第45話 第三部スタート 旅の始まり。
ガイアが馬鹿やってくれているからこちらは目立たないが、そろそろ旅に出た方が良いだろう。
「今日は少し真面目な話がある」
「そう、解ったわ」
「そろそろ、気を引き締めるか」
「そうだね」
流石だな…俺の雰囲気を察して目の色が変わった。
『カッコ良い』そう思ってしまうのは不謹慎かも知れない。
「ガイアと話した事だが、今現在は丁度、四天王が南北に二手に別れて活動している、俺たちはそのうち南方にいる二人を叩く予定だ」
「私達はその2人を倒してからガイアに合流、そういう流れで良いのかしら?」
「まぁ四天王は4人、ノルマ二人は妥当だな」
「そうね、四職のうち3人が居るんだから仕方ないよね」
俺にとって本当に大切な者を間違えちゃいけない。
その為には『少しでも助かる選択、生き残る選択』をしなくちゃならない。
俺にとってガイアは親友だ。
命の次に大切な存在だ。
重ねて言うが『命の次』に大切な親友だ。
それは今でも変わらない。
だが、それはあくまで命の次。
自分の命には代えられない。
だが…俺には命以上に大切な者が三人もいる。
それが、マリア リタ エルザだ。
他の人間は『何を馬鹿な』そう言うだろうが…感情という物は自分でも解らない。
俺の前世はナンパ者だった。
※理人の前世は現代の日本でなく1970~80年代の近い感覚の日本です。
ナンパ者と言うと硬派に比べてカッコ悪く、ちゃらいイメージが強いだろう?
漫画やドラマの主人公は熱血硬派の男が主人公…大体が、不良やヤクザを怖がり、女を置いて逃げる卑怯な奴…それが軟派な奴。
それが軟派だと…勘違いするな…それは軟弱者だ。
真の軟派者は…女の為に命を懸ける者を本来はいう。
まぁ、俺は女性を口説き、遊ぶ…本物じゃ無かった。
だが、本当の軟派は違う。
こんな言葉が、俺が生きた世界にはあった。
『男一身硬派とは女1人を愛すべし!』
カッコ良いだろう?
だが、軟派はそれを超えていく。
『男一身軟派とは女の為に死するべし!』
女1人を愛さず沢山の者を愛すが、その全ての女全部の為に命を懸けるのだと…それが軟派なのだ。
そう熱く語っていた…
此処迄、語ってなんだが…俺は違う。
前世の憧れ、幼馴染との恋を手に入れた…だから違う。
だが…『女の為なら命がけ』そこだけは忘れないつもりだ。
「また考え事?」
「最近良く考えてばかりいるな」
「本当に可笑しいよ」
「いや、つい三人の事ばかり考えてしまって…言い出しっぺの俺が悪い…」
「「「あっ…ううん、仕方ない(な)(よ)」」」
「それで、俺たちが担当する、四天王は『空の女王 フェザー』『死霊の王 デスラ』だ…順番はまだ未定だが、早いうちにそのどちらかとやるつもりだ」
「いきなり四天王とやるの? 無茶だと思う」
「流石に無茶だと思うぞ」
「そうだよ、もしこのメンバーにガイアが居ても無理だよ」
その通りだ…
他の皆は希望を持っているが、俺の考えでは『ガイアは魔王に勝てない』そう思っている。
ガイアの能力は俺より僅かに強いだけ…
本当に強い勇者は文献によると、最初からまるで超人の様に強い。
今現在で四天王に届かないようでは、もう絶望的だ。
今のメンバーで四天王の1人に勝てないのなら…もし2人掛で来られたら壊滅する。
それをしないのは、何か事情があるのか遊ばれているのかだ。
俺が南を選んだのは、こちら側の四天王はまだ攻略の可能性はある。
『何か手を打てそうだ』その程度だがまだ勝機を拾える可能性があるからだ。
俺の旅の目的は『魔王討伐』ではない。
死の運命にある幼馴染、いや俺の今の妻をどうにか助けるかの旅だ。
例え全てを犠牲にしても…必ず助けてみせる。
「まぁ、今のままじゃ無理だ…時間はあるから、何かしら手が打てるかも知れない…勝算を掴む迄無理に戦わずに他の討伐をし着実に力をつけて行こう」
「そうね、理人くんの言う通りだわ、無駄死には意味がない物ね」
「悔しいが、今の私じゃどうにも出来ない」
「理人お兄ちゃんが冷静で良かったよ」
俺たちのバカンスは終わった。
再び、絶望への辛い旅が始まる。
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