。


だから、三人のうち一人が見張りをして二人を俺が相手にする。


そんなお約束みたいな物が自然とできた。


「そういう意味で言ったんじゃないんだけどなぁ…良いベッドとお風呂があれば体が休まる…そう思っただけだ」


「「「あっ」」」


三人とも顔が真っ赤だ。


旅をしているし、最後の一線を越えられないが、それでも今は『新婚』でもあるのだ。


初々しい反応も、凄く可愛い。


「恥ずかしがらないで良いよ、さっき言ったのは本当に違うけど、言われてみれば外じゃ集中して出来ないから、その通りだよ、 今は『新婚』なんだから、それ位当たり前じゃないか?」


「そそ、そうよね『新婚』なんだから毎晩位は、当たり前よ…うん」


「そうだな言われてみれば『新妻』なんだから、あはははっうん可笑しくない」


「そうだよね! 付き合いが長いから忘れがちだけど、理人お兄ちゃんの私は『お嫁さん』なんだから、うん当たり前だよね、恥ずかしがる必要も無い…うんうん」


この世界は、前の世界に比べると、こういう行為は凄く淡泊な気がする。


まぁそれは『他所は他所、家は家』で良いと思う。


蚊に刺されないで済むし衛生的に出来る…そう考えたらホテルはありがたい。


◆◆◆


エビルの街にある王国ホテルに部屋をとった。


流石にガイアみたいにスイートルームは取らない。


ツインルームで充分だ。


それでも今まで過ごしてきた宿とは全然違う。


ちなみに、このお金は俺が、狩りで稼いだお金で賄っているから、国のお金ではない。


「凄く良い部屋…お風呂も大きくて綺麗だね、理人くん」


「これなら、三人で充分は入れるな」


「そうだね、汗だくだし早速皆でお風呂入ろうよ、理人お兄ちゃん」


完全にその気モードになっている…


「そうだな…ずうっと外だから集中して出来なかったから…今日明日とイチャつこうか?」


「「「うん」」」


俺は今日の夜から明日のお昼までルームサービスを頼み、三人と一緒にバスルームに向かった。


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